昨日、ギド・マンテガ財務相は、上院議会の経済問題担当委員会(CAE)で、ブラジル銀行の内輪揉めや国庫庁の不正告発問題について与党から圧力がかかっているにも関わらず、同委員会では、レアル高の為替の影響を受けて国内の製造業が大きなダメージを被っているために、製造業の活性化政策導入の説明に大半の時間を費やした。
7日、中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策誘導金利(Selic)を0.75%切下げて9.75%と一桁台のSelic金利に決定したが、更にSelic金利を年利が6.0%の社会経済開発銀行(BNDES)の長期金利(TJLP)に接近するまで継続して切下げることを強調した。
マンテガ財務相は、レアル高の為替の影響で国内製造業が価格競争力を失って輸出で打撃を受けており、また低価格の輸入製品の急増の影響で、国内生産減少による雇用創出に支障をきたしていると説明した。
同財務相は、BNDES銀行並びにブラジル銀行が製造業者向けに、低金利の運転資金向けの融資枠を準備中と説明、これと同様の融資枠は、2009年の世界金融危機時に実施されて以来となる。
また、マンテガ財務相は、欧米諸国による金融緩和政策導入で世界的に投機マネーがダブついているために、海外で低金利の資金を調達して高金利のブラジルの金融市場に投資するキャリートレードを防ぐために、連邦政府が大幅なSelic金利の利下げや金融取引税(IOF)の課税対象期間の5年延長などを実施していなければ、今頃はレアルの為替は、R$1.40まで上昇していると説明している。
同財務相が約束したリストでは、BNDES銀行並びにブラジル銀行が製造業者向けに低金利の運転資金向け融資枠の確保、また機械・装置部門や自動車パーツ部門、タイヤ部門、繊維部門の救済の一環として、社会保障院(INSS)への積立金軽減措置の適用を予定しているが、更に5部門で同じ積立金軽減措置の適用を検討している。
BNDES銀行では製造業部門向けの融資を拡大するために、国庫庁から新たに借与を受ける予定。また、輸出業者が海外で資金調達する場合は、期間5年以内の資金に対するIOF税は非課税となる。
輸出前受金(ACC)の借入に関して、360日以下の短期資金については、課税の対象外にするなどコスト削減を図る。白物家電に対する工業製品税(IPI)の減税政策の延長を実施する。経済成長加速プログラムの大衆住宅建設"私の家、私の暮らし"プロジェクトの推進、輸入製品に対するセーフガードの拡大や不正輸入の取り締まり強化を図る。
また、貿易を促進するために、各州が競って商品流通サービス税(ICMS)を引下げ税金戦争になっている現状を解決するための仕組み導入、並びにブラジル政府は自国通貨の為替レートを操作する国への制裁を求め世界貿易機関(WTO)に対して圧力をかけることなどを約束している。(2012年3月14日付けエスタード紙)