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第22 回日伯経済合同委員会開催 2019/07/29

 第22回日伯経済合同委員会は、2019年7月29日から30日の2日間にわたってサンパウロ州工業連盟(FIESP)大講堂に419人が参加して開催された。

 初日29日は午前9時半から開催され、開会セッションではホブソン・ブラガ・デ・アンドラーデ(Robson Braga de Andrade) ブラジル全国工業連盟(CNI)会長、エドアルド・デ・サーレス・バルトロメオ(Eduardo de Salles Bartolomeo) Vale会長、飯島 彰己 経団連日本ブラジル経済委員長、在ブラジル日本国大使館の山田彰大使、パウロ・スカフェ(Paulo Skaf)サンパウロ州工業連盟(FIESP)の順で挨拶がなされた。

第22回日伯経済合同委員会プログラム

(Foto:Rubens Ito/CCIJB)

 特別セッション1では「日伯関係における今後の経済展望」について、モデレーターを林 信光 国際協力銀行代表取締役副総裁が務め、初めにトマス・ザノット(Thomaz Zanotto)FIESP国際担当理事、讃井慎一ブラジルみずほ銀行社長、レイナルド・サルガード (Reinaldo Salgado)アジア・太平洋・ロシア二国間交渉担当長官、服部 茂 全日空上席執行役員、レナート・ダ・フォンセッカ(Renato da Fonseca)ブラジル全国工業連盟(CNI)競争力調査担当部長の順で発表した。

 特別セッション2では、「日メルコスールEPA」について、モデレーターの大前孝雄 経団連日本ブラジル経済委員会企画部会長は、日伯経済界が高い関心を持つ日・メルコスールEPAについて議論したい。160か国以上が加盟する世界貿易機関(WTO)は自由貿易体制の下で発展してきたが、米中貿易摩擦の保護主義の台頭で世界経済の不安定要因となっている今は自由貿易の再構築に迫られ、WTOの機能不全が指摘されている中でEPA推進が求めら、日本はリーダーシップを発揮する必要がある。2018年12月のTPP、2019年のヨーロッパ連合とのEPA発効、18か国とのEPA締結で日本の貿易額は全体の36%に達している。また交渉中の東アジア地域包括的経済連携(RCEP) 、コロンビア、トルコ、米国との二国間協定、アジア太平洋経済協力(APEC)での経済統合などメガFTAに重点が移りつつある。日本と中南米のEPA交渉の課題として、メキシコ並びにペルー、チリとしかEPAを結んでいないことがあり、メルコスールは2億5000万人、2兆4000億ドル規模のポテンシャルを擁し、日本企業はメルコスール域内に1000社以上進出しており、最後のメガEPA地域であるものの、メルコスール4カ国の積極的な姿勢に対して日本は未だ明確な姿勢を表明していない。昨年の日亜経済合同委員会ではアルゼンチンと共同声明を発表。2018年10月には経団連、日商連名による「日メルコスールEPA早期交渉開始」を求める要望書を官房長官へ提出、また今年4月の第9回日伯賢人会議での提言内容を安倍晋三内閣総理大臣に報告、7月にはブラジル日系4団体連名の日メルコスールEPAの嘆願書が山田大使に手渡されるなどの動きが続けられている。本日は日メルコスールEPA推進のCNI、経団連共同声明の採択をしたいと説明した。

大前 経団連企画部会長 (Foto: Rubens Ito/CCIJB)

 同セッションでは、初めにカルロス・エドアルド・アビジャオジ(Carlos Eduardo Abijaodi)CNI工業開発担当理事、村田俊典商工会議所会頭、レオナルド・ジニス・ラウジ(Leonardo Diniz Lahud)経済省貿易局長代理、岡田有祐 日本たばこ産業国際担当部長、ペドロ・ギマランエス・フェルナンデス(Pedro Guimaraes Fernandes)ABICS(ブラジルインスタントコーヒー協会)会長、SINCS(ブラジルインスタントコーヒー組合)会長、Cacique取締役、峯村 直志ジェトロ企画部海外地域戦略班南米担当主幹の順で発表が行われた。

 ブラジル日本商工会議所の村田俊典会頭はプレゼンの中で、「日本・メルコスールEPA」の実現に向けて会議所が取り組んでいる活動について説明。ブラジル日本商工会議所は、ブラジルで活動する日本企業、地場企業を会員とし、会員の経済活動に関する①情報提供、②人的交流、③両国政府への提言等を活動目的とする公益社団法人。1940年に設立され、第二次世界大戦の空白期間を経て、1954年に現在のブラジル日本商工会議所に改名、現在の会員企業数は350社、内215社が日本からの進出企業で、業種別では、製造業が7割、非製造業が3割となっている。

