民間企業の従業員が「会社都合」で退職する場合、企業は積み立ててきた勤続期間保障基金(FGTS)の他に、FGTS積立金総額の50%を「罰金」として上乗せして支払わなければならず、罰金のうち40%は退職者本人に支払われ、10%は連邦政府が徴収する。
連邦政府は、50%の罰金の内退職者本人に支払われる40%を除いた10%はファンド運営費として徴収するが、民間企業にとって年間54億レアルに相当する不必要な臨時支出に繋がっている。
2017年11月11日から施行された新労働法の影響で、民間企業の従業員が「会社都合」による退職による労働訴訟は大幅に減少している一方で、民間企業にとって50%の「罰金」は負担が大きい。
勤続期間保障基金(FGTS)の罰金徴収は、フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ政権が1989年のヴェラン経済プラン(Plano econõmico Verão)並びに1990年のコロール1プラン(Plano Collor 1)による歳出補填のために開始した。
現在の連邦政府では、歳入減少に伴って各省庁に対する340億レアル以上に達する分配・交付金の支払遅延を余儀なくされているが、連邦政府の13省庁は、予算凍結措置で9月末までに政府機関の一部閉鎖を意味するシャットダウン状態に陥る可能性が濃厚となって首にナイフを突きつけられた致命的な状態に陥っている。
2020年度予算では裁量的支出向け予算が僅かに850億レアルであり、パウロ・ゲーデス経済相が統括する経済班は、人件費・扶助費・公債費向けの義務的支出の削減を余儀なくされている。
2020年の予算案では、最低サラリー調整はインフレ指数に伴う調整が予定されており、また年金・恩給改革の国会承認で2020年度の連邦政府の義務的歳出は、100億レアル~120億レアルの削減が見込まれている。
今年6月までの過去12カ月間のインフレ指数は3.37%を基本に来年の最低サラリーは調整されるにも拘らず、勤続期間保障基金(FGTS)関連のベネフィット支出の比率が高いために義務的支出が拡大する。(2019年8月28日付けエスタード紙)