今年の経常収支赤字は、ブラジル経済のリセッション並びにレアル通貨に対するドル高の為替の影響で、700億ドルと昨年の103億6000万ドルから30%以上減少すると中銀のアレシャンドレ・トンビーニ総裁は上院議会経済問題担当委員会(CAE)で説明している。
過去12か月間のレアル通貨に対するドルの為替は66%上昇、経済リセッション入りで今年の国内総生産(GDP)伸び率は大幅に減少、しかし二桁台の伸び率が予想される貿易収支黒字、今年8か月間の利益・配当金送金の30%減少などの要因で、経常収支赤字の減少に結び付くと予想されている。
今年の経常収支はGDP比4.17%の赤字計上が予想されており、昨年の経常収支のGDP比4.4%の赤字から減少が予想されており、更なる利益・配当金送金の減少並びに更なるドル高の為替になるとGDP比4.0%を割る可能性も指摘されている。
ドル高の為替は輸入製品の減少並びに輸出の増加で経常収支赤字の減少に結び付く一方で、海外での資金調達並びに外資系企業による対内直接投資に対する意欲減少につながる。
また新興国が持続的経済成長を維持するには経常収支赤字をGDP比3.0%に抑える必要があるにも関わらず、特にブラジルは国内の貯蓄率が低いため製造業部門向け直接投資の外国資本への依存度が非常に高い。
今年初め7か月間の対内直接投資は前年同期比33%減少したにも関わらず、経常収支赤字の84%をカバーしており、またドル高の為替の影響で特に輸入減少による貿易収支黒字が改善しているために、今年の対内直接投資は経常収支赤字を充分にカバーすると予想されている。
中銀の最終フォーカスレポートによると、今年の経常収支赤字は更なるドル高の為替予想で前回予想の770億ドルから735億ドルに下方修正、来年も674億5000万ドルから650億ドルに下方修正されている。
今年のレアル通貨に対するドルの為替予想は、1か月前のR$3.48 からR$3.70、来年はR$3.60からR$3.80とそれぞれ更なるドル高の為替を予想、経常収支赤字は更に減少すると予想している。
スイス・クレジット銀行チーフエコノミストのニルソン・テイシェイラ氏は、来年の経常収支赤字はGDP比2.1%に相当する300億ドル、ドルの為替はR$4.50、今年の経常収支赤字はGDP比3.9%、ドルの為替はR$4.25を予想している。
スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によるブラジルの長期外貨建てソブリン格付け「BBBマイナス」から1段階下の「BBプラス」のジャンク級に引下げ前のイタウー・ウニバンコ銀行経済班では、今年のレアル通貨に対するドルの為替をR$3.55、来年はR$3.90と予想していたが、格下げ後はR$4.00、来年はR$4.25を予想していた。(2015年9月18日付けヴァロール紙)