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【(インタビュー)エンリケ・ペーニャ・ニエト「我々は競争を恐れない」】 2013/05/06

(2013年5月6日付けベージャ誌)

メキシコのエンリケ・ペーニャ・ニエト大統領は、自由貿易協定がメキシコの救世主になるとし、また、同国の経済成長が貧困対策の柱になると、信念を語る。

弁護士でもある同大統領は、46歳。トレードマークである髪型には、わずかに白髪が混じるが、情熱的な語り口はいかにもフォトジェニックである。

昨年12月にメキシコ大統領に就任。所属政党は、ペルー人のマリオ・ヴァルガス・リョサの言葉を借りると「完璧な独裁政権」として70年にわたって与党として君臨した制度的革命党(PRI)で、同大統領はそのニューフェイスである。ペーニャ大統領の最大の成果は、構造改革を促進するための超党派の大連立、「メキシコのための協定」を締結したことだ。そして最大の誤りは、それを失いかけたことである。4月に同大統領は、選挙法違反で告発された大臣を擁護したために、野党国民行動党(PAN)より大連立の連立破棄も辞さないと非難された。

統治能力を回復するとともに、ペーニャ大統領は、麻薬犯罪に絡む暴力と、貧困対策にも取り組んでいる。

経済に関しては、同国は、順調な軌道に乗っている。インフレが十分に抑制され自由主義政策が採用されており、2012年に同国のGDPは3.9%の成長を達成、0.9%にとどまったブラジルとは対照的だ。ペルーで開催されたラテンアメリカを対象にした世界経済フォーラムに参加したペーニャ大統領は、今回、リマでベージャ誌のインタビューに応じた。

-なぜメキシコは、ブラジルよりも安価に、しかもより良い車を生産できるのでしょう?

『自動車業界など一部の業界においてメキシコは、生産性を飛躍的に高めることができました。その結果、我が国は、国際競争力を確保することができたのです。我が国のアドバンテージの中には、44か国と締結している自由貿易協定があります。我が国は、関税を支払うことなく、これらの国と輸出入が可能です(ブラジルの場合はこれまで15カ国と関税を引き下げることで合意を交わしている)。わが国を世界に開かれたものにする理由は、それが発展につながると私たちが確信しているからです。    我々は、競争を恐れていません。しかも、我が国は地理的にも有利な場所に位置していまして、一方には世界で最も重要な消費市場、アメリカがあり、その恩恵を受けています。現在、わが国は地球上で4番目に大きな自動車輸出国です。我が国のこの成功が、自動車産業に限定されるべきではないとも考えています。我々の目標は、あらゆる業界で生産性を高めることです。このため、我々は、構造改革に向けた行動計画を推進しています。今後数年でメキシコは、生産性をさらに高め、より競争力を備えた国へと変貌します。高い水準で、かつ持続的な形で成長することは、貧困を減らし社会格差を縮小するのに最良の方法です。』

-昨年3月にブラジルは、2015年まで適用するメキシコ産自動車の輸入割当枠を設定しました。この措置は、2011年にメキシコ製自動車の輸出がおよそ70%拡大した直後に導入されています。大統領は、ブラジル製品が市場で優位にある分野で、同様にブラジル製品の輸入を規制する対策を講じる予定がありますか?

『我が国には、ブラジル製品の参入に門戸を閉じるような計画は存在しません。メキシコが希望しているのは、国内経済がブラジル経済と相互補完的でありたいということです。我々は、大きな相互利益を生み出すよう希望しています。輸入割当に関して言及するならば、年を経るごとにそれは次第に縮小していきます。我が国の経済に対して友好的かつ共感的、そして明確な政策を確立することについて、私は既にジルマ・ロウセフ大統領と協議を済ませています。ブラジルとメキシコはラテンアメリカを牽引する重要な2か国であり、両国経済をさらに緊密なものにすべく両国が努力してゆくものと確信しています。相互関係が緊密化に向かうという、大きな流れがあります。両国が段階的に統合をさらに進めるという次のステップに、両国が踏み出すと期待しています。つまるところ、私は、中期的にブラジルと自由貿易協定を締結できるという可能性があると受け止めていますが、先ずは、その前に、いくつかの業界でより深く交流を進めるべきだと考えています。この方法を通じて両国がWin-Winの関係となり、より高い国際競争力を備えることになるでしょう。』

-3月までの過去12カ月間にメキシコのインフレ率は4.25%を記録しました。ブラジルでは、この間、6.59%を記録しています。メキシコでは、どのように物価を抑制しているのでしょう?

