トランプ大統領は、通商拡大法232条に基づき、中国産を含む鉄鋼・アルミニウムへの高い輸入関税措置の発表に対して、中国政府は、報復措置として米国からの128品目に達する輸入品に対して、最高25%に達する関税政策を発表、128の対象品目には、大豆やトウモロコシ、エタノール、綿花などが含まれている。
ブラジル国内のエタノール消費は年間280億リットルに対して、年間のエタノール輸出は僅か10億リットルであり、中国向けエタノール輸出に対する余剰はないとサンパウロ州砂糖キビ加工業者連合(Unica)のエドアルド・レオン・デ・ソウザ専務取締役は説明している。
米国のエタノール生産は国内消費を年間40億リットル上回っており、ブラジル並びにカナダ、中国に余剰分を輸出していた一方で、中国政府はガソリンに10%のエタノール混入政策を発表、中国国内のエタノール消費は年間200億リットル増加が予想されている。
中国政府は2017年初めに米国産エタノールの輸入関税を5.0%から30%に引き上げていたが、先日45%の輸入関税引き上げを発表して、保護貿易制度を前年に打ち出す貿易戦争突入の様相になってきている。
中国並びに米国の保護貿易による貿易戦争の様相で、お互いに輸入関税の引上げ圧力を強めているために、メルコスールとヨーロッパ連合のEPA協定締結が早まる可能性がでてきている。
ヨーロッパ連合は、メルコスール域内のブラジル並びにアルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイから年間10万トンの砂糖の輸入枠設定を準備しているにも関わらず、1トン当たり98ユーロの輸入関税を示唆しており、メルコスールとの間で折合がついていない。(2018年4月7日付けエスタード紙)