米国の格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、ブラジルの長期外貨建てソブリン格付けを「BBBマイナス」から1段階下の「BBプラス」のジャンク級に引下げたが、連邦政府は他の格付け会社のムーディーズ社若しくはフィッチ社の格下げを阻止する緊急な財政緊縮政策や増税政策の採用を余儀なくされている。
先月末にネルソン・バルボーザ企画予算相が提出した2016年度連邦予算案では歳入減の影響で、財政プライマリー収支は国内総生産(GDP)の0.5%に あたる305億レアルの赤字を発表した影響も含めてソブリン格付けは下げられた。
しかし連邦政府は新たに2016年の財政プライマリー収支黒字 GDP比0.7%に相当する438億3,400万レアルを達成するため更なる支出カット並びに増税政策を発表、他の格付け会社による格下げ危機を切り抜けている。
連立与党であるPMDB(ブラジル民主運動党 )のエドアルド・クーニャ(Eduardo Cunha)下院議長並びにレナン・カリェイロス(Renan Calheiros)上院議長は、財政プライマリー収支の黒字目標のための公共支出の大幅カットや一連の増税政策の国会での承認を得ることに対して否定的な見解を行っている。
中銀のアレシャンドレ・トンビーニ総裁は、「2016年のインフレ指数を4.5%まで引き上げるには辛抱強くあらゆる犠牲を払う必要があり、当面は現在の政策誘導金利(Selic)14.25%の継続は余儀なくされる」と説明している。
カルドーゾ政権が提唱したマクロ経済の3本柱である「インフレ・ターゲット」「変動為替相場制」「プライマリー収支目標の設定」からなる経済政策をルーラ政権は継承、トンビーニ総裁は現在の経済危機を乗り切る理想のモデルであると強調している。
民間金融市場での金利は、ラヴァ・ジャット作戦による汚職問題の拡大や与党連合の亀裂危機などの影響で、7月末から先週にかけて13%からすでにSelic金利14.25%を上回る15.0%まで上昇している。(2015年9月16日付けエスタード紙)