『メキシコは、責任ある財政政策を継続しています。メキシコ政府は、支出に責任を負いますし、それは、我が国の競争力におけるアドバンテージの中核部分なのです。この外に相当額の外貨準備高を確保しており、我が国は、国家債務も低い水準を維持しています。いずれも我が国が強化を目指している部分であり、譲ることのできない条件です。』

-左派民主革命党(PRD)は、非能率的な石油公社ペメックスに対して民間資本が出資することに反対票を投じると表明しています。こうした改革を経ずに同社の競争力をどのように高めるのでしょうか?

『この問題は、国会で3大政党の支持を得るという大連立「メキシコのための協定」にとって、最大の課題の1つでしょう。我々は、思想の相違に対して相手に敬意は払いますが、より多くの支持を得られるように解決策を見出す必要があります。我々は、エネルギー改革が公社にとっても、我が国の工業部門がより安価にエネルギーを利用する上でも決定的な役割を果たすと確信しています。この改革にはそうした目的も織り込まれており、継続しさらに強化されることが期待される大連立も、なさねばならないことに対して求められるコンセンサスに達するか、あるいは、支持を取り付けることができると受け止めています。我々がペメックスに実施しようとしている改革の基準としているのは、ブラジルのペトロブラスとコロンビアのエコペトロルです。ペトロブラスの場合、同石油公社はブラジルの発展に向けた重要な成長を達成する改革の原動力になりました。』

-メキシコ国内では1社が電話市場の70%以上を占めています。大統領はこれを問題と受け止めているのでしょうか?

『我が国は、とりわけ電話通信業界において、企業間のより大きな競争を確保する改革を、国会で承認しようとしているところです。もしこれが正しく機能すれば、最善の価格で消費者向け電話サービスを提供し、かつ、より大衆向けのインターネットサービスが普及することになるでしょう。競争力が高まる場合は常に価格が低下する傾向にあり、政府は、この点を保証すべきです。承認のために議会に送られた法案(先週国会で承認された法律)には、こうした目的が込められています。』

-大連立は、社会福祉計画資金をある知事の選挙キャンペーンに流用したとする、ロザリオ・ロブレス社会開発大臣への告発で崩壊の瀬戸際まで追い詰められました。政党間の協定をどのように崩壊から救出したのでしょうか?

『この連立から得られるアドバンテージに賭けたのです。政府と他の政治勢力は、その価値を認めたのです。発生する諸問題の解決方法を探るため、異なる視点から対話する道を確保しており、それが理由となり、全方位的にリスクと受け止められるような事態には発展しません。政府は、大連立が効力を発揮し続けるためのこうした対話と、政府とその他の政治勢力の間で確立した行動計画を実際に遂行することを約束しています。社会福祉計画資金の流用問題は、我が国の風土病ともいえる問題でした。そこで私は、各政治勢力との対話を呼びかけました。連邦政府と州政府、市役所において、社会福祉計画の予算を選挙目的に流用しないことを保証するメカニズムを構築する必要があります。それが共和国政府の公約です。我々は信頼の欠如からくる諸問題を解決できると期待しています。』

-もし大連立が解消されるなら、この体制を通じて実現を見込んでいた改革は、どのようになるのでしょうか?

『政府は、改革に向けた行動計画をすでに策定しており、それを遂行することになります。民主主義を採用しつつも多元的な、メキシコのような国において期待されているのは、この大連立が想定する合意です。このため我々は、大連立を継続させ、かつ強化させるべく、我々が果たすべき部分で努力してるのです。現段階で私は、別の枠組みでこの問題を解決する事は考慮していません。いずれにせよ、現政権のプロジェクトと改革に向けた行動計画は引き続き、大連立の有無にかかわらず、継続していくことになります。』

-過去20年、メキシコは貧困を縮小させてきましたが、人口のほぼ半数が、依然として低所得層です。この問題の解決に向けどのような取り組みがなされているのでしょうか?

