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業種別部会長シンポジウム

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2003年下期業種別部会長懇談会 2003/07/31

当所恒例の総務委員会(遠藤委員長)主催「業種別部会長懇談会」は、7月31日午 後3時~6時、安田保険講堂で開催された。テーマは、「ブラジル経済2003年上期回顧と下期展望」。経済地域間、あるいは2国間の自由貿易協定締結が世 界の趨勢である事から、日本が南米市場から疎外されるのを未然に阻止するための日伯間、あるいは日、メルコスールFTA問題がクローズアップしており、同 問題について、日伯経済交流促進委員会の金岡委員長(ブラジル伊藤忠)が説明した。

今回は訪伯中の後藤博子参議院議員(大分県、自民党、女性局 次長)を迎えて各部会長の発表に一段と熱がこもった。田中会頭(リベルコン・ビジネス)が日系進出企業の今日までの進出の経緯、現状をのべた。司会は遠藤 委員長(安田保険)。当日の部会発表は下記部会長、副部会長、部会長代理の11名。

 

・ コンサルタント部会長 西川悦治(個人)

・ 金融部会長代理    小原修司(ブラデスコ銀行)

・ 貿易部会長      柳田武三(ジエトロ・サンパウロ)

・ 化学部会長      新井章夫(ブラジル北興化学)

・ 機械金属副部会長   浅賀健一(日本スチール)

・ 繊維部会長      福島良和(ブラジル鐘紡)

・ 食品部会長      渡辺英明(東山農産加工)

・ 電気電子部会長    瀬山雅博(パナソニック・ド・ブラジル)

・ 建設不動産部会長   清水邦保(ブラジル竹中工務店)

・ 運輸サービス部会長  横山幹雄(日本航空サンパウロ支店)

・ 自動車部会副部会長  伊藤一廣(NGKド・ブラジル)

 

左から赤阪総領事、後藤参議院議員、遠藤総務委員長(司会)、田中会頭

 

  • 田中会頭、日系進出企業略史をのべる

     

    司会 総務委員長の遠藤でございます。議事進行面でよろしくご協力をお願いします。
    開会に先立ちまして田中会頭より、本日のゲストの方々の紹介も含めごあいさつ頂きたいと思います。よろしくお願いします。

    田中 本日は特別ゲストとして常連の赤阪総領事がOECD(OCDE=経済開発協力機構)事務局次長にご栄転、赴任前のご多忙中にも関わらずご出席いただいてお り、さらに日本からご来伯中の参議院議員、後藤博子先生にも超タイトなスケジュールをやりくりしてご出席いただきました。
    後藤先生は1982年から85年まで技術者のご主人とともに、JICAの支援によりマナウスに工業移住、マナウス日伯文化協会の日本語学校で日本語や日本文化につき指導された経験のあるブラジル通であられます。
    2001年、自民党に招かれて参議院議員に大分選挙区より立候補され、新人ながら二人の強力な反対候補を大きく引き離して、約60%の得票率で当選された新しい時代にふさわしい政治家であられます。

    さて、本日は当ブラジル日本商工会議所の最大行事である「業種別部会長によるブラジル経済の回顧と展望の懇談会」。年2回実施となっており、今回は2003年上期を回顧し下期を展望するもので、この機会に簡単にこの懇談会の歴史を紹介させて頂きます。
    現在のみなさんには想像が難しいと思いますが、1970年代初め、ブラジル経済の奇跡と言われた時代、欧米企業に伍して日本企業もブラジルへ怒涛のように 進出しました。当会議所もそれに対応して組織改革を行い、業種別に10部会がつくられ、会員会社は必ずいずれかの部会に所属することになりました。昨年、 機械金属部会から自動車部会が独立して現在は11部会になっております。

    70年代のブラジル・ブーム時代

    日本の対伯直接投資は各国中3位だった

    私事にわたり恐縮ですが、その時、ここに今日もおられる山田監事会議長と私がコンサルタント部会創立に参画し、私が初代部会長に就任しました。部会長懇談 会はそれから間もなく開始されたので、30年の歴史をもつ行事ですが、当初はコンサルタント部会の行事としてコンサルタント部会長が司会役をしました。そ の後、会議所の組織に総務委員会が新設され、同委員長が司会する会議所全体の行事となり今日に至っております。
    1970年代のブラジルブーム時 代、各業界の名のある企業ばかりでなく、中堅、中小企業も含め数百社進出しました。その後、かなり撤退したが、現存する日本企業の半数以上は70年代に進 出しております。日伯間には80年代、90年代と20年にわたる不幸な失われた時代が続きました。80年代はラテンアメリカの債務危機によるブラジル経済 の停滞。90年代は日本企業のバブルの崩壊であります。とくに90年代、ブラジルは開放経済への転換、積年のハイパーインフレの克服に成功したことなどに より、欧米企業が積極的に進出したのに対し、日本企業は立ち遅れました。 日本企業のブラジル向け直接投資は、国別順位で1995年まではアメリカ、ドイ ツ、スイスなどに伍して常に3位ないし4位を占めておりましたが、最近は10位ないしは10位以下に転落しております。

    最近10年間の 日伯貿易、とくにブラジルから日本向けの輸出は年23億ドルベースから21億ドルと絶対額でも減少しており、ブラジルからその他の地域向けは、米国向けは 倍増、ヨーロッパ連合(EU)向けは50%増、日本を除くアジア地域向けは2.3倍増と増加しております。当会議所会員会社数でみますと、70年代から 80年代のピーク時には総数約350社、そのうち日本企業は約220社でありましたが、今日総数が280社のうち日本企業約160社となっております。会 員数が減少しているのは日本だけで、米国会議所会員数は増加を続けて現在約5000社、ドイツは1000社と言われております。
    かつて日伯経済 協力の代表的存在であった石川島播磨重工のイシブラスは南米最大の造船所でしたが、現地資本に売却、撤退しました。ナショナルプロジェクトの代表、ウジミ ナス製鉄はその後民営化の際、期待された日本勢が参加せず、日本の出資シェアはかつての40%から現在18%に低下しました。日本が6億ドルの資金を投入 し、今や世界第2の大豆生産国となったブラジルの年間4200万トンのうち60%を生産する「セラード開発」も最近継続が断念されました。

    日本の投資は中国中心にアジア集中

    伯では明るい話題出てきたがFTA懸念

    日系現地企業でも日本人が設立し日系人が経営してきたブラジル最大のコチア農業協同組合も経営不振に陥り清算されました。コロニアの象徴的存在であった南 米銀行も身売りされました。かつては日本人街といわれたリベルダーデ地区も今やチャイナタウン化しつつある様相を見せ始めております。
    悲観的な 話しばかりですが、明るい話しも最近若干は出始めております。1つは、トヨタ、ホンダの乗用車生産開始。まだ年産規模は4~5万台と少ないが、将来を見越 して関連企業も徐々に進出しつつあります。2番目は日伯合弁のナショナルプロジェクトであったパルプのセニブラを、日本の製紙メーカー連合が100%取得 したこと。3つ目は川崎重工のエンブラエル社の飛行機翼生産への参加です。4番目は、三井物産による鉄鉱石のカエミ、及びリオドーセへの参加などです。し かし全体的に、日本の目は中国を中心としたアジアに集中しております。欧米企業と比較して、日本に最も欠けているのは戦略的な見方です。とくにグローバル 化時代の、しかも広大なブラジルに対してはそれが必要です。現在、早急に着手すべき具体的な問題はブラジルとのFTA、自由貿易地域交渉です。日本は世界 貿易機関(WTO)を通じる多国間協定を方針として来たが、最近世界の傾向は複雑化するWTOよりも2国間FTA交渉が主流になっております。ブラジル関 係でもキューバを除く米州34カ国を包含するFTAA、すなわちAlcaが2005年成立を目標に進んでおり、これに対抗して欧州連合(EU)がメルコ スールとのFTAを1年早い2004年成立を目指して交渉を進めております。
    これらがスタートすれば、日本企業はメキシコでと同じようなダメー ジを受ける可能性があります。当会議所は日伯経済交流促進委員会が中心となり、メキシコの事例研究、電気電子業界及び自動車業界の事情研究などをすでに行 い、これから日本、ブラジル間のケーススタディや政府に対する具体的提案に入っていく予定であります。

