日本進出企業では、ブラジル並び周辺諸国での一層の投資環境整備強化のために、EUメルコスール並びに韓国メルコスール経済連携協定(EPA)締結よりも早いEPA締結を経団連はブラジル全国工業連盟(CNI)と一緒に模索している。
経団連並びにブラジル全国工業連盟(CNI)では、過去数年間に亘ってEPA協定締結で話し合いを続けているが、2000年~2014年の日本からブラジルの輸出金額は2倍に増加した一方で、ブラジルからの輸入金額は3倍に増加している。
経団連とCNIは2017年8月28日、29日にクリチーバ市で開催された第20回日本ブラジル経済合同委員会に於いて、2015年に公表した日伯EPAに関する共同報告書の対象を日メルコスールに拡大、次回の会合は、今年7月に開催される第21回日本ブラジル経済合同委員会が予定されている。現在メルコスール域内4カ国の日本進出企業を対象にアンケート調査を実施している。
メルコスールとEU並びに韓国とのEPA協定締結が先に行われれば、日本進出企業にとって輸入関税などで不利な立場となり、またメルコスール側から日本とのEPA協定締結の要望が強い。
2010年~2013年の日本企業のラテンアメリカ向け平均直接投資は69億ドル、投資残高は1200億ドル、また日本企業の2001年~2017年のブラジル向け直接投資は338億ドル、特に2011年は75億ドルに達していたが、昨年は僅か5億3700万ドルまで縮小している。
プレソルト油田開発向けにペトロブラスが資本参加をして2011年に設立されたプレソルトの原油・天然ガス開発向けプラットフォームFPSOを建造する目的で設立されたSete Brasil社のFPSO建造キャンセルの影響で、ブラジル国内の造船会社に資本参加していた日本の造船会社が壊滅的な影響を受けていた。
しかしブラジルには150万人~190万人の日系人が生活している上に、ラテンアメリカ諸国は、日本向けの天然資源の41%を輸出する地域であり、また日本の鉄鉱石消費の12%、原油9.0%、銀の8.0%を供給、消費する食料品の60%は、開発途上国からの輸入に依存している。
最近の中国のラテンアメリカ向け投資拡大で、日本の投資は存在感が薄れてきているが、日本の投資はウジミナス製鉄所への投資のように50年単位の腰を落ち着けた長期投資であると日本政府機関のエコノミストは説明している。
安倍晋三政権の経済政策のアベノミクスにおける成長戦略、規制改革といった政策課題では、TPPや日・EUのFTAにもつながり、メキシコでの米国向け自動車生産拡大に拍車がかかった。(2018年4月2日付けヴァロール紙)