野党の選挙連合「変えよう同盟(CAMBIEMOS)」から出馬したマウリシオ・マクリ候補の大統領選出で12年間にわたった左派キルチネル派政権からの政権交代が実現するアルゼンチンの穀物輸出が拡大すると見込まれている。
キルチネリズムの最大の特色は、貧困層への補助金や各種手当などを通じた所得分配を重視するばらまき型の財政政策で、財政赤字と高インフレでアルゼンチン経済は長らく低迷していた。
マクリ大統領は小麦・とうもろこし・大豆など穀物輸出税の減税をする方針を表明しており、輸出税減税で穀物輸出拡大による外貨収入増加が期待されている。
大豆輸出では35%の輸出関税を毎年5.0%減税して7年後に関税ゼロが予想されており、輸出関税が23%の小麦、20%のトウモロコシ、15%の食肉はクリスマス前にはそれぞれ関税撤廃が予想されている。
アルゼンチンの穀物輸出は世界3位で2015/2016の穀物輸出は1,075万トンを予想、アルゼンチン政府は国内需要を優先するために小麦並びにトウモロコシ、食肉の国内価格を抑えるために輸出関税を増加させたために、大豆への転作を余儀なくされていた。
同国の穀物輸出は小麦やトウモロコシの輸出関税減少に伴ってブラジル並びに北アフリカ諸国の小麦輸出が再度増加すると予想されており、来年の穀物の作付面積は現在の700万ヘクタールから2倍の1,400万ヘクタールに達すると予想されている。
同政府は、対ドルでの緩やかなペソ安を誘導する為替管理をおこなってペソ下落ペースがインフレ率を下回るためペソは過大評価され、ペソ急落を回避するために2011年以降は外貨購入や海外送金などの外為取引規制を強化してきた経緯があった。
アルゼンチンは、南米諸国で唯一穀物輸出に関税を課し多影響で農畜産分野が衰退していたが、アルゼンチンの穀物生産は今後5年間に現在の2倍に相当する6億8,000万人の食糧供給能力が見込まれている。(2015年12月1日付けヴァロール紙)