    新しい日伯経済関係構築

    ナシプロ終り民間企業主役

    私はブラジルは戦略大国という読み方をしております。1つは21世紀に確実に予想される食糧不足を控え、供給力のあるのは米国とブラジルなどごく限られた 国々であります。2番目は石油ショック時代、ブラジルの石油自給率は10%台にすぎなかったが、開発に努めた結果、現在は約80%に達しており、今後数年 で完全自給でき、さらに輸出可能となる見込みです。3番目は石油ショック当時、燃料代替としてアルコール燃料を開発、80年代は生産する自動車の90%が アルコール車だったという経験と技術を持っております。最近、環境問題から再びアルコール燃料が注目されていることはご高承の通りであります。4番目はブ ラジルはIT大国で、これはあまり知られていませんが、すでに10年前から電子選挙を導入、今では完全に定着しました。とくに、全国5500の市長及び市 議会員選挙を一斉に整然と実施し、同じ時期に米国大統領選挙の2カ月以上のもたつきに比べて2時間で結果が確定対照的でした。その他、税務申告、納税、免 許証登録など殆どの行政事務がインターネットで可能となっています。5番目は銀行の不良債権処理、金融システムのリストラをすでに95年に済ませており、 日本の遅々たる動きに比べて対照的であります。

    70年代と異なり、今日はナショナルプロジェクトの時代ではありません。日伯経済関係親 密化の主役は民間企業であることは言うまでもありません。日本のブラジルにおけるプレゼンスのじり貧状態が続けばどうなるかは、日本企業ばかりでなく、日 本の政、官、財、マスコミなど関係者すべてに認識してもらうことが必要であります。すなわち、戦略的な認識が不可欠であります。ブラジルをよくご存じの後 藤先生に、そのための橋渡しをお願いできればこれに過ぎるものはありません。

    最後に、ご多忙中ご出席されました後藤先生、赤阪総領事以下 総領事館のみなさま、会員及び一般の方々、またこの準備のため努力された遠藤委員長をはじめとする総務委員会のメンバー、会議所事務局のみなさん、また素 晴らしい会場を提供して下さった安田保険会社の方々、それから申し忘れましたが大使館から笹本書記官もおみえ頂いております。皆様方に対して厚くお礼申し 上げます。以上で私の挨拶を長くなりましたが終わらせて頂きます。ありがとうございました。

  • 後藤参議院議員あいさつ

    日伯経済交流促進に尽力したい

    司会 後藤議員並びに赤阪総領事には発表後の、そのご講評をお願いしたいと考えてましたけれどもご両名とも、夕刻以降のスケジュールの都合があるということなので、先にご挨拶いただきたいと思います。後藤議員、よろしくお願いします。

    後藤 みなさまこんにちは。ご紹介いただきました、参議院議員の後藤でございます。本日、日本商工会議所の部会長懇談会に出席させていただき、ご挨拶の機会をいただきましたことを重ねてお礼を申し上げます。ありがとうございます。

    本日集まった方々は、ブラジルの経済を引っ張っていくというか、代表される方々ばかりだと聞いており、私と致しましても本日、このようなチャンスに恵まれたことを、本当に嬉しく思っております。

    私、13年度、2年前に、国会議員になったばっかしで、まだほやほやの駆け出しでございますので、本日はあの、皆様方のお話をお伺いしながら、いろんな勉 強が出来れば、これに勝る、感謝の喜びは私としてはありません。私は今回、こちらに先ほどご紹介いただきましたように、「戦後移住50周年記念」の式典参 加のために、やって参りました。いま田中会頭からお話がありましたように、私はマナウスに3年間ほど住んでおりまして、その時は主人が技術者だったもんで すから工業移住をさせていただき、私はその家族の一人として、マナウスに3年間住んでおりました。まさか19年ぶりに、国会議員としてブラジルの地を訪れ るということは、本当に予想もしていなかった状況でございます。私と致しましても、非常にありがたく嬉しく思っておりまして、みなさま方の今日のいろんな お話を聞きながら、何かお役に立てることがあるのではなかろうかと、そういうことも考えてやって参りました。

    現在ブラジルは、アメリカや EUなどと自由貿易協定の締結に向けて交渉中です。また、中国との貿易も急増中と聞いております。こうした状況の中で、今年の春でしたか、サンパウロで開 催されました「日伯の経済合同委員会」では日本とブラジルの自由貿易協定について検討すべきという、提言がなされたことも伺っております。私も日伯議員連 盟に所属する議員の一人と致しまして、日本とブラジルの経済交流促進に微力ですけれども、尽力するつもりですので商工会議所のみなさまとは今後も連絡を密 に致したいと考えております。ご相談とかご要望がございましたら、このような私でよろしければお気軽にご連絡いただければ幸いだと思っております。私もま だまだ慣れないことがたくさんございますので、皆様方のご指導を賜ればありがたいと思っております。最後になりましたが、ブラジル日本商工会議所の益々の ご発展と、ご当地日系社会のご活躍を願いまして、簡単ですけれども私のご挨拶とさせて頂きます。本日は本当にありがとうございます。よろしくお願い致します。

    司会 ありがとうございました。後ほどFTA問題について、日伯経済交流促進委員会の金岡委員長の方からご報告があるかと思いますので場合によっては、きつい要求が出るかも分かりませんのでよろしくお願いします。赤阪総領事、お願いします。

  • 司会の言葉

     

    部会長、副部会長並びに部会長代理発表

    テーマ:「2003年上期回顧と同下期展望」 


    司会:遠藤総務委員長

     

    30%のインフレを収束傾向

    金利引き下げで下期期待か

    本日の議題、「ブラジル経済2003年上期の回顧と下期の展望」では、各部会で集約された意見を発表して頂きますが、発表の時間はお一人10分程度でお願 いしたいと思います。皆さん非常に雄弁な方ばかりですが、発表内容は後日、商工会議所のホームページにも掲載されますので、本日はエッセンスの部分だけ集 中して頂ければと言うふうに考えています。途中、コーヒーブレイクを挟み全部会の発表が終わりましたあと「自由討論の時間」も設けたいと思います。最後に FTA問題の検討状況について金岡委員長の報告も予定しております。

    それでは本題に入ります。まず2003年 上期の展望は、年初の第一回部会長懇談会で、討議され総じて史上初めての労働政権への不透明さがあり、慎重論が大半を占めていたと思います。現実開けてみ てどうだったかって言うと、年初1月~3月まで12カ月累計で30%を超えるという大きなインフレがありまして、このインフレ抑制に経済政策の主眼がおか れて来たと思います。その結果、高金利、高失業率、所得低下といった経済環境の悪化という事態に陥っており、まあ、部会でも同様の部門、金融部門を除きま しては、非常に苦しい6カ月であったというのが実情ではないかと思います。

    そうは言いながら、最近になりイン フレも収束傾向を見せ、金利の引き下げもあり「下期に期待する」ところが大きいのかな、と推測しております。それでは各部会の発表に移ります。まずコンサ ルタント部会から順番に行きたいと思います。マクロの状況をコンサルタント部会の西川さん、よろしくお願いします。

     

  • コンサルタント部会 西川部会長


    西川部会長

    西川 コンサルタント部会の方ではマクロ的な面を説明するようにという事ですが、数値的な面は金融部会の小原さんにお願いしまして、大きな流れといいますか、イ ベントとして特筆すべきことを中心に、我々のみたところを説明したいと思います。 大体上半期、下半期ともに政治と経済の2つの面に分けて説明させて頂き ます。

    皆様ご承知のように、今年の1月に政権を執りましたルーラ政権、ほとんどの人がかなりの危惧をもって成り行きを待った、見つめたと思います。ところが結果は予想以上の好評を受けた。とくに外交面においてルーラ大統領の働きぶりが非常に立派だったと思います。
    国内面では2つの出来事が非常に重要だったと思います。第一は去年、政権を執る前に連立政権に取り込もうとしてうまく行かなかったPMDBを時宜的に取り込んだ。これはかなり大きな政治的効果があったとして、大統領の政治力を評価すべきだと思います。
    第二には特に、全州知事をまとめて、社会保障制度改革実現のために自分の陣営に引き込んだ。この二つが特筆すべき国内的な政治面での動きじゃなかったかと思います。

