期待を下回る経済指数が発表されてきたことで、アナリストがブラジルの経済成長率の見通しを下方修正し始めている。例えばブラデスコ銀行は従来3.5%としていた予想を現在2.8%に引き下げたほか、コンサルタント会社のMBアソシアードスも3.0%から2.5%に下方修正した。
銀行とコンサルタント会社は、2013年の経済成長率に関する予想を引き下げ始めており、既に3%を下回る見方も出始めた。3.0%という水準は、中銀が2013年の国内総生産(GDP)に関して想定する成長率に当たる。この公式な予想は、これまで、銀行とコンサルタント会社を対象に中銀が実施している経済動向調査「フォーカス」で集計された予想の平均でも、市場から支持されてきた。
ところが今、アナリストの間では、悲観的な見方が広がっている。市場の予想を下回った2013年第1四半期の指数には、5月3日に発表された工業生産指数のほか、悪化し続ける消費指数、貿易収支があり、これらの経済指数の発表を受けて市場はいくつかの予想の見直しに入った。2012年にはGDP成長率がわずか0.9%だったが、市場はこれまで、2013年に最高4%を予想するだけでなく、大部分が3%以上を見込んでいた。
ブラデスコ銀行のオクタビオ・デ・バーロス経済調査研究担当取締役は、このほど、2013年のGDP成長率について、これまで3.5%としていた予想を2.8%に下方修正した。「このところ想定を下回る経済指数が発表されてきたことを受けて、国内経済成長の見通しに対して見直し作業を進めた」と、同取締役は言う。バーロス取締役はさらに、世界経済の置かれている状況も、これまで考えられていた以上に深刻だと指摘した。ゼツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)のエコノミスト、シルビア・マットス氏も、GDP成長率の見通しを、2.9%から2.7%に下方修正した。同氏は、「とりわけサービス業界の動向次第で、さらに修正を加える可能性がある」ことを明らかにした。
テンデンシアス・コンスルトリアも、これまで発表されてきた第1四半期に関する経済指数が、想定を下回る水準だったと位置付ける。同社のエコノミスト、アレサンドラ・リベイロ氏は、これまでの3%から、2.8%あるいは2.9%に予想を引き下げることになりそうだという。同氏は、第1四半期の1.1%のGDP成長率を期待していたが、工業生産に関するデータの発表を受け、見通しを1.0%に下方修正した。さらに、年間の成長率にも同様のバイアスを掛けることになるとする。
MBアソシアードスのチーフエコノミスト、セルジオ・バーレ氏は、昨年6月以来、2013年の成長率を3.0%と想定してきたが、1か月前、2.5%に引き下げた。「工業部門の各種データが貧弱なのに加え、商業とサービス業とも相まって、予想外のネガティブな結果につながりかねない」という。バーレ氏は、資本財部門と投資部門に明確な回復の兆候は見られないと指摘する。
2.5%の成長を予想するのはこの他にも、ローゼンベルグ&アソシアードスのタイス・マルゾラ・ザラ氏(同氏の予想は2013年の年明け時点から)、そして工業開発分析研究所(Iedi)がある。
HSBCのアンドレー・ロエス・ラテンアメリカ担当チーフエコノミストの予想は、2.6%。同氏は、年明け時点で景気がやや堅調だったがその後失速したことを指摘する。「ただし、貿易収支のデータに関しては、ブラジル市場が閉鎖的な上にGDPに占める輸出の比率も小さいことから、GDP成長率を見直す理由には当たらないと受け止めている」と話す。一方、ゼツリオ・バルガス財団応用マクロ経済センター(Camap)のエメルソン・マルサル主任は、成長率が2%から3%の間でどこに落ち着くかには貿易収支が影響すると言う。「外国市場の落ち込みは、工業生産に打撃を与える」というのがその理由だ。ファトール銀行も同様に、当初2.9%と発表していた予想を下振れさせる可能性が強い。クレディ・スイスは、市場の予想の中でも最も高い4%を掲げていたが、予想を変更する場合も発表は6月になる。(2013年5月3日付けエスタード紙)