ブラジル鉄鋼部門は金融危機で世界的に鉄鋼需要が大幅に縮小したために、製鉄所建設計画変更を余儀なくされており、社会経済開発銀行(BNDES)のファイナンス申請の総額530億レアルに相当するプロジェクトが中断している。
ヴァーレ社と上海宝鋼集団(Baosteel)の共同事業であるエスピリット・サント州に100億レアルを投資して年産500万トンのヴィトリア製鉄所の建設は、今年1月に世界鉄鋼需要の減少と環境ライセンス取得困難で中止を決定した。
ウジミナスはミナス州サンターナ・ド・パライーゾ市に120億レアルを投資して製鉄所を建設する予定であったが、鉄鋼需要の回復が充分に確認されるまで先送りする。
ナショナル製鉄所(CSN)もカーザ・ダ・ペドラ鉄鉱山に近いミナス州コンゴニャス市並びにリオ州イタグァイ市にそれぞれ120億レアルを投資して年産それぞれ500万トンの製鉄所建設を予定していたが、プロジェクトは鉄鋼需要が回復するまで先送りされる。
BNDES銀行は2008年から2011年までの鉄鋼関連プロジェクト向けファイナンス総額550億レアルで1,400万トンの増産計画が申請されていたが、2009年から2012年は320億レアルで1,000万トンの増産計画に縮小すると見込んでいる。
市場関係者は金融危機の影響で業界再編のための買収・合併の可能性が大きくなっているために、製鉄所建設プロジェクトの投資の先送り傾向が継続すると見込んでいる。(2009年7月24日付けヴァロール紙)