    財政1次収支黒字目標引き上げ

    国際金融マーケットが伯に好感

    経済面では、上半期は去年の不安、去年はルーラ大統領候補の人気がどんどん強くなっていく選挙戦のなかで、非常にドルが高騰した事に象徴されるように、非 常に不安定な経済の動きでした。それを引きずって上半期は非常に苦しい余り効果のない半期だったと思います。ところが1月の確か20日前後と思いますが、 財政プライマリ-収支の黒字をIMFとの間でそれまで3.75%で前政権がアグリメントしていたのを4.25%に上げると声明した。これを契機に国際金融 マーケットのブラジルに対する見方が大きく転換したと思います。ですから私は、今年上半期の一番大きなファクター、評価すべき点はこういう決定をした事だ と思います。
    その結果、それまで殆どボンド発行が出来なかったブラジルが、どんどん発行出来るようになり、第1四半期に50億ドルぐらいの借入れが出来た。それによって、国際収支面の当面の不安が消え、明るい見通しが立ったという事です。
    その間、例のイラク戦争に象徴される国際経済面での不安定要素がありながらもブラジル国内では、ドル相場がどんどん下がってきた。ブラジルのリスク指数、それとインフレ指数も徐々に下がりだした。
    株価の方も3月頃から少しずつ回復し、ブラジル債務も格上げされる様になってきた。これは先ほど申し上げた財政プライマリ-収支の黒字面を自発的に上げる約束が大きなファクターだと思います。
    しかし、世界的に景気は一向に改善せず、ブラジルの失業率は益々増大する。消費は上半期全体を通じてかなり落ちた。ですから経済全般の成長率は期待するほどではなかった。

    次に下半期ですが、政治面では殆どの人がそう考えられると思いますが、国会における構造改革、とくに社会保険制度、それから税制改革。この2つが下半期の 1番大きな関心事になると思います。この結果によってはブラジルの経済・社会の将来に対して、非常に大きな影響をもたらすという事でしよう。第2番目に は、土地なし農民(MST)の動き、あるいはホームレスですね。このMSTのこの動きが益々活発化しておりますし、これからも先鋭化する可能性は非常に高 いと思います。これはルーラ政権としては難しいでしょうが何としてでも解決せざるを得ない。これを来年まで持ち込むと解決はますます難しくなると思いま す。この下半期では、なんとか目処をつけて解決策、解決の方向にもって行けるように期待したいと思ってます。そのほか、国際的には上半期の成果を引き継い で、かなり積極的な対応をすると思いますが、むしろ下半期は国内問題に集中してもらいたいと期待しております。

    米景気回復頼みの伯経済

    経済の方は世界的にみて、大きく好転するという期待は難しいだろうと思っております。先進国ではデフレの方がむしろ心配で、低金利政策とかいろいろやって おりますが、簡単には解決しにくいと思います。アメリカも財政収支、それから経常国際収支赤字が未曽有の大きさになると言った問題もありますが、ブッシュ 政権がとった大幅減税の効果もぼつぼつ顕在化しているようで、アメリカの景気が立ち直ればブラジルの景気も少しは良くなると期待しております。
    また、国内的にはブラジルもデフレ的な要素、数字を出しており、インフレが収まって行き、それに応じて金利のカット、それから強制預託金率の引き下げ、そういった金融緩和政策を中央銀行がとっていくので、少しは景気が良くなると期待しております。
    輸出面では、農産物の輸出が端境期で落ちますので、下半期に大きな黒字、貿易収支の黒字は期待できないでしょうが、黒字基調はあまり変わらないと思っております。
    為替相場も現在のように外貨の調達が難しくなければ、それほど大きな高騰はないと思いますが、ブラジルは国際収支面がアキレス腱で、何かがあれば敏感に反応する部分ですので、為替相場の動きはやはり注目して行かなければと考えております。
    簡単に申しますと下半期は、来年はもう少し景気はいろんなものを含めて良くなると思いますが、それまでのまあウォーミングップ、そういう時期じゃないか と。「直接景気の動向が良くなった」と言うところまでは難しいかも知れませんが、成長率も上半期よりは少し増えて行くのではないか、年率2%まで行くか行 かないか、の水準ではないかと思っております。以上で説明にかえさせて頂きます。

  • コンサルタント部会(レポート)

    2003年上期の回顧と下期の展望

    1- 上半期の回顧

    政治
    大きな危惧の念を抱かせてスタートしたルーラ政権であったが、予想以上の好評裡に最初の6ヵ月を終えた。アントニオ パロッシ財務相を始め、セルソ アモ リン外相、ルイス フェルナンド フルラン商工貿易開発相、エンリッケ メイレレス中銀総裁等手堅い運営振りで内外の信認を高めた。
    ルーラ大統 領の行動力、決断力、とくに戦略的なヴィジョンについては、目を瞠らせるものがあった。 メルコスールのみならず、南米諸国のリーダーとしてのブラジルの 地位確立、FTAA(ALCA)推進のコーヂネーターとしての認証、EUとメルコスール協定促進化への働き、中国、インドを巻き込んでの発展途上国サミッ ト形成の始動等、とくに外交面において顕著であった。
    国内的には、昨年末不成功に終わったPMDBの取り込みに漕ぎつけ、社会保障制度改革、税 制改革、その他の重要な構造改革に必要とされる、議会による現行憲法改正の目処をつけることが出来た。更に、社会保障制度改革の実現に向け、27人の全州 知事の説得工作に成功したことは特筆に値する。

    経済
    財政プライマリ-収支黒字をGDPの3.75%から4.25%へ引き上げるこ とを新政権発足後間もない時期に発表、市場に新政権の経済政策が極めてオ―ソドックスであることを強く印象付けた。同時にこの目標を達成するために、本年 予算を141億レアルカットすることを決めた。
    この結果、IMFよりの借入金引き出し(本年240億ドル)も早急に認められ、イラク戦争等の大きな不確定要因にも拘わらず、ブラジルリスク指数、インフレ指数、ドル相場が大きく下降し、反面、株価上昇、ブラジル債務の格上げ等がみられた。
    財政プライマリ-収支は4.25%を上回る黒字、国際収支も順調な
    ローンやボンドによる外貨調達で大きな改善が見られた。
    併しながら、世界的な景気低迷と昨年後半から今年度初めにみられた物価高騰による可処分所得の減退、中央銀行による高金利政策の維持により、失業率の改善はみられず、著しく消費が落ち込んだ。

    2- 下半期の展望

    政治

    国 会における社会保障制度、税制改革承認をめぐっての攻防が最大 の関心事となろう。この帰趨によってブラジルの経済、社会の将来は 大きな影響をうけることになる。 またMSTの土地占拠も激しさを増す可能性大で、この問題をどの  ように処理するかルーラ政権の政治力が試されている。   
    国際的にはメルコスール、南米のリーダーとして、ALCA問題、EUとの交渉など、ブラジルのみならず、近隣諸国の将来もきめるよ  うな選澤を迫られるようにもなろう。   
    10年、20年後のブラジルのあるべき姿を示し、それに至る道程の方向性、必要な主たる方策などを提示してほしいものである。それ  も今後急速に伸びるであろう他の発展途上諸国を視野に入れて。

    経済
    世界の経済動向をみれば、近いうちに経済情勢が大きく好転し、成長路線に乗る可能性は少ないと思われる。 殆どの先進国ではデフレに陥らないように低金利政策が続き、米国  では、未曾有の財政と国際経常収支の赤字という問題を抱えているが ブッシュ政権によってとられた大幅減税の効果も顕在化し、消費の拡大が期待される。   
    国内的には、インフレ収束が明確になるにつれて中銀は徐 々に金利 カットと強制預託率の引き下げによる金融緩和策をとり、新規投資や消費の拡大を図ろう。その効果が顕われるのは先になろうが、景気の 好転期待感は見られよう。好調だった農産物の輸出は、端境期のため減少するが、農産加工品や工業製品の輸出は維持されよう。この輸出 主導型から徐々に国内景気型に移行すると期待される。   
    為替相場については、外貨借り入れが今のように続く限り、現行水準で推移するであろう が、ブラジル経済のアキレス腱が国際収支問題にあるという体質は何ら変わっていないので、国際金融市場で何かが起これば、ブラジルの為替相場に直接大きな 影響を与えるということ  を常に考慮しておく必要がある。   
    景気好転への期待感は増大するとはいえ、下半期の経済成長率は上半期のそれを多少上回る程度であろう。景気の好転を実感できるのは来年と思われ、そのためのウオーミングアップが今年の下半期と考えられる。     

    コンサルタント部会会員の業務にみられる変化、新需要

    1. 人材リクルート業

    失業した重役級を含むエゼクチ-ボたちの再就職までの期間が昨年は、平均で3ヵ月くらいだったのが今年は、平均で7ヵ月 から8ヵ月まで伸びている。
    そ れだけ再就職の難しさが表面化 して来たといえる。IBGEの調査によると、今年5月の失業率は、12.8% で史上最悪を記録し、さらに、同6月には13%の大台に乗った。 また、日系進出企業の場合、国内の不況色というよりも、むしろ、 経済政策を中心に、ルーラ新政権の行方を見守りたいと言う理由 で、新規の人員採用を手控えている。従って、増員のための採用 は、ほとんどなく、社員の誰かが辞めたときの補充にとどまって いる。