 これまでもブラジルコストの改善やブラジル産業の国際競争力強化に向けた提案をしてきたが、現在、当会議所で注力しているのは、本日のテーマである「日本・メルコスールEPA」の実現に向けた取組み。会議所内に3つの委員会の混成チームによる「EPAタスクフォース」を設置、30名のメンバーが域内のアンケート調査を実施、啓蒙活動を目的とした会員企業を対象とした勉強会を重ねるなど精力的な活動を行っている。昨年は会議所関係者の知識と理解の向上のために、計8回のセミナーを開催し、日本の有識者のみならず、ブラジルのFIESPのザノット国際担当理事にもレクチャーをお願いした。また、ブラジルのみならずアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの日系商工会議所会員および進出日系企業を対象とした「EPAに関する意識調査」も実施した。

 日本の通商協定はEPAと一般的に称されているが、貿易の自由化に加えて、投資、知的財産の保護、ビジネス環境整備、中小企業など様々な分野での協力の要素等を含む,幅広い経済関係の強化を目的とする協定となっている。会議所のEPAタスクフォースの勉強会では日墨EPAの事例を勉強。メキシコの場合、ビジネス環境整備の項目が進出企業の問題解決を促す機能的な役割を担っていることが分かった。

 会議所としては、貿易の自由化に留まらず、日本とブラジルの間でヒト・モノ・カネの往来を増やすビジネスインフラとして機能するEPAを期待しており、昨今、ブラジルの産業競争力、生産性の問題が話題に挙がるが、生産性を向上させるためには人材や設備に投資する必要がある。多くの日本企業がEPAの枠組みを通じて、ブラジルをより身近に、より魅力的な市場として認知し、ブラジルの経済・産業発展により深い貢献ができることを会議所として目指している。

 6月末にボルソナーロ大統領が訪日し、大阪でG20が開催されたタイミングで非常に喜ばしいニュースとして、20年来交渉を続けてきたEUとメルコスールがFTAの最終合意に至った。世界的に保護主義が台頭する中で、グローバライゼーションの重要性に一石を投じた素晴らしい成果で、メルコスールはEUとのヒト・モノ・カネの往来が活発となり保護主義政策から自由主義に移行する大きな第一歩となり、多くの投資を迎え入れる契機になると期待できる。

 一方で、EUに続いて、韓国やカナダとの交渉が先行する中、未だスタートラインにも立てていない日系進出企業にとり、焦りがあるのも事実。昨年実施したEPAの意識調査でも、「欧州や韓国からの劣後を避けたい」「同じ条件での競争ができるようにすべき」といった声が多く寄せられている。今回こうしてEUが先行したことにより、日本企業の劣後は今後本格化して、日本ブランドの喪失やハイエンド市場を席巻される、との危機感は進出企業を中心に、日増しに強くなっている。特に部品メーカーも含め、裾野の広い自動車産業にとり状況は深刻で、長年地道にブラジルで取り組んできたビジネスに甚大な影響が出ることを懸念している。

 日系進出企業もこの数年、EPAの締結に向け熱心に活動を続けてきており、商工会議所としても経団連や日本商工会議所と連携して、EPAの旗振りを果たしてきたとの自負が有る。昨年ブエノスアイレスで開催されたG20では、その機会を十分に活かすことができなかったが、今年11月にはチリで開催されるAPEC首脳会合に安倍総理が参加を予定、安倍総理の中南米再訪を契機に、悲願である日本メルコスールEPAが交渉のスタートラインに立てるよう、我々商工会としては日本政府に対し粘り強く働きかけていく。

 商工会議所の会員規模数は350社程度であるが、いざ日本メルコスールEPAが成立すれば、ヒト・モノ・カネの往来の活性化により、会員数も飛躍的に伸びることが期待できる。メキシコ商工会議所のEPA発効時前の2004年にはブラジルと同程度の会員企業数であったが、現在では4倍近い約1200社が登録されるという目覚ましい前例があり、我々はこのような成功を強く望んでいる。日本・メルコスールEPAの実現に向けて、可能な限り早期に両政府に交渉を開始して頂くことを改めてお願いするとしてプレゼンを締めくくった。

村田俊典 会議所会頭(Foto: Rubens Ito/CCIJB)

