ブラジル地理統計院(IBGE)の月間雇用調査(PME)によると、8月の6大都市圏の失業率は、ブラジル経済のリセッションやラヴァ・ジャット作戦による汚職問題によるゼネコン大手の入札参加中止や資金繰りの悪化などの要因で、製造業部門や建設業部門の雇用が大きな打撃を受けている。
8月の6大都市圏の平均失業率は7.6%に相当する185万人に達して2009年8月以降では最大の失業率を記録、「7年間かけて創出した雇用は過去8か月間で損失」と急激な雇用状況悪化をリオ連邦大学経済学部のジョアン・サボイア教授は指摘している。
8月の6大都市圏の平均失業率は、前年同月比では1.8%増加で9か月連続で増加傾向となっており、米国の格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による長期外貨建ての「BBプラス」のジャンク級への引下げ、ドル高の為替、金利の高止まり、ラヴァ・ジャット作戦の汚職問題拡大、連立与党内の亀裂拡大などの要因で、ブラジル国内経済の回復要因は見当たらないために、今後数か月間以上に亘って雇用状況の改善を難しいと予想されている。
8月の6大都市圏では41万5,000人が新たに失業、そのうち約半数の22万1,000人が就職活動入りして総数63万6,000人が統計上では失業中となっており、特に25歳から49歳の世帯主層の失業率が増加して、連邦政府は深刻な状況改善に早急に取り組む必要がある。
「失業率回復には現在のドル高の為替は輸出向け産業の雇用創出につながり、また失業者増加による一般消費減少は金利減少につながる要因」とジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)エコノミストのフェルナンド・デ・オランダ・バルボーザ教授は説明している。
8月の6大都市圏のセクター別就業者数比較では、鉱工業セクターの就業者数は前年同月比マイナス5.5%、建設業セクターはマイナス6.7%、商業セクターは1.4%増加、法人向けアウトソーシングサービス業セクターはマイナス2.6%、教育・保健・公務員セクターは1.1%増加、個人向けホームヘルパー関連サービス業は4.7%増加、その他のサービス業は3.5%増加している。
8月の6大都市圏の民間部門の労働手帳に記載される正規雇用は前年同月比マイナス3.8%、民間部門の非正規雇用はマイナス4.1%、自家営業者は2.2%増加、雇用主はマイナス4.1%となっている。(2015年9月25日付けエスタード紙)