    2. 法律弁護士事務所

    A)FGTS - 88年 から91年の間の価値修正不足分はCaixa Economica Federalが払ってくれるが、その間人員整理の対象 となった元従業員はムルタ(罰)として元雇用主より支払われた 40%の価値修正を元雇用主に要求するケースが見られる。         
    B)Arbitragem - 96年制定の法律に基づき契約当事者間で、係争を裁判所の代わりに Arbitragem で処理するという条項を いれた契約書がふえてきている。

    C)新民法   - 有限会社(Sociedade Limitada)のContrato Socialを新民法の規定にあわせるべく2004 年1月12日までに変更しなければならない。

    3. 旅行代理店業ブラジル側のビザ手続きは、前政権と比較して、かなり迅速化 してきている。

  • 金融部会 小原部会長代理


    小原部会長代理

    金融部会レポート

    司会  この高金利の影響を十分に享受されたのではと思われる、金融部会の小原さんお願いします。金融部会の方ではレジメを2部ほど用意されているようですから。

    政府の着実な議会工作成果に期待

    小原   本来、金融部会の方は部会長の村田、もしくは副部会長の山田さんの方から発表させて貰うところですが、あいにく、私にとっては不幸というか、ごめんなさ い(笑い)。お二人は出張がフィックスして、動かせないと言うことで、私ごときで大変恐縮ですが、頑張らせて頂きたいと思いますので是非よろしくお願いし ます。

    金融部会のレジメを二つ用意してまして、一つは金融部会目次と書いてある方と、あとはデータ中心の方の2部になっています。
    最初が目次の方に「マクロ経済政治動向」というところで、今コンサルタント部会の西川部会長の方からご発表いただいた内容と重複するところがありますが、 まあ幸いにも、今お伺いしてまして特に事前の打ち合わせはないですが、トーンは全く一緒ですので,ここは簡単に聞き流して頂ければと思います。

    まず国内政治、議会運営ですが、上半期を総括し,短く言いますと、ルーラ政権が国内政治を安定させて政策遂行に必要な議会での支持基盤を確保していった。 お話しありましたが連立を形成していく過程にある。それが今後の政策遂行上の安定基盤をほぼ築けたのかなぁと、楽観的な見方ですが、このように捉えられる と思います。今後、大きな憲法改正案、足元で進んでいますけれども、上下両院でそれぞれ五分の三以上の票数獲得が必要な訳ですが、これも楽観的すぎるかも 知れませんが目処が立ってきている事が、後に述べます経済の方もしくはマーケット、投資家サイドの好感を得ていると言うことだと思います。

    憲法改正は2004年上期予想

    大統領支持率も安定している

    通期の展望ですが、まさに年金制度改革を中心とする社会保障制度改革。それから、昨日か今日の新聞に、税制改革の方は審議を先送りすると出ていたが、そも そも内容がどのように変わって行くのか、いつ議会で承認されるのかがまさにポイントになってくると思います。通常、最短でも憲法改正には6カ月が必要だと 言われており、早ければ年内と政府は目論んでいるようですが、実際に外からの見方としては年が明けて2004年の上期になるのではと見ています。ただ、 2004年の下期に地方選挙を控えていますので、政府としては、それまでに何とか承認にこぎつけたいと考えていると思われます。

    大統領の 支持率は、ご存じの通り、貧困層出身ということで多くの国民の期待が集まって、就任当初76%を記録するに至っています。現在も依然として70%代の高支 持率と、国民の支持も安定しており、通期の見通しとしても俗にハネムーン期間1年といわれますが、これは若干1年半とか2年とか、もう少し長い様子見期間 であってよいのではと言う見方をしています。いろいろと不安要素はあると思います。PT内での、足並みの乱れとか、センテーハ(土地なし農民)、センテッ ト(ホームレス)とシンジケートの要求、動きが強くなってくること、公務員のストライキ、まさに今いろんな所で火種として起こっており、州知事の反対とか いろいろあると思いますが、ベースは着実に出来ていると言うような、好感的な見方をしています。

    経済動向。GDPと経済動向ですが、上半 期を短く総括しますと、昨年から続く高金利政策の影響を受けて内需は低迷。レアル相場が高止まりで、現在まだ高止まっているにも関わらず輸出産業は好調 と、こういえると思います。ご存じのように金融が非常に、高金利政策とボリューム面での準備率の引き上げ等で収縮しており、国内市場向け非鉄金属や住宅投 資関連産業は大きく落ち込んでいて、足元っていうか、これも年初以来ずっとですが自動車などの耐久消費財、それから一般消費財も去年の年末の買いだめとい う影響もあって、まだ減少している状況です。

    金利はこの前1.5%下げたが、実業界からは1.5%は期待はずれという声も多かったが、政府としては1.5%も下げたと。そのプレッシャーの一つとして、失業率が年初以来ずっと悪化していよいよ13%に近づいたという背景もあったと思います。
    通期の金利見通しは、段階的に2段階下げたが、今後も段階的な利下げを、行っていくと見ております。ただ対策面で金利は引き下げて行くでしょうが、実態経 済に影響、個人消費とかその辺に及んで実際に数値として及んでくるのは来年以降になるという見方が強いようで、従がって、GDPの成長率の見通しも 1.5%にポイントを下方修正しております。

    外準ネット145億ドルが気になるが、貿易は楽観

    財政。公的債務ですが、上半 期はプライマリ-収支を4.25上方修正して、非常に好感を呼んでおります。レアル高の影響もあり、公的債務残高のGDPに占める比率は、昨年9月のレア ル安がピークだった頃の63.6%から比較すると大きく低下し、5月には53.6%まで落ちています。この4.25%という目標は、大半の外部機関とか は、ほぼ達成見込みと見ているようです。政府の財政面、調達面での方向性としては、まず短期。今日も新聞に載っていたが、まず短期債務の削減。いま短期債 務額でなく比率では4割位あるけれども、それを少しでも、長期化し、キャッシュフローを安定させると。それから、ドルリンク債もレアル安の影響によって、 まさに公的債務残高のGDP比率を、上げたりするので、極力ドルに左右されない格好にしたいとドルリンク債はいま約4割弱あるが、これの削減という方向性 で進んで来ているようです。

    貿易収支は、昨年来のレアル安を受けて一次産品、とくに食品輸出が大幅に増加しています。上期の貿易黒字が 104億ドルと前年同期の4倍を計上しております。前年同期は25億ドル位で、前年通期で約130億ドル位だった。ですから前年7月から12月までとほぼ 同じ水準で、まだこのレアル高の水準でも貿易収支は足元を黒字に推移していると言うことです。
    通期の見通しは、これも大きく見方が分かれると思いますが、ベースは貿易収支は楽観と言えると思います。通期では150億から170億ドル位ですから、更に50億ドル、60億ドル位の積み増しが残り6ヵ月で出来る見込みでいます。

    外貨準備。外貨準備は足元480億ドルですから危機の頃の350億ドルと比べて、だいぶ高くなっていますが、その中に実際にはIMFの方の残高が335億 ドルありネットでは145億ドル。この水準は去年の大統領選挙のタービュランスが始まる前の水準よりも低い。一般に3カ月分の輸入を下回って来ると危険水 準という見方があり、もうそれにネットでは近づいています。とはいえ、グロスでの判断では、なんていうかベースは安定的と思うんですが。

    為替は上半期を総括しますと、グラフでもはっきり分かるように一貫したレアル高でした。これは当初様子見であった市場の方からも、ルーラ政権が実際の公約 通り、基本的な経済政策はカルドーゾ前政権時から変更しないとはっきり明言、かつ強調していて、その通りの行動を示す運営である事から好感されています。 政治不安、政権不安はいろんな要素があって一気に高まったが、高まりすぎた不安がまあ急速に払拭されたと言う事で、グラフをつけておりますが、ブラジルの リスクですか、これも、去年の9月をピークに、右肩下がりで下がって来ています。現在の為替高止まり要因として考えられるのは、いま申しましたブラジルリ スクの低下、それから貿易収支が足元いぜん黒字であること、それから財政構造改革への期待感、このあたりがベースになっていると思います。
    今後 の為替動向ですが、インフレ率に連動する形でSelic金利が徐々に、もうデスィンフレを2カ月連続で示してますので、今後もSelic金利を段階的に下 げて行き、結果として緩やかにレアル安が進行していく。緩やかにという事ですから、まあ限定的という事で、各行の予想を下に書いてますが、約R$2.8か ら3.23。このあたりまでのデバリユというか、レアル安を想定していると言うことです。

