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製造業界は連邦政府に自由貿易協定促進で圧力をかける 2013/06/04

ブラジル国内の製造業界は、過去数年に亘って国内市場を守るために、連邦政府に対して関税などの導入による保護貿易を要請していたが、南米諸国の積極的な二国間自由貿易協定締結で、ブラジルの南米向け輸出が大幅に減少しているために、一転して連邦政府に二国間自由貿易協定の締結を要請する準備を行っている。

産業開発研究院(Iedi)は、今週中にジウマ・ロウセフ大統領にブラジルの特恵関税制度が進んでいない現状の分析並びに緊急を要する自由貿易協定を促進する奨励策を提示する。

化粧品メーカーのナツーラ社の共同設立者であるIedi研究院のペドロ・パッソス会長は、「ブラジルの企業経営者、連邦政府並びに社会はいままでのように、自由貿易協定の締結を行わないと世界の潮流から取り残され、第一次産品の輸出比率が増加するだけ」と警告している。

メルコスールを改革する先導役の準備をしているサンパウロ工業連盟(Fiesp)国際関係・貿易担当のロベルト・ジアネッテ・フォンセッカ取締役は、「アルゼンチンやヴェネズエラがパートナーとなっているために、一向に進展しないメルコスールの改革が必要であり、メルコスール域内全体の協定並びに加盟国が関税並びに期間などを自由に決めるのが理想」と説明している。

Iedi研究院では、ブラジル政府は2001年から始まった世界貿易機関(WTO)のドーハラウンド交渉だけに集中して特恵関税制度をなおざりにして、メルコスール以外の経済ブロックとの自由貿易協定を進めなかったために、遅れをとっているのが現状であるが、WTOの次期事務局長に選出されたブラジル人のロベルト・アゼヴェード氏がドーハラウンドの将来がテーマとなるWTO会議を12月に行う予定となっている。

1970年から80年代にかけてブラジルの工業生産は世界の3.0%、世界の工業製品輸出の1.5%を占めていたが、今では1.7%、0.7%とそれぞれ大幅に減少して、中国並びに韓国にマーケットシェアを奪われている。

Iedi研究院では、特恵関税制度を基に二国間の自由貿易協定の規定として保護貿易や投資障害につながるセーフガードや関税を適用しないことを奨励しており、またジェトリオ・ヴァルガス財団(FGV)の世界貿易・投資センターのコーディネーターのヴェラ・トルステンセン女史は、「ブラジルの製造業界では昨年までブラジルコスト並びに為替安で競争力を失うと自由貿易協定に反対していたにも関わらず、中国製品が席巻して競争力を失ってきており、連邦政府に圧力をかけて解決策の必要性を漸く認めている」と説明している。

自由貿易協定を積極的に進めるラテンアメリカ諸国はブラジルの工業製品輸入を削減

伝統的にブラジルの工業製品の輸出相手国であったラテンアメリカ諸国は、過去5年間に米国やヨーロッパ連合を含む多様な経済ブロック地域と自由貿易協定を積極的に締結した影響で、ブラジルは輸出競争力を失ってきている。

全国工業連合(CNI)の統計によると、世界金融危機が発生した2008年から2011年にかけて、ブラジルはアルゼンチン、メキシコ、ペルー、コロンビア、チリ、エクアドル、ヴェネズエラ、パラグアイ並びにボリビア向け輸出で54億ドル減少して、中国、米国ヨーロッパ連合並びにメキシコにマーケットシェアを奪われている。

チリの二国間自由貿易協定はヨーロッパ連合27カ国を含む62ヵ国と締結、コロンビアは60ヵ国、ペルーは52ヵ国、メキシコは50カ国とそれぞれ締結しているにも関わらず、ブラジルと貿易協定を締結しているのは22ヵ国あるにも関わらず、大半は貿易規模の小さいイスラエル、エジプト、パレスティナ並びに南部アフリカ関税同盟(SACU)などと締結しているが、最後の3地域とはいまだに実施されていない。

CNI連合国際取引ユニット部のソライア・ロザール部長は、伝統的にブラジルの企業経営者は国内工業保護のために国内市場に目を向けていたが、各国が積極的に自由貿易協定締結しているために、ブラジルの製造業は蚊帳の外に置かれていると説明している。

