就労・失業者管理センター(Caged)の調査によると、堅調に推移する内需の拡大で失業率が過去最低で売り手市場となっている雇用環境下で、よりよいサラリーを求めて自主退職する傾向が強くなってきている。
Caged管理センターの調査では、今年初めの2カ月間の退職者総数は320万人、そのうち自主退職は30.5%に相当する96万9,000人と過去最高を記録している。
昨年の自主退職の月間比率は全体の28.3%と高く、買い手市場で就職条件が厳しかった2003年の16.8%を大幅に上回っており、今年2カ月間の雇用数は退職数を26万9,500人上回っているために、今後も自主退職の比率が増加すると予想されている。
ブラジル地理統計院(IBGE)では、リーマンブラザーズ銀行の破綻をきっかけとした世界金融危機が発生した2008年の月間平均の失業率は7.9%、金融危機の影響を大きく受けた2009年は8.1%に上昇したために、自主退職も23.8%から21.7%に減少していた。
連邦政府は世界金融危機の影響を最小限に抑えるために、景気刺激策を導入したために雇用創出に繋がり、2010年から再び失業率が低下に転じて自主退職が増加してきている。
昨年は自主退職の比率増加に伴って、企業の都合による退職は全体の55.7%と過去最低記録となっており、全ての州で自主退職比率が増加している。
Caged管理センターの統計によると今年2月の新規雇用は15万600人と前年同月比では57%と大幅に減少、しかし、中銀の最終フォーカスレポートでは、今年の国内総生産(GDP)伸び率は昨年を上回る3.2%、来年は4.2%と更に増加するために、今後も雇用の拡大が予想されている。
製造業部門が小規模で職業選択に限界がある北部地域並びに北東部地域では企業の都合による退職比率が高く、今年2カ月間のピアウイ州の自主退職比率は11.8%、パライーバ州は12.0%、北大河州は13.7%と平均を大幅に下回っている。
製造業が発達している南部地域の自主退職比率は、全国的に最も高くサンタ・カタリーナ州は46.2%、パラナ州は40.1%、南大河州は35.8%、ブラジルの鉱工業部門の40%を牽引するサンパウロ州は32.9%と平均を上回っている。
農畜産部門が牽引する南マット・グロッソ州の自主退職比率は35.8%、マット・グロッソ州は34.8%と平均を上回っており、アマパ州は13.7%、マラニョン州は14.8%と平均を下回っている。
労組総連合統計社会経済調査局(DIEESE)のクレメンテ取締役は雇用が売り手市場となっているために、企業にとっては優秀な人材確保で過当競争となっているために、人件費の高騰につながっているとコメントしている。
クレメンテ取締役は「月収が800レアルのサラリーマンが1,000レアルのオファーがあればリスクはあるにも関わらず、躊躇することなく職場を替わる」と説明、特に建設部門では自主退職比率が最も高い。
DIEESE調査局の担当者は「数年前までは40歳以上の雇用のチャンスは殆んどなく、また経験のない若者にもチャンスはなかった」と状況が一変していることをコメントしている。(4月9日付けエスタード紙)