ギリシャのユーロ圏脱退問題やブラジル国内の景気後退によるインフレ懸念の後退などの要因で、昨日、中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策誘導金利(Selic)を全会一致で0.5%引下げ、過去最低であった8.75%を下回る8.5%に決定した。
今回のCopom委員会のSelic金利の切下げ幅は、3月並びに4月の0.75%を下回ったが、昨年8月から7回連続の切り下げで4.0%の大幅な切下げとなって、2009年から2010年4月まで継続したSelic金利8.75%を下回る過去最低の金利となった。
中銀の最終フォーカスレポートでは、今年の国内総生産(GDP)伸び率は3.0%を下回ると予想、しかし、連邦政府の景気刺激策や減税政策の効果が下半期から表面化して、ブラジルの今年のGDP伸び率が4.0%に達すれば、中銀総裁のアレシャンドレ・トンビーニ総裁は、非常に満足できる水準となるとコメントしている。
ギリシャのユーロ脱退以外にも、スペインの金融不安でユーロ危機の拡大懸念が強まっているうえ、米経済指標の鈍化、中国の経済成長率の鈍化などの影響で、国際コモディティ商品価格の減少は、ブラジルのGDP伸び率をさらに鈍化させる要因となっているために、今後もCopom委員会によるSelic金利の引下げの可能性が予想されている。
Selic金利が8.5%以下になると、ポウパンサ預金の金利が確定金利付きファンドの金 利を上回るために、連邦政府はポウパンサ預金の金利計算方法の変更を許可しており、ポウパンサ預金の年利は、現行の月利0.5%(年間6.17%)プラス参考金利(TR)で5月3日までの預金については継続、5月4日以降のポウパンサ預金の年利はSelic金利が8.5%以下になった場合に、Selic金利の70%プラスTRが適用される。
Selic金利が9.0%であった5月30日までのポウパンサ預金の年利は6.67%であったが、31日以降のポウパンサ預金の年利は、Selic金利が8.5%に引き下げられた影響で6.17%に減少する。
Sicredi銀行のエコノミストのアレシャンドレ・バルボーザ氏は、7月のCopom委員会でのSelic金利の0.5%の切下げ並びに更に0.25%切下げられて、年末のSelic金利は7.75%になると予想している。
Selic金利が8.5%になったために、ブラジルのインフレ分を差引いた実質年利はロシアの4.3%、中国の3.1%を下回る2.8%まで低下して3位に後退、4位はオーストラリアの2.1%、コロンビアは1.8%、チリは1.5%、ハンガリー並びにインドネシアは1.2%、マレーシア並びにメキシコは1.1%となっている。(2012年5月31日付けエスタード紙)