ソライア・ロザール部長は、「CNI連合はブラジルの製造業部門が競争力並びに完成品や半製品の輸出が減少してきているために、ブラジルが自由貿易協定促進の必要性に迫られており、自由投資協定を促進しないと世界の貿易から取り残されるリスクがある」と説明している。

全国自動車工業会(Anfavea)のルイス・モアン会長は、ブラジル製造業全体では競争力の低下並びに生産性の低さが顕著になってきているために、自由貿易協定を進める過渡期であると説明、業界では2017年に100万台の自動車輸出を計画しているが、7年前は90万台を輸出していたにも関わらず、2012年は44万2,000台に減少、今年は42万台を予想、Anfavea工業会では、メルコスールとヨーロッパ連合との自由貿易協定では、自動車業界にとって慎重な取扱いが必要な要請書をすでに連邦政府に提出しているとモアン会長は説明している。

多くの製造業は自由貿易協定締結に対して支持しているが、ブラジルの全ての製造業が同意しているわけではなく、財務省経済政策課のジューリオ・ゴメス・デ・アルメイダ元課長は、「関税率の取り決めは色々な要素がからんでいるために長期的な視点で検討しなければならないが、時間との戦いでもある」と説明している。

ブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は、「現在の世界的な金融危機の中で、各国は輸出の増加並びに輸入の減少で貿易収支の増加を図っている時に自由貿易協定を推進するのは難しい」と説明している。

大きな自由貿易協定をなおざりにしてきたブラジルにとっては、自由協定締結を図るのはより難しく、2007年のブラジルの輸出企業は2万889社あったが、現在は2,259社減少の1万8,630社まで減少、輸入企業は2万8,911社から1万3,547社増加の4万2,458社に増加、昨年の59社の輸出企業が減少したのに対して、輸入企業は776社増加しているとAEB貿易会の統計に表れている。

ブラジルが自由貿易協定締結を進めなければ、世界貿易の枠組からスピンオフ

製造業界の重鎮が集まるIedi研究院のペドロ・パッソス会長は、ブラジルが自由貿易協定推進の波を利用すれば世界市場での輸出拡大に間に合う可能性があると説明している。

質問 ブラジルでの自由貿易協定推進の動きはいつ始まったのか?

回答 貿易拡大が順調に行っている時は問題なかったが、完成品の輸入増加並びに輸出の低下が継続してきており、ブラジル国内マーケットでの完成品販売では限界があることに企業経営者は気付いたが、世界の潮流に乗り遅れたことに気付いた。

質問 ブラジルの製造業界は国内市場規模で充分とみていたのか?

回答 世界経済の拡大による輸出の増加、中間層の増加、拡大するクレジット、拡大する消費市場などで経済成長が安定しているときは、製造業部門の国内販売は順調に推移していたが、国際コモディティ価格の下落、生産性よりも高い生産コストの上昇などの要因で製造業の輸出が減少、100億ドルの貿易黒字から一転して5,000万ドルの赤字に転落している。

質問 逆転の可能性は?

回答 過去の条件よりも良くなっている。充分な外貨準備高、良好な経済ファンダメンタルズ、多様化している製造業などで新たに輸出拡大は可能であり、それは天然資源の輸出ではなく、付加価値の高い完成品の輸出である。

質問 ブラジルは厳しい状況の時に貿易拡大のために準備しなかったのか?

回答 ブラジルは競争力をつけることやコモディティ製品以外の製品輸出の拡大をするための準備が遅れ、なおかつ自由貿易協定の推進を怠った事が他の国と違っており、また最近では世界の二国間の自由貿易協定の推進もあまり行われていない。

質問 なぜブラジルは自由貿易協定が止まったままになったのか?

回答 自由貿易協定を推進するプライオリティが低かった。安定した経済、中間層の拡大、国内消費の拡大などの要因で、海外で競争する必要性のないシナリオ、農畜産部門が輸出を牽引していたために、自由貿易協定を推進する必要性がそれほどなかった。

質問 今、何をしなければならないか?

回答 今、ブラジルは大きな経済ブロックもしくは多国間自由貿易協定締結の可能性を早急に検討する必要があり、米国とヨーロッパ連合の交渉、アジアの一部での交渉、メキシコ、コロンビア、ペルー並びにチリの太平洋同盟がある。

質問 連邦政府もしくは企業経営者はどう考えていたか?