Pdf村田俊典 日本ブラジル商工会議所会頭発表資料

 質疑応答では、内山田竹志トヨタ自動車取締役会長が、日本・メルコスール EPA セッションの  日本・ブラジル両国代表の パネリストの 方々の貴重なプレゼンに感謝の意を述べる一方で、コメント案として、自動車産業 の立場で日本・メルコスール EPA 締結時 の メリット や重要性 について、EPA 締結の 主なメリット は、完成車 に賦課されている 35% の輸入関税 が削減 され、環境車や高級車等、 現地生産車のラインナップを補完 する形で、 お客様の幅広いニーズ に答えることが可能となる。自動車部品に関しては 、 現地調達が困難な電子部品、モーター、ユニット部品等に対して輸入関税が18% 、 製造設備・型 等にも 最大 18 %が賦課されているため、関税削減に伴い、現地生産車の競争力強化 に繋げる ことが期待できる 。またEPA の効果は、輸入関税削減だけではなく 輸入手続きの迅速化 等、貿易・投資のルール作り や ビジネス環境の整備 が推進され、 貿易・投資の更なる拡大 にも期待できる。直近では、グローバルに 保護主義の動きがある中、ボルソナロ 大統領のリーダーシップにより、EU との FTA の政治合意は、自由貿易推進の流れを形成 するも のであり、グローバルに事業展開する企業にとって 喜ばしい。しかし日本の自動車メーカーとしては、交渉中の 韓国 、カナダ 、更に今回の EUとの比較で、メルコスール市場における 競争環境が劣後 し、長年地道に続けてきたビジネスに悪影響 がでることを大変懸念 している、と説明。日本とメルコスールのEPAを推進する必要性・重要性はこれまで以上に高まっている。 私がメンバ ー を務める日伯賢人会議は長年にわたって日本政府には引き続き 粘り強く働きかけていくが 、 ブラジル政府にも是非推進をお願いしたいと強調した。

また村田 会議所会頭からは、日本からの輸入車が関税面で不利な競争条件に晒されることや、自動車部品についてもそれぞれ自国からの輸入部品調達へ依存が高いことから日系メーカーは調達コスト上でも不利な条件を強いられることが強く懸念されており、会議所自動車部会でも活発な議論がなされていることに触れた。また前述の日系4団体連名の嘆願書については、EUとメルコスールが20年以上の交渉を経てEPA締結合意に至ったことを受け、ブラジルをはじめとするメルコスール地域の本格的な経済開放によるヒト・モノ・カネの往来活性化が強く期待されていることの表れとして、会議所も同様な期待感を持っていることを述べた。

 プレゼン後、大前モデレーターは同セッションの総括として、日・メルコスールEPA締結に対する非常に大きな期待を感じ、総括の1点目は両国経済界の大きなポテンシャルを擁する質の高いEPA締結が重要であり、日・メルコスールEPAの早期交渉開始の重要性を再確認。2点目は日・メルコスールEPAを前向きに進める方針が示され、民間サイドの日伯産業界から日本たばこ産業、ABICから締結によるビジネス効果の説明もあった。また包括的で質の高いEPA締結は双方にとって貿易の活性化や経済連携強化に多大な効果をもたらした日本・メキシコFTA協定の効果も紹介された、と締めくくった。

 大前氏は会場の参加者419名にEPA 支持の拍手による賛否を諮り、全会一致で採択の承認を得た。それを受けて経団連 飯島日伯経済委員長、エドアルド・バルトロメオ 日伯経済委員長が日メルコスールEPAに向けた共同報告書に署名、レオナルド経済省貿易局長代理へ手交し、記念写真撮影を行った。

日メルコスールEPAに向けた共同声明:http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/061.html(日本語)

http://www.keidanren.or.jp/en/policy/2019/061.html(English)

 

(Fotos: Rubens Ito/ CCIJB)

 特別セッション3では、「アグロビジネスとロジスティクス・インフラストラクチャー」について、モデレーターは元農務大臣のロベルト・ロドリゲスGVAgro、ジェツリオ・ヴァルガス財団コーディネーター、早田元哉ノバアグリ会長(豊田通商)、エドアルド・サンパイオ(Eduardo Sampaio) ブラジル農務省農業政策局長、佐藤真吾ブラジル三井物産社長、マルコス・ジャンキ(Marcos Jank)INSPER大学教授の順で発表した。

 翌日30日の特別セッション4の「2030年に向けた日伯コーペレーション」では、カルロス・マリアーニ・ビッテンクール FIRJAN副会長(日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議ブラジル側座長)が第9回日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議の報告、モデレーターは元開発商工省大臣のルイス・フェルナンド・フルランBRF経営審議会メンバーが務め、高宮勝也三菱電機シニアアドバイザー、ウイリアム・フランコ(William Franco)ナツーラ社Industria4.0担当部長、プリニオ・ナスタリ(Plinio Nastari)DATAGRO社長、内山田竹志トヨタ自動車取締役会長、久保田伸彦IHI資源・エネルギー・環境事業領域事業開発部理事/部長、パウロ・アルヴィン(Paulo Alvim)科学技術革新通信省(MCTIC)イノベーション企画局長の順で発表した。フルラン氏による総括後、エドアルド・デ・サーレス・バルトロメオ(Eduardo de Salles Bartolomeo) Vale会長、飯島 彰己 経団連日本ブラジル経済委員長による閉会の挨拶を経て閉会となった。

ブラジル側発表者資料など:https://www.portaldaindustria.com.br/cni/eventos/22a-reuniao-plenaria-do-cebraj-conselho-empresarial-brasil-japao/



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