ジルマ・ロウセフ大統領は第31回ブラジル=ドイツ経済合同会議の開会式で、自身の経済政策を擁護するとともに、先進国の通貨政策と為替政策が、ブラジルの工業部門の競争力に打撃を与えているという仮説を強い口調で改めて訴えた。 ジルマ大統領は、「先進国によるマネーサプライの拡大が新興国の通貨の値上がり圧力となり、我が国の競争力にとって脅威になっている」という。先進国のそうした動きへの対応として、大統領は、ブラジル政府が国内企業に対してより健全かつ競争力を高める環境を整備するよう政策を進めており、生産ボトルネックを排除し、ブラジルが外資、「とりわけドイツに対して」魅力的なものになるべく努力しているとコメントした。13日にサンパウロで行われたジルマ大統領のこのスピーチとその後のマスコミへの発表には、ドイツのヨアヒム・ガウク大統領も同席しており、ガウク大統領は、通貨政策問題でブラジルがドイツに反対する立場にあることを理解しているとした上で、既に行われたジルマ大統領との会談でこの問題は議題に上げられなかったことを明らかにした。「私の立場は象徴的なもので、単なる大統領にすぎない。担当する大臣に対してこの問題を任せる余裕がある。」と、同大統領はドイツの政治システムに関連して、首相が行政府のトップにあることを示した。
ジルマ大統領は今回のイベントを利用して、政府への批判が高まっている分野である税制を含め、国内改革を推進していると擁護した。国庫管理局のアルノ・アウグスチン局長の活動を中心に、財務省のネルソン・バルボーザ事務次官を加えて改革をいっそう強力に進めている。 さらにジルマ大統領は、国内総生産(GDP)に対する純公債の比率が35%に低下したことを引き合いに出し、ブラジルが「厳格な支出と成長を促進する政策」を通じて、財政を堅固なものにしたと主張した。
ブラジル政府が採用した一連の措置の中でジルマ大統領は、「税制の合理化と工業部門への給与税減税、小企業に対する税制の一本化、生活必需品セットに対する減税」を強調した。 金融分野についてジルマ大統領は、国外市場で運用されているものに近い水準へ金利を収斂させていくことの重要性を指摘。「教育を通じて生産性を改善するのがブラジルの人材育成計画であるが、こうした状況こそ、政府と全国工業連合(CNI)がパートナーシップを構築する基礎になる」という。ジルマ大統領はさらに、ブラジルとドイツの2か国間関係について、1,600社以上のドイツ企業がブラジルに進出している「成功例だ」と強調。「これらの企業は、GDPの8%から12%を担う重要な存在」と付け加えた。さらにジルマ大統領は、反対にドイツに進出したブラジル企業が既に50社を数えることも指摘、2国間貿易が過去10年で3倍に増加し、2012年には210億ドル規模に達したとコメントした。「我々は、ドイツにとってラテンアメリカで最大の貿易相手国だ」と言う。加えて、ジルマ大統領は、こうした肯定的な数字があろうとも経済面と金融面のリスクを無視してはならないと主張。「経済危機は、協力関係と、包括的成長を促し競争力を高める開発政策を通じてのみ克服できる」と断言した。
一方、ガウク大統領は、現在成長を阻害している要因を取り除くことでブラジルがさらに大きな成長を達成できるとコメント。その上で同大統領は、ブラジルの発展に感銘を受けたとも発言した。「ブラジル経済の安定化だけでなく、同様に、低い失業率、イノベーションの展開にも感銘を受けた」と、ジルマ大統領との会議と午餐会に出席後、コメントした。
ジルマ大統領はさらに、静けさがそれに思い出させた、ブラジルは「国際経済危機が始まった2008年から2012年にかけて、失業率を最も低下させた」国だと国際通貨基金(IMF)が指摘していることにも言及。労働市場の着実な発展と、所得移転計画、経済成長によりブラジルは、「大きな社会的流動性」を生み出したとジルマ大統領はコメント。3,600万人以上が極貧層を脱し、現在では1億人のブラジル人が中産階級に属し、「中産階級の国としてのブラジルの性格がいっそう堅固なものになっている」と指摘した。(2013年5月14日付けヴァロール紙)