今年のブラジルの国内総生産(GDP)の伸び率は5.0%以上で200万人の正規雇用が予想されているにも関わらず、社会保障院(INSS)の赤字は昨年のGDP比1.41%からGDP比1.57%に相当する523億2,000万レアルへの増加が予想されている。
現在の社会保障システムを継続すれば2044年にはINSSの赤字はGDP比2.85%に相当する6,810億レアルに達するために、ジョゼ・ピメンテル社会保障相は2019年までに年金システム改革の必要性を認めている。
カンピーナス大学(UNICAMP)のエドワルド・ファグナニ教授はインフレ指数を大幅に上回る最低サラリー調整やボルサ・ファミリアなどの補助金制度による支出を抑えて、国内経済が順調に伸びればINSSの積立金増加に結びついて、赤字が減少するとコメントしている。
しかしINSSのHelmet Schwarzer長官はブラジル人の寿命が延びて高齢化社会を形成しだしているために、年金受給年齢を引き上げる必要性を強調している。
インフレを大幅に上回る510レアルに引き上げられた最低サラリーが年金・恩給支給調整にも適用されるのは更に赤字を拡大させる要因となり、また大半の年金受給者はINSSへの積立金をしていないために、早急な制度の改正が必要であると指摘している。(2010年2月4日付けエスタード紙)