中国経済停滞が牽引して鉄鉱石や鉄鋼製品の国際コモディティ価格が低迷、またレアル通貨に対するドル高の為替の影響で、ブラジルの各鉄鋼メーカーは負債増加で資産売却を余儀なくされている。
総額237億レアルの負債を抱えているゲルダウ社は、コア事業以外の資産売却に迫られており、ブラジル並びに米国のコア事業に投資を集中させるために、インド並びに南米などでの自社資産売却を進めている。
世界17位の鉄鋼メーカーゲルダウ社の2010年の北米地域の売上は全体の33%、ブラジルは38%をそれぞれ占めていたが、昨年の北米地域の売上は全体の39%まで上昇した一方で、ブラジルの売上は29%まで減少している。
税務管理審議会(Carf)メンバーが罰金を言い渡されている企業から罰金軽減するための賄賂を受け取っている汚職事件の「Zelotes作戦」で、ゲルダウ社のアンドレ・ゲルダウ会長の名前も汚職嫌疑で挙がっている。
連邦警察はゲルダウ社のアンドレ・ゲルダウ会長に対して15億レアルの脱税容疑で連邦裁判所に訴えており、またサンパウロ証券取引所に上場している大企業32社が脱税容疑に掛けられている。
ゲルダウ社の2015年第1四半期の売上は104億4,700万レアル、純益は2億6,700万レアル、Ebtidaは11億600万レアル、今年第1四半期の売上は前年同期比3.5%増加の109億8,500万レアル、純益は1,400万レアル、Ebtidaは9億3,000万レアルとなっている。
2015年第1四半期のゲルダウ社のブラジル国内鉄鋼生産は155万7,000トン、今年第1四半期は142万2,000トン、前記同様に北米地域は148万7,000トン、152万2,000トン、南米は54万トン、50万5,000トン、特殊鋼生産は69万6,000トン、63万2,000トンとなっている。
ブラジル国内の鉄鋼メーカーでは、社内にそれぞれ大きな問題を抱えており、ウジミナス社は経営主導権争いで問題が表面化して裁判で争っており、また74億レアルに達する負債を抱えているにも関わらず,ウジミナス・メカニカ社並びに不動産以外は、資金調達に結び付く物件が少ない。
また実業家ベンジャミン・スタインバック氏のナショナル製鉄所(CSN)は331億レアルに達する負債を抱えて自社資産の売却を迫られているうえに、ドル高の為替並びに鉄鋼製品の国際コモディティ価格が業績低下に追い打ちをかけている。(2016年7月11日付けエスタード紙)