    徹底した高金利政策でインフレからデフレへ

    金利動向。金利について総括しますと、高金利政策の継続と。とにかく、もうインフレ撲滅のための、執拗なまでの高金利政策の継続という事がいえると思いま す。その徹底した態度があって、6月に初めて前月比でマイナス0.15%というデフレを記録した。このデフレは、これもグラフをつけていますが、4年半ぶ りのデフレです。今日IPA、卸売物価指数が出ていましたが、これもマイナスで、消費者物価の方もほぼ間違いなく、2カ月連続マイナスになると思います。 前後しますが、インフレが下落した主な要因は、中銀の一貫した高金利政策の維持、イラク戦争が早期終結し石油価格が安定した、それからブラジルリスクの低 下。このあたりが主な要因だと思われます。
    今後の動向は繰り返しになりますが、デフレを示していく。ただ、電話、ガス、電気代の値上げをもう8月に見込んでいるようで、このあたりが消費者物価の引き上げに影響します。これが約0.5%の影響といわれ、再びインフレを記録するという格好になると思います。
    それと、特筆するとしたら、IPCAという消費者物価全体の指数ですが、ここにIPCAから農業関連、工業製品関連とか季節的な要因に左右されやすいも の、商品を除いたものの数値がありますが、これで行くと実はまだそのインフレ数値は示しておりませんで、そう言うところからも、政府が慎重姿勢をなかなか 崩さないと言えるかと思います。

    最後に金融情勢のトピックスをつけておりますが、金融収縮面では、資金供給面において、預金準備率を45 から60%に引き上げております。それから、輸出前貸し、これも短期の資金な訳で、短期の外からの資金な訳ですが、これが年初以来大幅に回復していると聞 いております。取引量としては、去年の2、3月ですから、大統領選挙戦のタビュランスの景気の影響を受ける前の水準にまで戻ってきています。金利も戻って きています。
    金融政策面ではいま、色んな構想が出てるのがマイクロバンクというか、小さい個人消費者向けの小型ローンの構想。まあ消費者の購買 意欲を上げるためのそれですとか、倒産法の整備。 銀行がもう少しリスク取りやすくするため、もしくは金利を引き下げやすくするため、こんな方策が検討さ れています。すみません、長くなりましたが以上で終わらせて頂きます。

    ぼう大なファイルのため、金融部会レポートは以下よりダウンロードしてご覧下さい。

    Word File econonia.doc
    Excel econonia.xls

  • 貿易部会 柳田部会長


    柳田部会長

    司会  次は貿易部会ですが、ただいまの話にも出てきました上期の貿易黒字というのは104億ドルですか、史上最高とこういう明るい話題もあるかと思いますけれど、柳田さんよろしくお願いします。

    上期貿易黒字104億ドル

    目立つ対中国輸出増加

    柳田   お手元の資料に基づき、ご説明申し上げます。いま、金融部会の方からもあsりましたように、今年上期の貿易黒字は104億ドル。この同期間では過去最大 を記録しました。このように黒字が拡大した要因は輸出が非常に増えたことです。まず、輸出は31.7%増、一方、輸入はほとんど伸びておりません。2番目 にこの期間の特徴として対中貿易、中国向けの輸出あるいは輸入が非常に増えたことで、とくに輸出先としてブラジルにとって第2の市場になったことです。対 中輸出はとくに大豆、鉄鉱石、鉄鋼製品が中心で200%以上の増加になっています。 一方、輸入はブラジル全体で低迷しました。全体では0.6%しか伸び なかった訳ですが、対中輸入は40%以上の伸びとなっています。この辺は最後のページに統計、国別の統計を出しておりますのでご覧いだだければと思いま す。もう一つ、下期の貿易見通しとなりますと、為替と国内金利の動向が鍵となるでしょう。これはコンサルタント部会、あるいは金融部会のご説明の通りだと 思います。金融部会の貿易黒字見通しはもうちょっと、少なかったと思いますが現在、政府あるいは政府系の予測機関等によりますと、大体170億ドルぐらい を予測しております。

    簡単に以下、ご説明申し上げますと、輸出動向については何故、輸出が大幅に増えたかは、まず1点目としてレアル安の 影響。昨年後半から今年3月にかけてのレアル安。2点目は、中国等の旺盛な外需があって輸出量が増えました。3点目としてブラジルの主要産品の国際価格が 長年低迷しておったのが、ようやく回復し始めたという3点ございます。具体的な品目で見ますと、輸出に非常に大きく貢献したのは、いま申し上げた大豆、鉄 鉱石、鉄鋼半製品、原油、パルプといったところです。とくに大豆は、国際価格が上がってきただけでなく、数量的にも大きな伸びを示しております。大豆の輸 出は、対前年同期比で約150%増。数量ベースでも100%以上の増加を示しております。輸出先は中国が最大です。鉄鉱石は前年同期比で約40%の増加、 鉄鋼半製品も60%ぐらいの増加となっております。これらの増加を牽引しましたのは、やはり中国向けの輸出で、中国の旺盛な需要がブラジルの輸出増加に大 きく貢献していることが分かるかと思います。原油は、前年同期比100%近い増加となっております。主な輸出先は、米国、インド、チリです。
    パルプも対前年同期比で100%以上の増加となっております。対米輸出は100%以上の伸び、対日輸出も落ち込んでおりましたが、ようやく今年上期に50%近い伸び、昨年が落ちた事もあるのですが増加をしております。

    輸出相手国トップは依然米国、中国第2位

    輸 出相手国別にみますと、米国が依然としてブラジルにとっての最大の輸出先です。米国向けは石油燃料等を中心に増加した訳ですが、トータルで18%の増加で 約81億ドルを記録しております。中国向けは何と220%増で、今やブラジルにとって第2の輸出先。従来から重要な貿易相手だったアルゼンチンですが、よ うやく経済の回復傾向ということで、今年上期に90%増と相当な伸びを示しております。
    米国向けは、ディーゼル油等の燃料油が大きく伸びて230%増、原油に至っては300%以上の増加になっております。
    ブラジルから米国への最大の輸出品目である航空機、エンブラエルですが、これもテロ以降かなり落ち込んでおった訳ですが、今年上期には対前年同期比でようやく11%強の増加と回復傾向を示しています。
    中国ですが、先ほど申し上げたように中国向け最大の輸出品目は、今や大豆で、2002年の上期が1億ドルだったものが今年の上期には何と8億ドルと急増をしております。
    鉄鉱石も、50%以上の増加。とりわけ対中輸出で増加が顕著なのは鉄鋼関連製品で、昨年の上期はわずか700万ドル弱だったものが、今年上期には1億 6000万ドルまで急増。鉄鋼半製品は何と500%増。こうした鋼材の需要はご承知の通り、中国の最近の発展ぶりが背景になっています。アルゼンチン、先 ほど申し上げましたように特に自動車、鉄鉱石、こういったところの回復が著しいところです。それから、新しい輸出先として注目されておりますのはロシア、 イラン、インドです。
    なお、イラク戦争の影響は、貿易部会でも先日議論しましたが、ブラジルにとっては輸出先における在庫積み増しというような 形でプラスに働いたのではないかと言うのが一般的な見方です。SARSにつきましては、直接ブラジルの貿易に影響は見られませんが、やはり中国における展 示会・商談会、こういったものへの人の往来で影響が少し出ていると言う意見が多かったと思います。