『我が国には、中産階級と富裕層が増加しているわけですが、依然として、不幸にも、国民の大部分が生存に必要とされる適切な資金を得られずにいるという両極端な状況にあることは、否定できません。我が国の貧困と格差を縮小するため、貧困対策の全国の飢餓撲滅十字軍を組織しました。この計画は、貧困のより深刻な地域において政府と州政府、市役所が力を結集して活動するとともに、経済成長を後押しするものになります。第1ステップとして、極貧状況にあえぎ極度の食糧不足に苦しむ750万人のメキシコ国民を支援します。』

-麻薬取り引きに関連した殺人は、政権発足から最初の4カ月間で14%減少していますが、依然として頻発しています。この悪行に対する対策はありますか?

『この問題は、メキシコに限定されたものではなく、あらゆる国が抱える問題です。麻薬犯罪に苦しむ地域で犯罪率を減少させるための指針となる新しい政策を立案しました。またこの問題はメキシコの国土全域に影響が及んでいるのでもありません。対象となる地域において暴力犯罪を抑制し、公共スペースを回復し、教育と雇用の機会を創出する計画を推進中です。同様に、訴訟をより公正かつ迅速な形で解決する目的で、裁判官の前に立って被告が公聴会に参加するという裁判も導入します。現在、罪を犯した人物に対して訴訟が行われる可能性は低いのです(一般に容疑者の50%以上が訴追されない)。我々は、我が国の裁判を改善する必要があります。同様に、連邦政府と州政府、市役所の協調体制を整備する必要もあります。』

-連邦警察官の平均給与は1,200ドルです。市役所職員の所得は400ドルです。麻薬組織の買収に応じないように説得する方法はありますか?

『我が国の警察官の給与水準を改善する必要はありますが、それが、なすべき唯一のことと言うわけではありません。もし彼らが専門的な手法で活動できるように育成しないのであれば、月末に特別待遇された報酬を支払うことに意味はないでしょう。市民の安全に対して自身の生命を危険にさらす警察官を見極め、国家により充分な報酬と子弟に対する奨学金の交付、家族と過ごす住宅の提供などを通じて表彰されるべきです。整合性を持って育成する必要があります。全ての州で、全国の警察官を統一的に育成するための制度を確立するべく、対策が進められています。さらに、遺憾ながら警察が犯罪を行う可能性も拡大しており、警察官は組織犯罪に取り組むためにより重要な使命を果たす能力のあることを示す必要があります。』

-フェリペ・カルデロン前大統領は、犯罪問題に精力的に取り組みました。大統領は、この問題を最優先の課題としていないように思えます。それはなぜでしょうか?

『我々はさらなる暴力への連鎖を避けようとしたのです。言葉によって組織犯罪に太刀打ちすることはできません。我々が的確かつ強力な打撃を与え、しかもこれ以上の流血を回避するため、諜報サービスを十分に活用したいと考えています。むしろ、この問題は引き続き優先的課題です。殺人事件の発生率の削減は、国家的な重要目標の1つでありますが、かといって、それが唯一の政策目標ではありません。メキシコは、この他にも課題を抱えています。隠す意図はどこにもありません。単純に言えば、我々の取り組みと麻薬取引に関連した問題に対して、必要かつ適切な規模で対処しようという考えです。』

-ラテンアメリカにおいてポピュリズムを標榜する政府が勃興していることについて、大統領はどのようにお考えでしょうか?

『メキシコは常に、各国の内政問題を尊重しております。各国の政治情勢に関与することに我が国は、関心を寄せていません。我々は各国が独自に下す判断を尊重します。メキシコが目指しているのは、我が国の民主主義を強化することなのです。多数決による政治体制が、経済成長に向かって進むメキシコの前途に障害となるどころか足かせになるはずもありません。』

-大統領は、アルゼンチン人の新ローマ法王がラテンアメリカに有益であると感じておられますか?

『彼がラテンアメリカ出身だということが、とりわけ彼の発言に重みを増すことは確実でしょう。』

-大統領がメキシコに今後数年、期待するものは何でしょうか?

『風をはらんで舞い上がる凧のように経済が飛躍的に成長し、メキシコ国民の教育水準を引き上げるべく個々人の発展のための機会が創出され、世界とさらに徹底して競争していくことです。』
 



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