世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)をめぐる非公式閣僚会合は農業、鉱工業両分野の自由化ルールを定める市場開放の大枠で合意に至らずに交渉が決裂した。
米国は11月の米大統領選挙などを控え、交渉は当面、凍結される見通しで再開の目途が立っておらず、今後は二国間や多国間協定での貿易拡大の方向に進む可能性が濃厚となってきた。
ドーハ・ラウンドの決裂で世界貿易機関の権威低下が心配されるが、今後、ブラジルはメルコスルと米国、2004年から中断しているヨーロッパ連合との自由貿易協定を再開すると予想されている。
今回の交渉決裂で工業先進国は発展途上国への工業製品輸出の促進、中国や低コスト輸出国から先進国への自動車、繊維や化学製品の関税低減、米国、パラグアイやウルグアイの農業生産者の発展途上国への輸出増加、ラテンアメリカのバナナ生産者のヨーロッパ連合国への関税協定決裂でそれぞれ期待に反する結果となった。
しかし交渉決裂により自動車メーカーは輸入関税低減できなくなったが、インドや中国からの自動車輸出、発展途上国からの化学製品、米国の綿花生産者、アイルランドの食肉生産者、韓国の米作農家に対する農業保護の輸入関税や農業補助金の継続で今後も恩恵を受ける。(2008年7月 30日付けエスタード紙)