    上期輸入はわずか0.6%増

    次 に輸入ですが、先ほど申し上げましたように、わずか0.6%の増加です。どうして昨年並みに留まったかは、先ほどの金融部会のご説明にあった通りですが、 やはり今年3月までのレアル安、それから政府の財政引き締めによる公共投資、公共事業等の需要がなかったこと。それから高金利による国内経済の停滞という 3点です。金利(Selic)は先ほどご説明ありましたように24.5まで下がりましたが、依然この高金利が景気回復の足かせになっている事は今ご説明 あった通りですが、1~5月の鉱工業生産でみますと前年同期比で0.6%増と、やはり低迷しています。生産ですが、中間財を除き、資本財、耐久消費財、非 耐久消費財ともにやはり生産が減少しており、こう言ったことがやはり輸入にも影響して、資本財、消費財の輸入が減少していると言うことです。
    資 本財の輸入は、対前年同期比で15%減、消費財も8%減という形になっております。唯一、一次産品、中間財の輸入は約7%、対前年同期比で増えておりま す。資本財の中でも特に減少が顕著であったものは、設備・機械、それから事務機器。この辺は20%近い減少で企業がやはり設備投資を控えている事がはっき り分かるかと思います。消費財につきましても食料品・家具の輸入が大幅に減少して、やはり消費者の購買意欲低下を反映してるのではないかと思います。
    輸入相手先ですが、米国、アルゼンチン、それからヨーロッパ各国、この辺が主な輸入先ですが、軒並み減少しています。
    ただ、中国からの輸入だけは目立つということです。米国はブラジルにとって輸入でも第一位の国ですが、今年上期は12%減少しております。とくに輸入減少 が大きかったものはモーター、発電機、変圧器、以下ここに書いてあるような品目で30%前後の減少となっている。一方、中国は41%強の増加になっていま す。とくに輸入が大きい品目はコークスで、前年同期比で200%以上の増加になっています。セルラー関係の部品も65%ぐらい増加しています。あとは石炭 というようなところです。

    対日輸出10%増、輸入は4%減

    次に対日貿易ですが、対日輸出は前年同期比で約10%増 加。輸入は逆に4%減で、対日貿易は輸出入の合計で前年同期比2.3%増となっています。主要な対日輸出品目の鉄鉱石は25%増、アルミは60%近い増加 です。鶏肉は数字の上では25%近い減になっていますが、数量的には増えております。これは輸出単価が減少していると言うことです。対日輸入主要品目で言 いますと、自動車部品は相変わらずブラジル国内の日系企業等の生産が好調で、50%以上の増加を示しています。

    これから効いて来るレアル高の影響

    そ れから今後の貿易見通しは、先ほどの金融部会等の話の通りで、くり返しになって恐縮ですが、やはり為替と国内金利の動向が大きな鍵を握るだろうと言うこと で、最近のレアル高の影響はこれから効いてくるのだろうと思います。年前半におきましては、レアル高になってもこの3月時点までの契約には影響がほとんど 見られなかったと言うことと、それ以降でも輸出企業は価格を据え置いて来たことが大きいと思います。ただ、今後さらにレアル高が続けば、輸出価格の値上げ に踏み切らざるを得ないと言うことで輸出に影響が出て来ることも考えられます。もうすでに6月、7月の1日当たりの輸出額というものは減少を示しておりま す。
    一方、輸入ですが、これも国内の消費が回復するかどうか、金利がどこまで下がるのかがポイントになろうかと思います。先ほど、冒頭に申し上 げましたように、予算企画省の傘下でありますIPEAの予測では、今年の貿易収支は172億ドルとなっておりますが、中銀もほぼ同じ数字を発表しておりま す。最後にブラジルを取り巻くFTAの交渉状況、これは後ほど金岡委員長の方からお話がございますので、その時に追加でご説明させて頂ければと思います。 以上です。

  • 貿易部会(レポート)

    2003年上期貿易動向と今後の見通し

    2003年1月~5月における貿易収支黒字は、80億4,100万ドルと同期間では過去の統計史上最も大きな黒字額となった。黒字増加の要因は、大幅な輸 出増加によるもので、同期間における輸出額は前年同期比29.3%増の271億2,800万ドルであった。一方、輸入額は同0.1%増の190億 8,700万ドルであった。

    1.大幅に増加した輸出

    輸出額が大幅に増加した背景には、2002年後半から今年3月にかけてのレアル安の影響と、旺盛な外需により輸出量が伸びたことに加えて、大豆、原油、コーヒーなどブラジルの主要輸出産品の国際価格が、低迷していた昨年に比べ上昇したことが挙げられる。

    <品目別分析>
    輸 出増加に大きく寄与した品目は、大豆、鉄鉱石・鉄鋼半製品、原油である。大豆は国際価格の上昇だけでなく数量の伸びも大きい。03年1月~5月における大 豆輸出は、金額ベースで前年同期比149.9%増の16億4,300万ドル、数量ベースで同105.7%増の791万2,800トンとなっている。輸出先 としては中国が最大で、中国向けの増加だけで大豆輸出増加分の半分以上を占める。

    ま た、鉄鉱石は前年同期比26.8%増の14億1,100万ドル、鉄鋼半製品については同40.9%増の6億 6,200万ドルであった。いずれも増加を牽引したのは中国向けの輸出で、中国向けの鉄鉱石は前年同期比46.4%増の2億9,900万ドル、鉄鋼半製品 は同692.4%増の1億1,300万ドルとなった。工業化の進展する中国の旺盛な需要が、ブラジルの輸出増加に大きく貢献していることがわかる。

    原 油については前年同期比89.4%増の8億6,600万ドルであった。主な輸出先としては米国が前年同期比 326.0%増の2億3,100万ドル、インドが同247.4%増の1億7,100万ドル、チリが同174.0%増の9,500万ドルとなっている。メル コスールとインドは、FTAの締結に向けた枠組み協定を今年6月に締結しており、今後エネルギー分野を中心に関係がより深まると見られる。

    なお、国際価格の上昇について貿易統計から輸出単価を試算すると、大豆は前年が170.9ドル/トンであったのに対し、今年は207.6ドル/トンに上昇 している。同様に原油とコーヒーについては、原油が前年同期比48.5%増の172.9ドル/トン、コーヒーが同 17.0%増の898.5ドル/トンとなっている。これらの主要産品は近年国際価格が低迷してきたこともあり、最近の価格上昇で漸く持ち直しつつある。こ のように、ブラジルの主要品目における国際価格が回復しつつあることが輸出額増加の一因として挙げられる。

    <輸出相手国別分析>
    輸 出相手国別では、最大の輸出先である米国向けは燃料を中心に輸出額が増加し、前年同期比18.8%増の68億1,500万ドルとなった。また、中国向けは 前年同期比229.8%増の17億7,400万ドルと今やブラジルにとって第2位の輸出先となっている。そして、隣国のアルゼンチン向け輸出額も、同国国 内経済の回復傾向により、前年同期比83.2%増の14億7,100万ドルと大幅に増加した。また、ブラジル政府の輸出振興策の成果もあって、新たな輸出 先が開拓されているのも2003年前半の特徴として挙げられる。

    まず、米国向けでは、燃料油(ディーゼル油等)の輸出額が前年同期比299.7%増の4億200万ドル、原油が同326.0%増の2億3,100万ドルとなった。最大の輸出品目である航空機の輸出額は前年同期比14.5%増と、2年前の米国テロ事件以来の回復を見せた。

    中 国は今や米国に次ぐ輸出相手国となっている。中国向け輸出品目でもっとも大きいのは大豆である。大豆の中国向け輸出額は前年同期に4,200万ドルであっ たものが、今年は6億ドルにまで増加している。さらに、輸出増加に大きく貢献したのは鉄鋼関連製品である。鋼板は前年同期に450万ドルの輸出実績であっ たが、03年1月~5月には1億5,300万ドルまで増加し、鉄鋼半製品は前年同期比692.4%増の1億 1,300万ドルとなっている。この旺盛な鋼材需要は、世界中から外国企業が中国に進出し製造拠点としての活動をしていることに加えて、中国国内における 大規模なインフラ整備に支えられていると見られる。

    アルゼンチン向け輸出額は、前年同期比83.2%増の14億7,100万ドルと輸出相手国別では4位となっている。輸出増加が顕著な品目は、乗用車、鉄鉱 石で乗用車は同212.5%増の8,900万ドル、鉄鉱石は同66.9%増の7,000万ドルとなっている。乗用車の輸出については、地元紙の報道による と、フォルクスワーゲン、GMが輸出を活発化させている。なお、鉄鉱石の輸出増加については、アルゼンチンが米国の鉄鋼製品輸入制限の対象国に入っていな いことで、アルゼンチンから米国向け鉄鋼製品輸出が増加していることが要因と見られている。

    なお、新たな輸出先として注目を集めているのは、ロシア(前年同期比39.1%増、輸出相手国14位)、イラン(同167.4%増、17位)、インド(同 92.5%増、19位)などで、ロシアについては鶏肉、イランは大豆油、インドは原油などそれぞれ一次産品の輸出が中心となっている。

