サンパウロ州は、連邦政府の後押しを受けて国会で準備中の2法案が可決された場合に税収が落ち込む見通し。
連邦政府が成立に意欲を見せる2つの法案が、数日以内に国会で票決される。だが、これらが可決した場合、サンパウロ州政府にとっては今後4年以内に税収の落ち込みが年間71億レアルに拡大する見込み。国会で審議されている商品サービス流通税(ICMS)制度改革の影響をサンパウロ州財務局が試算したもので、エスタード紙が独自に入手した。州税であるICMSは、州政府の財源の中核的存在である。ジェラルド・アルキミン州知事(PSDB:ブラジル民主社会党)が率いるサンパウロ州政府の大きな懸念は、デルシリオ・アマラル上院議員(PT:労働者党)が提出した法案。その内容は、州境をまたいだ取引に対するICMSの課徴率に関し、南部とエスピリト・サント州を除く南東部の諸州には4%を一律適用、北部と北東部、中西部諸州とエスピリト・サント州に対しては前出の諸州に対して移出側になる場合に7%を受け取ることを認めるというもの。上院の経済検討委員会(CAE)は24日、この法案の条文を採択済み。CAEによる採択を受けてこの法案は今後、上院本会議の票決にかけられる。
ジウマ・ロウセフ大統領の支持を受けているこの法案が、下院を通過したのと同様に上院でも可決された場合、サンパウロ州政府が被る税収の落ち込みは、2014年以降の4年間で、最終的に年間37億5,000万レアルに達する。
税制戦争
サンパウロ州政府は、ICMSの混乱した法制度を改革するというジルマ政権が提出した当初の法案を支持する。つまり、州境をまたぐ財とサービスの取引に対するICMSの課徴率を4%に統一するというもの。課徴率を統一することで、ICMS課徴率を引き下げた税制優遇政策により企業の誘致を図るという税制戦争に終止符を打つことになる。
エコノミストのアンドレア・カラビ局長が率いるサンパウロ州財務局によると、ブラジル市場は「税制戦争によって企業の競争力が歪曲されている」ことから「投資に対して不適切」なものになっている。内部文書でサンパウロ州政府は、税制改革を2012年に断念した大統領府と財務省の戦略を批判している。「いずれの州であれ、とりわけサンパウロ州のケースがそうであるが、連邦の問題として議論された制度の変更に伴う歳入の譲歩によって脅やかされている」。
国会に提出された憲法修正案(PEC)第197号で提案されたICMSの課徴率に関する新しい提案でも、サンパウロ州の歳入の落ち込みをさらに拡大させる。PEC第197号は、電子商取引に関する税制を規定するもので、同法案が成立するとサンパウロ州政府の歳入は、現時点でも年間22億レアル減少する。
税制戦争の終結をもくろむ同法案が上院で可決された場合、サンパウロ州政府の税収は今後、さらに落ち込みを拡大していく。サンパウロ州政府は、「税制改革という方針のもとに、州政府が失う税収は、年間で総額71億レアルに達するだろう」と試算する。(2013年4月26日付けエスタード紙)