今年3月23日、米国のドナルド・トランプ大統領は、突発的に国家の安全保障上の脅威になるとして、通商拡大法232条に基づいて鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限を発動した。
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、上院財政委員会公聴会で、北米自由貿易協定(NAFTA)を再交渉中のカナダとメキシコに加えて、更にオーストラリア、EU、アルゼンチン、ブラジル、韓国の計7カ国・地域を当面、輸入制限の対象から除外すると発表していた。
しかし4月30日にトランプ政権は、ブラジルなど3か国との間で、この措置の対象から完全に除外する方向で基本的に合意したと発表、連邦政府は、米国がこの措置の対象から除外されるための交渉を一方的に打ち切ったと発表している。
ブラジル鉄鋼院(IABr)のマルコ・ポーロ・メロ・ロペス会長は、米国向けブラジル製鉄鋼製品の輸出枠削減を受け入れると発表、米国向け鉄鋼製品の80%は米国の製造業部門向け原材料となる半完成品で前年比7.4%減少の320万トンの輸出枠を受け入れる。
一方付加価値の高い鉄鋼製品に対する追加輸入関税は、20%~60%とそれぞれ製品によって追加輸入関税が異なる。2017年の米国向け鉄鋼製品輸出は25億ドルを記録していた。
ブラジル製鉄鋼製品のうち付加価値の高い鉄鋼製品に対する輸入枠が2015年~2017年の平均値が採用された場合は30%の輸出減少に繋がるとロペス会長は指摘している。
ブラジルアルミ協会(Abal)のミルトン・レゴ会長は、米国が指摘しているアルミ製品に対する10%の追加輸入関税は、輸入量制限よりも被害が少ないと受け入れを表明しているものの米国政府の出方を待っている。
米国政府は連邦政府に対して、過去5年間平均の年間4万1,000トンの輸入枠を提示している。しかし昨年のブラジルの米国へのアルミ輸出は5万5,000トン、今年は6万トンが見込まれているために、10%の追加輸入関税を選択すると予想されている。(2018年5月2日付けエスタード紙)