2018年度の個人所得税申請では、人口の上位19.7%の富裕層は医療保健関連支出に対する税控除比率は、全体の56%に相当する444億レアルに達して恩恵を受けている。
現在の個人所得税申請の医療保健に関する税控除では、税控除金額や比率などの規定がないために、富裕層は、無料の統一医療保険システム(SUS)の代わりに治療代や診察料金が高額な個人医師や私立病院を利用している。
連邦政府は特に富裕層が恩恵を受けている医療保健に関する税控除に対して、上限を設けることを検討しているとマルコス・シントラ経済省連邦歳入担当次官は説明している。
また教育分野では扶養家族の一人当たり3,561.50レアルの控除枠を設けているが、所得の高いほど恩恵を受けており、2017年の10最低サラリー9,370レアル以上の所得層は、全体の40%に相当する86億レアルの税控除を受けていた。
2018年度の個人所得税申告では、月間平均サラリーが2,811レアル~4,685レアルは794万5,451人が申告したが、医療保健に関する税控除総額は41億800万レアル、教育に関する税控除総額は101億7,300万レアルであった。
また月間平均サラリーが4,685レアル~6,559レアルでは422万858人が申告、医療保健に関する税控除総額は41億9,000万レアル、教育に関する税控除総額は109億600万レアルで1クラス下よりも恩恵を受けている。
10最低サラリー相当の9,370レアル~1万4,055レアルでは僅か242万9,334人が申告したが、教育に関する税控除総額は35億9,300万レアル、教育に関する税控除総額は128億8,540万レアルに達している。
また2万8,110レアル~3万7,480レアルでは僅か46万6,460人が申告、教育に関する税控除総額は6億8,900万レアル、教育に関する税控除総額は53億4,200万レアルに達している。
人口の1.1%に相当する最富裕層は、総額4,147億レアルに達する税控除を受けており、これは申告所得総額9,081億レアルに半分近く相当する税控除の恩恵を受けている。
ジャイール・ボルソナロ大統領は、大統領選挙キャンペーンの公約である個人所得税の控除額1,903.98レアルを5,000レアルに引上げるために国庫庁に圧力をかけているが、控除額を5,000レアルに引上げると400億レアルの歳入減少となる。
連邦政府は税制改革の一環として、個人所得税が免税となる所得額水準1,903.98レアルをインフレ指数による調整並びに2015年を最後に継続されている所得に比率した個人所得税率の見直しを検討している。
税制改革による国庫庁の大幅な歳入減少を補填するために、上場企業の純利益に対する株式配当金の支払い義務などが生じる可能性があり、パウロ・ゲーデス経済相は、連邦税の社会統合計画賦課金(PIS)並びに社会保障賦課金(Cofins)、市税のサービス税(ISS)、また金融操作税(IOF)の一部、可能性の高い純利益に対する社会納付金(CSLL)を包含する付加価値税(IVA)と呼ばれる単一連邦税を検討している。(2019年8月18日付けエスタード紙)