ブラジルの労働法は、世界で最も労働者に手厚い保護を70年以上に亘って継続していたにも関わらず、昨年11月11日から新労働法が施行されたが、施工後1か月も経たないうちに、早々に集団解雇を実施した企業に対して、管轄の労働組合は反対声明をだしている。
新労働法の改定項目は200項目以上に及んで勤務時間や勤務体系、休暇取得などについては労使間合意での柔軟な対応ができるようになり、また労働契約解除も容易となり、現行労働法には含まれていなかった在宅勤務なども可能となっている。
しかし上級労働裁判所(TST)の判事で構成される委員会では、新労働法が施行された11月11日以前の労働契約は、既得権利であって、新労働法の適用は11月11以降に締結された労働契約が対象と判断している。
11月11日以前の旧労働法では、雇用主が通勤のための移動手段を提供する場合は勤務時間とみなされていたが、新労働法では通勤時間は交通の手段を問わず、通勤時間には加算されないに変更されているが、上級労働裁判所(TST)では、新労働法の適用は11月11日以上の労働契約のみ有効としている。
また出張中の食費、交通費、宿泊費などが基本給の50%を超えた場合賃金とみなされていたが、新労働法では金額のいかんに関わらず基本給とみなされないが、上級労働裁判所(TST)では、新労働法の適用は11月11日以上の労働契約のみ有効としている。
10年以上勤務した労働者に対して、長期勤続に対する功労として基本給にプレミアムを付けていたが、新労働法では長期勤続に対する功労を廃止しているが、上級労働裁判所(TST)では、新労働法の適用は11月11日以上の労働契約のみ有効としている。(2018年1月9日付けエスタード紙)