    イラク戦争の影響については、輸出先における在庫積み増しなどにより、ブラジルの輸出にプラスとなったとの見方が一般的である。中東地域はブラジルにとっ て鶏肉の主要輸出先であるが、03年第1四半期における中東向け鶏肉輸出は、金額で前年同期比36.9%増の1億 2,526万ドル、数量で同47.6%増の16万6,242トンとなっている。02年の鶏肉輸出額に占める中東地域のシェアは26.9%であったが、03 年第1四半期では33.7%に増加した。なお、イラク戦争との因果関係は定かではないが、イラン向け大豆油の輸出が大幅に増加しており、03年1~5月に は前年同期比309.9%増の2億1,581万ドルとなっている。

    なお、SARSについては、ブラジルの貿易には殆ど影響は見られないものの、中国における展示会・商談に伴う訪中が延期されるなど、人の往来延期や商談キャンセルなどの影響が指摘されている。

    2.国内経済の停滞でほぼ前年並みに留まった輸入

    2003 年1月~5月における輸入は、前年同期比0.1%増の190億8,700万ドルとなった。輸入が前年並みに留まった要因は、今年3月までのレアル安に加え て、政府の緊縮財政、高金利等による国内経済の停滞が挙げられる。ブラジルの基準金利に当たるSELIC金利は、昨年後半よりインフレ抑制を念頭に高水準 に維持されている。最近のインフレ低下傾向を受けて中央銀行は6月の通貨審議会(COPOM)で、金利を 0.5ポイント引き下げ26.0%に設定したが、産業界では引き下げ幅が不十分であるとしている。ブラジル地理統計院(IBGE)のデータでは、03年1 月~5月の工業生産指数は前年同期比で0.6%増と低成長を記録している。なお、同生産指数を財別に見ると、中間財が2.2%増となる一方で、資本財が 1.3%減、耐久消費財が4.9%減、非耐久消費財が3.8%減となっている。

    <品目別分析>
    輸入を財別に見ると、工業生産指数に連動して資本財と消費財の輸入が減少した一方、輸入全体の約半分を占める一次産品および中間財の輸入が増加した。

    資 本財の輸入額は前年同期比16.6%減の41億3,100万ドル、消費財は同8.9%減の21億9,900万ドルと減少し、一次産品および中間財の輸入は 前年同期比7.1%増の100億3,100万ドルと増加した。資本財の中でも減少が顕著であったのは主要品目である工業機械(前年同期比19.4%減)、 事務用機器(同14.4%減)で、企業が設備投資を控えている様子が伺える。また、消費財については食料品(前年同期比21.8%減)、家具など室内設備 (同20.7%減)、乗用車(同11.8%減)などが減少しており、景気低迷により消費者による購買意欲も低下している。ちなみに、失業率は今年に入って 5ヵ月連続で悪化しており、5月時点の失業率は12.8%となっている。一方、輸入額全体の52.6%を占める一次産品および中間財については、鉱物品が 前年同期比10.2%増となっているほか、食料(加工原料等)が同25.9%増、農業向けその他一次産品が同 30.5%増となっている。

    <輸入相手国別分析>
    国 別に見ると、米国、アルゼンチン、欧州各国からの輸入額が減少しているのに対し、中国からの輸入額が増加している。米国はブラジルにとって第1の輸入相手 国であるが、前年同期比13.5%減の37億2,100万ドルとなった。輸入減少が大きかった品目は、モーター・発電・変圧器・同部品(前年同期比 14.6%減)、航空機用モーター・タービン(同33.9%減)、集積回路(同 35.4%減)となっている。

    主 要国の中でも顕著に輸入が増加した中国からの輸入額は前年同期比39.0%増の7億3,600万ドルとなった。最も大きな輸入品目はコークスで、前年同期 比261.6%増の6,800万ドルであった。次に送信・受信機器部品で、同79.6%増の6,600万ドル、石炭が同55.3%増の4,800万ドルと 続く。そのほかにも繊維製品(布)(同192.8%増)、液晶ディスプレイ(同107.1%増)、集積回路(同 278.9%増)の輸入増加が顕著であった。これは中国に拠点を持つ多国籍企業が輸入の主体となっている。

    3.ほぼ前年並みとなった対日貿易

    2003年1月~5月における対日輸出額は、前年同期比6.7%増の8億1,700万ドル、輸入額は同5.9%減の9億4,600万ドルとなり、対日貿易 額は前年同期比0.4%減の17億6,300万ドルとなった。なお、同期間における国別順位は、輸出で前年(6 位)より順位を下げ8位、輸入で前年と同じ4位であった。

    輸出をみると、主要品目である鉄鉱石が前年同期比14.7%増の1億7,800万ドルとなった他、アルミニウムも同57.1%増の1億5,400万ドルと 増加した。一方、鶏肉については同33.4%減の6,400万ドルとなっているが、これは輸出単価の減少に伴うもので、輸出量は13.6%増となってい る。なお鶏肉については、今年5月に日本が中国の鳥インフルエンザによる家禽肉輸入禁止措置をとったことで、年後半にかけてブラジルからの輸出額が増加す ることが期待されている。なお、同期間に大幅な輸出増加となった品目は、炭化水素のハロゲン誘導体(主にジクロロエタン、ポリ塩化ビニル原料)があげら れ、前年同期比196.3%増の1,400万ドルとなった。この輸出増加は数量よりも価格上昇によるものである。

    輸入は主要品目では増加しているが、その他の品目での減少率が大きかった。主要品目では自動車部品が前年同期比 58.5%増の8,100万ドル、ベアリング、歯車および同部品が同23.8%増の5,000万ドル、集積回路が同9.9%増の4,900万ドルとなって いる。一方で完成車については同33.8%減の2,600万ドルとなった。

    4.FTAに関する交渉状況

    ブラジルは米州自由貿易協定(FTAA)、メルコスール-EUにおけるFTAについて活発な交渉を展開している。まず、FTAAに関しては05年1月まで の交渉完了を目指しており、共同議長となっているブラジル、米国ともに期限内の交渉完了に向けた調整を現在行っている。

    FTAA 交渉では、ブラジルが米国に対する農産物の市場アクセス(砂糖、オレンジジュース等)、農業補助金、アンチダンピング、セーフガード適用などの問題を取り 上げている一方で、米国もブラジルにとってセンシティブな投資規則、サービス分野の自由化、政府調達、知的財産所有権の問題などを取り上げ、有利な条件を 互いに引き出そうとしている。

    ブラジル側は今年 5月末に、テーマによって、メルコスール-米国による4対1、FTAA枠内、WTOの3つの方法による交渉を米国に提案した。ブラジルは自国にとってセン シティブな問題を、FTAAとは切り離してWTO交渉の場に委ね、FTAAの交渉を進めたい意向であるが、今のところ米国はブラジル側の提案に否定的な態 度を取っている。なお、WTOについては第5回閣僚会合が今年9月10日~14日にメキシコのカンクンで、FTAAについては閣僚会合が今年11月17 日~21日に米国マイアミで開催される予定である。11月のマイアミ会合がFTAA交渉の期限内終結を図る上で両国の利害を調整するデッドラインと見られ ており、両国とも同会合までに、互いのセンシティブな分野について譲歩し合うべく交渉をするのではと見られている。

    一方、メルコスール-EUのFTA交渉は、06年1月を目処とした協定発効に向けた話合いが進められている。現在、メルコスール、EU双方が提示した関税 撤廃スケジュールおよび品目リストを検証し、改善要望事項を互いに出しあっている段階。新聞報道によれば、EU はメルコスールが提示した案に対して、メルコスール側の関税撤廃スケジュールが非常に遅い点、政府調達自由化リストが提示されなかった点、サービス、投資 に関する提案が最小限に留められている点を指摘し改善を要求している。

    な お、EU側は、メルコスール側の政府調達自由化リストの提出を促すために、EU側の政府調達自由化案を提示し交渉進捗を促そうとしている。一方のメルコ スール側は、欧州側が提示している関税撤廃品目のリストは、現行の税率が既に低い品目が中心である点を指摘し、砂糖、牛肉、タバコ、小麦などをリストに追 加するよう求めている他、繊維製品分野でもさらに自由化を進めるよう要求しているという。なお、EUとの間では自動車分野に関する自由化交渉も始めようと しており、今年6月にアスンシオンで開催された第10回2地域交渉委員会(CNB)で、ブラジル自動車工業会(Anfavea)と欧州の自動車メーカーが 貿易自由化に向けた会合を持っている。

