ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、6月の製造業部門の生産は前月比マイナス0.3%に留まったが、前年同月比ではマイナス3.2%と大幅に落ち込んでおり、2008年のリーマンブラザーズ証券会社破産をきっかけとした世界金融危機後の2009年7月の水準まで下落している。
今年第2四半期の製造業部門の生産は前年同期比マイナス6.7%、今年上半期の生産はマイナス6.3%、過去12か月間ではマイナス5.0%とそれぞれ大幅に下落して回復傾向の不透明なリセッションに陥っている。
今年上半期の製造業部門の生産がマイナス6.3%まで落ち込んでいる要因として、企業経営者並びに一般消費者の景況感の悪化、特に製造業部門の失業率の増加、インフレ指数の高止まりや軽減しない家庭の負債などによる可処分所得の減少で、一般消費者の購買力が失われてきている。
レアル通貨に対するドル高の為替は、付加価値の低い輸入工業製品販売から国産品販売増加を促す効果につながるとGO Associados社経済調査担当のファビオ・シルヴェイラ取締役は説明している。
レアル通貨に対するドル高の為替がR$3.30で推移すれば今年の工業製品の生産は前年比4.0%~4.5%減少、ドルの為替が更に上昇すれば付加価値の高い工業製品の輸出増加につながる一方で、ブラジル企業の外貨建ての負債が急増するとファビオ・シルヴェイラ取締役は説明している。
6月の製造業部門の資本財セクターの生産は前月比マイナス3.3%、前年同月比マイナス17.2%、今年上半期はマイナス20.0%、過去12か月間ではマイナス15.4%となっている。
また前期同様に中間財セクターはマイナス0.2%、マイナス1.7%、マイナス3.1%、マイナス3.1%、消費財セクターは0.0%、マイナス2.4%、マイナス8.6%、マイナス5.6%、そのうち耐久消費財セクターはマイナス10.7%、マイナス2.4%、マイナス14.6%、マイナス12.3%、非耐久消費財セクターは1.7%増加、マイナス2.4%、マイナス6.7%、マイナス3.5%となっている。(2015年8月5日付けエスタード紙)