下院議会リーダー30人のうち15人は、通称小切手税と呼ばれる金融取引暫定納付金(CPMF)の新CPMF税に反対しているが、新CPMF税の導入に対してロドリゴ・マイア下院議長は慎重になっている。
税制改革における連邦政府の優先事項は雇用促進、マルコス・シントラ経済省連邦歳入担当次官は、雇用の促進のために企業が支払う給与支払総額に対する各種課税の完全かつ永続的な免税措置を実施することで、税収の落ち込みを保証するための代替策の一つとして、全ての金融関連支払いに対し適用される新税の創出であると説明している。
150下院議員で構成されるセントロン(Centrao:中道多数派)のうち65%に相当する政党リーダーは新税創設に反対を表明しており、ジャイール・ボルソナロ大統領所属の下院議会で53議席を占める社会自由党(PSL)のリーダーであるゴイアス州選出Delegado Waldir議員並びにブラジル共産党(PCdoB)リーダーのDaniel Almeida議員が賛成を表明している。
企業は給与支払総額に対して20%に相当する金額を社会保障サービスの支払を余儀なくされているが、新しい支出分担金(CP)の税率は0.4%と当初の0.6%を大幅に下回る税率が検討されている。
Aginaldo Ribeiro下院議員(PP:進歩党=アラゴアス州選出)は、金融取引暫定納付金(CPMF) に替わる新しい支出分担金(CP)は、下院議会で議論する余地がなく、可決される余地は全くないと強調している。
PEC第45号の担当者でロドリゴ・マイア下院議長の後押しを受けているバレイア・ロッシ下院議員(MDB:ブラジル民主運動=サンパウロ州選出)は、新しい支出分担金(CP)創設で大衆の理解を得るのは難しいと更なる検討の必要性を感じている。
PEC第45号はエコノミストのベルナルド・アピー氏が起草し、連邦税の工業製品税(IPI)及び社会統合計画負担金(PIS)、社会保障負担金(Cofins)の廃止を想定しており、州税である商品サービス流通税(ICMS)と市税であるサービス税(ISS)も廃止する。さらに、地方政府と連邦政府の管轄で財並びにサービス取引に対する単一税(IBS)、連邦の管轄に限られる財並びにサービスに対する新税設立も想定されている。
上院議会では下院で準備されたルイス・カルロス・ハウリー元下院議員の改革案で、工業製品税(IPI)と金融操作税(IOF)、純利益に対する社会分担金(CSLL)、PIS及び公務員厚生年金分担金(Pasep)、Cofins、教育支援基金分担金、経済支配介入基金(Cide)、ICMS、ISSの廃止を想定している。財並びにサービス取引税(IBS)と名付けた州政府管轄となる付加価値税、連邦管轄の特定の特定財並びにサービス取引税を導入が検討されている。
パウロ・ゲデス経済大臣のスタッフの案では、最大で5種類(PIS及びCofins、IPI、IOFの一部、さらに恐らくCSLL)の連邦税を入れ替える。代替の税金として、2つの選択肢を俎上に載せている。すなわち、あらゆる支払いに対する税金、あるいは、附帯的な単一税の税率の引き上げである。もうひとつの取り組みとして連邦政府は、法人所得税(IRPJ)及び個人所得税(IRPF)の変更を準備している。
ブラジル200研究所の案では、都市土地・家屋税(IPTU)と自動車所有税(IPVA)を含めたすべての租税を置き換える単一税を設立する。輸出やマナウス・フリーゾーン(ZFM)などのその他の分野に関しては今後の議論を継続。金融支出分担金(CP)は一律2.50%の税率を検討している。
各州の財務局長らは、税制改革により設立される単一税の管轄を連邦政府から外す提案を準備している。加えて、連邦政府が連邦政府の専管となる単一税を導入する支持を国会で得た場合は、国会に対して各州政府が代替案として二重の付加価値税(IVA)を提出することを想定している。(2019年8月20日付けエスタード紙)