インフラ事業の民営化。2013年9月と10月に、事業入札が集中的に実施される予定で、見込まれる投資額は4,890億レアルに達する。大統領府執務室は今、経済問題がジウマ大統領の再選に向けた選挙運動の成否の鍵を握っていると受け止めている。
2013年第1四半期の国内総生産(GDP)が落胆するような水準だったことで、ジウマ政権は、やり尽くした感のある消費振興をベースにした成長促進政策を放棄し、その役割を投資に戻して戦う戦略を採用した。これに伴い、楽観的に見て9月にも可能ながら本来は12月に始まるべき事業入札計画に対し、一切の遅れを認めないという大号令が下された。
連邦政府の投資計画の要となるロジスティクス企画公社(EPL)のベルナルド・フィゲイレード総裁とミリアン・ベルキオル予算管理大臣は、その成果を残すという点でも、プレッシャーを受けることになる。ジウマ・ロウセフ大統領の有る補佐官の言葉を借りるならば、この2人は、計画の履行を加速させるために鞭をたたかれる事になる。既に発表された民間への事業認可計画で期待される投資は、4,890億レアルである。
大統領府執務室は、2014年にやって来るジウマ大統領再選に向けた選挙運動が成功するには、今や、景気問題が最大の争点になったと受け止めている。「ピビーニョ(わずかな成長に止まったGDP)」に活を入れ成長を促進することに全力を注ぐ。さらに、大統領府執務室はインフレ問題が有権者の期待感に悪影響を及ぼすことを避けるための戦術も模索する。
連邦政府と労働者党(PT)の分析では、生活コストの上昇が大衆の記憶に焼き付いており、投票に影響を与える。ブラジル民主社会党(PSDB)から大統領選に立候補する可能性のあるアエーシオ・ネーヴェス上院議員(ミナス・ジェライス州)が、同氏の選挙運動のスローガンにインフレ退治を採用したのは、何も偶然ではない。ネーヴェス氏のスローガンは「富裕国とはインフレのない国のこと」というもので、「富裕国とは貧困のない国のこと」というジウマ政権の標語を皮肉っている。
第1四半期のGDP成長率がわずか0.6%だったという報告を受け、ジウマ大統領は激怒した。大統領自身も景気の回復が緩やかだということは認識していたが、今回のような貧弱な経済活動に驚きを隠せず、ギド・マンテガ財務大臣に対してこれまで以上に対策を求めた。
財政調整。インフレを伴う低成長という泥沼から脱出するため、ジウマ大統領は投資を加速させようと試みている。だが、この道は単純なものではない。「必要とされる調整」を連邦会計検査院(TCU)が求めるとベルナルド・フィゲイレードEPL総裁が言うように、事業認可には新たな遅れが生じかねない。
それに加えて、民間部門が投資に踏み出すよう納得させる要がある。この点で政府は、これまで失敗続きなのだ。その上、新たな問題が出現した。9月と10月に実施される事業入札の文字通りの「渋滞」だ。
様々な景気刺激策を発表した後、大統領府執務室内の体制は、現在、既に発表された政策の実施に向けた対応一色である。しかも、今後2つの新しい政策発表が加わる。4日にジウマ大統領が発表する、およそ1,400億レアル規模の意欲的な農業収穫融資計画。さらに、18日には、法案の国会提出を受けた新資源業界基本法の発表を予定する。
ブラジル経済基本金利(Selic)が引き上げられたが、PTは、2014年に展開するジウマ大統領の選挙運動の3本柱に、「電気」と「食糧」、「金利」を据える方針。PT関係者らは2013年下半期に金利が低下することに自信を見せる。
もし台本通りに事態が進捗すれば、ジウマ大統領の選挙運動には、減税と利下げ、電気料金の値下げをパッケージするというのが、PTの判断だ。その戦略では、例えば生活必需品セット(基礎食料品や家庭用品などのパッケージ)に対する減税措置と電気料金の値下げといった政策が、所得の分配に貢献し、ブラジルが中産階級で構成される国に変貌するのに寄与した政策の一部として紹介されることになる。(2013年6月2日付けエスタード紙)