グスタボ・ロヨラ
クレジットを拡大しようという一種の(十字軍的)政府キャンペーンは五里霧中の状態にある。何としてもスプレッドを下げ、景気刺激のために銀行システムがクレジット供給を増やすよう誘導しようとしている。目的そのものは誤りではないし、追求しなければならないものだが、こちらに見える所では、選択した道は惨憺たる反生産的なものになる可能性がある。
まず、クレジット供給増大は常に下支えされた方法で、システムのリスクを増大させることなく起こるべきだと、考えることが必要だ。近年の米国サブプライム危機とユーロ圏財政問題は、銀行によるクレジット供与において過度にギアを入れることと慎重さに欠けることがリスクであるということの、極めて明らかな証拠である。政府の政策によって銀行(公営であれ民間であれ)が不自然に低い金利での貸し出しを強要されると、クレジット市場でバブルが形成されかねず、金融システムの安定性にもたらす影響は予測できない。
したがって、政府キャンペーンが意味を持つのは、技術的に確固たるアジェンダに基づき、ブラジルにおける金融監視について最終的に責任を持つ者として、中央銀行が動くという後ろ盾がある場合のみである。ブラジルにおいて金融マージンが高い理由は、特にここ数年間にわたって中銀自身が行った諸研究によって、わかり過ぎるほどわかっている。これらの研究によれば、スプレッドを下げ金融仲介の効力を高める意図で、政策のアジェンダを設定することも可能だ。
しかし、クレジット操作において金利を下げよという、公営銀行に対する政府の最近の決定によって明らかになったのは、金融市場において「価格戦争」を引き起こすことを通じて、スプレッドを下げるという目標にできるだけ速く到達できる脇道のほうが好ましいと考えているということだ。この戦略は、短期的には顧客や経済活動にとってひょっとしたら有利かもしれないが、金融システムの安定性という観点からは、もたらすリスクが明らかだ。公営銀行の場合、無視できない財政リスクももたらす。
より良い代替案は、スプレッド作りに関して中銀が信頼してもらえる仕事を行うところから始め、問題の根幹にある原因と戦うため、諸作戦のアジェンダを作り直すことだ。既知のように、2010年に発表されて現在サイト内で見ることができる中銀の研究によれば、スプレッドのおよそ29%が与信を受けた者の債務不履行、22%が税金、12.5%が管理費用、約4%が強制預託・補助金・FGC(クレジット保障基金)歳入の効果を合わせたもの、となっている。残り、すなわちスプレッドの32.5%は、「純利益マージン、誤差、漏れ」に帰せられる。
この分析が示唆するのは、スプレッドを下げようとすると、直面すべき多様な要素が存在するということだ。肉眼で純粋に見るだけで確認できるが、スプレッドのかなりの部分が、直接的にも間接的にも、税制であれ規制であれその他の性質のものであれ、公共政策と結び付いているということだ。したがって、少なくともこれらの政策の見直しを行わないと、スプレッド問題の前進は難しいように思える。ただし、各々の政策の真の目的を見失わないようにするのは当然のことだ。同様に、ブラジルでクレジットを安くするのは、現在スプレッドの3分の1を食っている債務不履行を減らしてからだ。債務不履行の確実な減少には、政府内でイニシアティブを執ることが必要で、この目的のために民間セクターの重要な貢献があるかもしれないとはいえ、政府のイニシアティブがない限り政務不履行の減少は想像のしようがない。
一方、銀行システムの効果を増大させることは、スプレッドを下げるためには、同等の重要性がある。要は、2010年の研究で中銀が強調している通りだ。その示唆するところは、少なくとも「ボールの一部」は銀行側(公営民営双方)にあるということで、銀行は金融仲介機能においてますます力を発揮しなければならないのである。
要するに、金融の安定性を脅かすことなく達すべき目的としてのスプレッド下げのためには、持続可能な政策の施行を視野に入れて、銀行と政府の間で果てしなく対話することが必要なのである。(エスタード紙2012年4月21日付けグスタボ・ロヨラ氏論評記事)