連邦政府は今年初めに今年の国内総生産(GDP)伸び率を5.0%と予想していたにも関わらず、今では3.5%と大幅に下方修正、世界通貨基金(IMF)ではブラジルのGDP伸び率を3.8%予想、調査対象国183ヵ国中で97位にランク付けしている。
昨年のブラジルのGDP伸び率は7.5%で31位、しかし今年はG-20諸国の中ではメキシコと並んで9位、トップは中国の9.5%、アルゼンチン8.0%、インドが7.5%と予想されている。
183ヵ国の中ではカタールの今年のGDP伸び率が18.7%と予想でトップ、ガーナ13.5%、モンゴルが11.5%と大幅な伸び率が予想されており、今年はジウマ政権では最低を予想、来年は5.5%、2013年並びに2014年は6.5%の伸び率が予想されている。
ブラジルのGDP伸び率の下方修正が余儀なくされている要因としてヨーロッパの債権危機、昨年のGDP伸び率が1986年以来の高率を記録して、国内消費過熱によるインフレ圧力増加に対する公共投資支出の削減、過去12カ月間の広範囲消費者物価指数(IPCA)は7.31%と連邦政府のインフレ目標の上限値6.5%と突破している。
東日本大震災でサプライチェーン網が寸断され、また上昇一途の円の為替による壊滅的な輸出の減少や欧米の景気の先行きの不透明で、日本のGDP伸び率はマイナス0.5%、債務危機に見舞われているギリシャでは公務員削減や年金カットなどの緊縮策の導入でマイナス5.0%とコートジボワールのマイナス5.5%よりは落ち込みは少ない。また債務危機の淵にいるスペインは僅かに0.8%の増加が予想されている。
8月のブラジルの失業率は6.0%と非常に低率で雇用状況は安定しているにも関わらず、今後の経済成長を続けるためには良質なマンパワーの絶対数が不足、IMFでは来年のブラジルのGDP伸び率を3.6%、2016年までは年平均4.2%の伸び率を記録すると予想している。
ブラジル、ロシア、インド、中国並びに南アフリカで構成されるBricsの中ではブラジルの伸び率は南アフリカよりも高いだけであるが、ロシアは世界金融危機の影響で2009年はマイナス7.5%と大幅に減少したために、いまだに国内経済の回復途中となっている。
ラテンアメリカではチリとペルーのGDP伸び率が注目されており、IMFでは今年のチリは6.5%、ペルーは6.2%を予想、チリは教育レベルが高く、FTAを多くの国と締結して自由貿易度が高く、一方、ペルーは重要な改革を断行して、ブラジルよりも先に投資適格国に指定されている。
G-20ではトルコのGDP伸び率予想が6.6%で4位、続いてサウジアラビア6.5%、インドネシア6.4%、ロシア4.3%、韓国が3.9%とブラジルの3.8%を上回り、南アフリカ3.4%、ドイツ2.7%、カナダ2.1%、オーストラリア1.8%、フランス1.7%、米国1.5%、英国1.1%、イタリアが0.6%とそれぞれブラジルを下回っている。(2011年10月16日付けエスタード紙)