性急、即興、焦点の欠落。10日に発表された工業振興包括政策は、ジルマ政権が暗室迷路の中で進むべき方向を見失っていることを示すものだ。経済運営上で生じたありとあらゆる亀裂を塞ごうとしていながら、どれ1つとして塞ぐことができないでいる。もしプライオリティーが設定されなければ、政策の空白につながるリスクを生じさせる。
仕事ぶりを見せようと忙しくしている間に、異常でゆがんだ状況が積みあがっていく。例えば、がん対策に3億0,600万レアルを割り当てる国家がんケア支援計画のようなものがなぜ一連のリストの中に現れたのか理解不能だ。いかなる人であれ理解不能だろう。まだ生まれもしない胎児の段階だった自動車産業制度は、予算管理省という母体から無理やり引っ張り出された。その曖昧さが続くのであれば、何か月にもわたってキューインベーター内に留まることになるだろう。正真正銘の国産車などただの1台も生産されず60年にわたって輸入品で代替してきただけというこの業界で、自動車メーカー各社に求められる国産品とは何かという説明が不足しているし、同様に、技術革新をどうやって評価するのかという説明も不足している (あの倒産したグルジェルですら、フォルクスワーゲンの一部の装置をくるんだ外装という範囲を超えなかった)。工業の競争力を高めるためのスキームは、2つの手段に限定されている。つまり、15の業種を対象にした企業の給与税の免税措置(これらの業種は工業部門のGDPの20%を超えず、また工業部門はブラジルのGDPの28%に相当する)と、BNDES銀行が有利な金利を設定した資金の分配を拡大するもので、それは時のエリートに対する融資の拡大だ。
ギド・マンテガ大臣は一連の判断(2012年に想定される連邦政府の歳入額のおよそ7%、604億レアル規模の対策)の重要性を強く訴えるが、工業部門におけるコスト削減の効果は軽微なものにとどまるだろう。
免税措置は、売上が落ち込む時期の人員削減を実業家が回避するための手段になった。したがってその目的は、労働市場の保証である。これを、(工業部門を締め付ける)ブラジルコストの低減手段に変えようとすることは、政策の偽装の上塗りだ。
それより困ったことは、各種の変更が抱えている不安定さ。免税措置には、2014年末で終了という期限が設けられている。これでは実業家にとって、ビジネス計画を策定するだけの十分な見通しが得られない。
連邦政府の債務を450億レアル以上、言い換えれば、ジルマ政権が今年の大きな財政目標として自慢する財政プライマリー収支黒字に対してほぼ3分の1に相当する金額の債務を拡大することで、BNDES銀行は基金として総額3,120億レアルを準備する。利子助成により貸し付けの流れが拡大することから、中央銀行にとっては、BNDES銀行が通貨政策の有効性を棄損していると不満を募らせる理由がこれまで以上に拡大することになる。
ジルマ大統領は、通商の保護と保護貿易主義とを、故意に混同しようとしている。略奪的な輸入に対する通商の保護は、通関検査とアンチダンピング法、世界貿易機関の調停裁判所への提訴を通じて行われる。
輸入に対していたずらに追徴課税を実施することは、保護貿易主義的行為であり、これはドイツのアンジェラ・メルケル首相が警告の対象と位置付けた。つまり、新たな問題の火種にならざるを得ない。(2012年4月4日付エスタード紙 セルソ・ミンギ氏のコラム記事)