回答 我々は安定したインフレ、豊富な外貨準備高、拡大する国内消費などで企業経営者側だけでなく、連邦政府にとっても最適な状態が継続していたが、2年前までのブラジルは世界から大いに注目を集めていて、それほど自由貿易協定を重要視していなかった。

質問 失ったものを取り返す可能性は?

回答 心配する状態にはあるが、我々は取り返す手段を持っている。我々には豊富な天然資源があり、輸出のマーケットシェアは失ったが、多様な製造業をかかえ、また競争力、膨大な投資残やノウハウがあるが、貿易政策の再始動が必要である。

質問 どのように進めるのか?

回答 それは多岐に亘るマクロエコノミーに係るデリケートなプロセスで基本的な変更が必要となる。 規制の解消、エフィシエンシーの拡大、教育などを駆使して生産性の拡大、競争力の強化、製造部門向け原材料の減税などを行う。

質問 この競争力で充分か?

回答 特定の製造業セクターが適合しないならばこの原材料を受け入れるために市場開放する必要があるが、無責任に市場開放することはしてはいけない。


質問 この貿易政策をどのように描いているのか?

回答 関税に重点を置くのではなく、例としてメルコスールのような消費者関連の調和のとれた規制に重点を置くことが重要であり、自由協定を制定するのに定石はないが、ブラジルは世界の自由貿易協定に外れるような協定を作ってはならない。例えばトウモロコシ、鉱物、石油生産者には有利な協定ではなくて、製造業部門の成長を促進するような協定。

質問 今日のブラジルの自由貿易協定の評価は?

回答 今のブラジルの自由貿易協定はメルコスール、残りは世界の貿易にとっては取るに足らないものばかり。我々は北米、ヨーロッパ、アジアと競争しなければならない。これらはイノベーションや競争力強化の源泉であり、貿易拡大にはハイレベルを維持しなければならない。

質問 メルコスールと ヨーロッパ連合国との自由貿易協定は優先されるのか?

回答 ヨーロッパの債務危機でいまだに優先順位が高いのかは分からなし、ヨーロッパ連合も好都合と捉えているのか分からない。アルゼンチンやヨーロッパ連合自身の動きが遅く、自由貿易協定を解決したいのか分からないがブラジルが牽引している。

質問 達成の目標は?

製造部門のどのセクターの貿易を伸ばしたいのか、われわれは革新的で素晴らしい機械・装置の更なる輸入の開放をする必要があり、また輸出を促進する必要があるが、ブラジルの貿易は未だに閉鎖的である。

質問 連邦政府はこれらの意見をどのように理解しているのか?

回答 連邦政府の自由貿易協定促進を理解するには難しい。ブラジルは自由貿易協定促進を加速する必要があると感じるが、それは早急に自由貿易協定を促進することには結びつかない。私は最優先してほしいが、誰が自由貿易協定促進を牽引するのか我々には分からない。

太平洋側の近隣諸国は自由貿易協定促進で急速に貿易拡大

メキシコ、コロンビア、ペルー並びにチリが加入する太平洋同盟は今月6日で発足1年を迎えるが、自由貿易協定の締結は短期間に貿易拡大を促進する見本となっている。

この加盟4カ国の国内総生産(GDP)は南米の49%を占め、対内直接投資の49%を占めており、昨年の加盟国のGDP伸び率はラテンアメリカ平均の3.1%をそれぞれ上回っており、ペルーは6.3%、チリ5.5%、コロンビア4.8%、メキシコは3.5%であった。

太平洋同盟のオブサーバー国は16カ国に達しており、コスタリカが正式に加盟国入りすると予想されており、太平洋同盟の貿易の90%が免税となっている。

チリは21種類の自由貿易協定を締結、2012年の対内直接投資は300億ドル、直接投資の50%は銅開発セクター、金融セクター、電力エネルギーセクター並びに公共投資セクターで150億ドル、また民営化コンセッションによる道路建設などの投資も積極的に行われている。

メキシコは13種類の自由貿易協定を締結、ペルーは12種類、コロンビアは11種類あり、自由貿易協定は地域の貿易問題解決に留まらず、世界貿易拡大の歯車役を担っており、2008年の世界金融危機を発端に、新しいマーケット開拓のために自由貿易協定の締結が加速している。(2013年6月4日付けエスタード紙)

 



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