    5.今後の貿易見通し

    2003年後半の貿易見通しは、為替と国内金利の動向が大きな鍵となるだろう。為替については03年2月に1ドル =3.67レアルを記録して以降、米国のイラク攻撃開始を契機として6月末には2.9レアルを割り込むまでにレアル高が進んでいる。政府は3.0レアル前 後の為替水準であれば輸出に大きな影響はないとみているが、レアル高の影響は年後半にかけて出てくると見られる。それというのも年前半においてはレアル高 になっても3月時点までの輸出契約には影響が見られなかったことと、それ以降でも輸出企業は顧客を失わないようにするため価格を据え置いてきたところが多 い。そのため、今後さらにレアル高が続けば輸出価格の値上げに踏み切るものと見られ、輸出にブレーキをかける要因となりうる。政府も年後半にかけて輸出が 減速することを認めており、6月、7月の1日あたり輸出額からも減速傾向が明らかとなっている。

    一 方、輸入に関しては、国内の高金利が年後半にかけてどの程度引き下げられるかが鍵と見られる。ブラジル国内の製造業は、03年前半は輸出により支えられて きた。第1四半期における実質GDP成長率は前年同期比2.0%増となったが、需要要素別に見ると、GDP成長を牽引したのは財、サービスの輸出で、前年 同期比20.2%増の成長を記録している。その点今後の輸出については、レアル高の状況が続いていることに加えて、現状以上の輸出増加余地は少ないと見ら れる。その場合、国内における消費回復が輸入を大きく左右することになる。03年前半を見る限り資本財、消費財の輸入が減少しており国内における景気低迷 を反映しているが、今後大幅な金利引下げが行われれば国内景気も上向くことが予想され、さらにレアル高の状況が続けば資本財、消費財の輸入も回復するもの と見られる。なお、パロッシ財務相は7月8日に今後の金利に関して年末までに20%~21%の水準まで下がるとの見通しを示している。

    03年1月に発足したルーラ政権は、当初抱かれていた経済政策面での不安を払拭し、前政権からの経済政策を踏襲することでマクロ経済指標を改善している。 03年1月~5月における公的セクターのプライマリー収支黒字(いわゆる政府の財政収支、金利支払い分を除く)は 369億8,000万レアル(132億714万ドル、1ドル=2.8レアル換算)と大幅な黒字を記録し、政府は昨年末IMFに約束した03年上半期の目標 黒字額345億レアルを既に達成した。この財政状況を好感してカントリーリスクも前年に比べて大幅に低下している。ただし、財政支出は年後半にかけて増加 する傾向にあり、むしろ年後半における財政状況を注視する必要がある。

    なお、予算企画省傘下の研究機関であるIPEAでは、2003年の貿易額について、輸出が662億ドル、輸入が490億ドルと予想(6月時点)しており、貿易収支は172億ドルの黒字と前年よりさらに貿易黒字が拡大するとしている。

    以上

    表1   ブラジルの主要商品別輸出入 (単位:100万ドル、%)

      2002年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6)
      金額 金額 構成比 伸び率
    輸出総額(その他含む) 25,052 33,002 100.0 31.7
    一次産品 6,251 9,620 29.2 53.9
    大豆 874 2,171 6.6 148.1
    鉄鉱石 1,173 1,628 4.9 38.8
    大豆かす 687 1,072 3.3 56.2
    原油 511 989 3.0 93.6
    鶏肉 566 742 2.3 31.0
    半製品 3,426 4,967 15.1 45.0
    パルプ 412 840 2.5 103.6
    鉄鋼半製品 494 779 2.4 57.9
    436 507 1.5 16.3
    完成品 14,513 17,720 53.7 21.1
    乗用車 816 1,129 3.4 38.4
    航空機 1,019 925 2.8 △9.3
    自動車エンジン・部品 574 834 2.5 45.4
    742 771 2.3 3.9
    通信用機器・部品 844 766 2.3 △9.2
    自動車部品 553 678 2.1 22.5
    輸入総額 22,465 22,606 100.0 0.6

    資本財

    5,750 4,853 21.5 △15.6
    工業用設備機械 2,057 1,640 7.3 △20.3
    事務用機器 1,141 984 4.4 △13.8
    原材料・中間財 11,174 11,948 52.9 6.9
    化学薬品 3,583 3,617 16.0 1.0
    中間製品(部品) 1,791 1,952 8.6 9.0
    輸送機器部品 1,746 1,749 7.7 0.2
    鉱産品 1,523 1,683 7.5 10.6
    食料(原料等) 808 1,041 4.6 28.9
    消費財 2,852 2,614 11.6 △8.3
    非耐久消費財 1,663 1,461 6.5 △12.2
    医薬品 579 584 2.6 0.9
    食料品 575 451 2.0 △21.6
    耐久消費財 1,189 1,154 5.1 △3.0
    乗用車 428 357 1.6 △16.6
    燃料及び潤滑油 2,688 3,191 14.1 18.7

    出所:開発商工省貿易局

    表2  ブラジルの主要国・地域別輸出入(単位:100万ドル、%)

      2002年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6)
      金額 金額 構成比 伸び率
    輸出総額 25,052 33,002 100.0 31.7
    米国 6,864 8,100 24.5 18.0
    中国 662 2,161 6.6 226.2
    オランダ 1,254 1,866 5.7 48.8
    アルゼンチン 969 1,843 5.6 90.2
    ドイツ 1,006 1,495 4.5 48.6
    メキシコ 1,000 1,210 3.7 21.0
    イタリア 785 1,054 3.2 34.3
    日本 945 1,039 3.2 10.0
    ベルギー・ルクセンブルグ 836 878 2.7 5.1
    チリ 660 857 2.6 30.0
    英国 757 829 2.5 9.6
    フランス 612 784 2.4 28.0
    輸入総額 22,465 22,606 100.0 0.6
    米国 4,992 4,390 19.4 △12.1
    アルゼンチン 2,451 2,344 10.4 △4.4
    ドイツ 2,109 2,095 9.3 △0.7
    日本 1,158 1,112 4.9 △3.9
    中国 639 902 4.0 41.1
    イタリア 873 875 3.9 0.2
    フランス 902 856 3.8 △5.1
    ナイジエリア 641 669 3.0 4.3
    英国 605 605 2.7 0.1
    韓国 544 553 2.5 1.7
    アルジエリア 337 509 2.3 51.0
    スペイン 492 472 2.1 △4.2

    出所:開発商工省貿易局

    表3  ブラジルの対日主要品目別貿易(単位:100万ドル、%)

    輸出 2002年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6)
      金額 金額 構成比 伸び率
    鉄鉱石 170 212 20.4 24.7
    アルミニウム 127 200 19.2 57.8
    鶏肉 108 81 7.8 △24.4
    パルプ 38 57 5.5 49.4
    鉄合金 54 56 5.4 4.0
    コーヒー豆 38 52 5.0 36.0
    大豆 32 47 4.5 47.2
    オレンジジュース(冷凍) 40 36 3.5 △ 9.1
    タバコ・同くず 32 22 2.1 △31.5
    薪材 19 21 2.0 7.6
    その他 287 255 24.5 11.2
    合計 945 1,039 100.0 10.0
    輸入 2002年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6) 2003年(1-6)
      金額 金額 構成比 伸び率
    自動車部品 61 94 8.5 53.0
    集積回路 53 60 5.4 11.4
    ベアリング及び歯車・同部品 47 59 5.3 25.3
    自動車用エンジン及び同部品 44 52 4.7 17.5
    ポンプ、コンプレッサー、換気装置、同部品 37 36 3.2 △4.7
    測定及び点検機器・装置 27 35 3.1 29.3
    送信・受信用機器・部品 29 32 2.9 9.0
    2輪用部品 23 32 2.9 36.3
    乗用車 47 31 2.8 △34.7
    自動データ-処理機部品 30 24 2.2 △19.8
    その他 757 658 59.2 △13.1
    合計 1,158 1,112 100.0 △3.9

    出所:開発商工貿易局

  • 化学部会 


    新井部会長

     

    司会 次は化学品部会ですが、化学品部会は品目が多いので非常にばらつきがあるのではないかと思います。新井さんお願いします。

    イラク戦争、SARSが大きく影響した化学品貿易

    新井 いま金融、コンサルタント、貿易の3部会ともマクロな話が中心でしたが、私ども化学部会は内需型、国内消費型の産業ということで、委員長の方から今ご説明ありましたように、いろいろ問題が業界毎にでています。
    概況はイラク戦争、SARS問題が、全体的にはあまり大きい影響ではないと言うのですが、基礎化学、石化製品、有機化学品の輸出量に個別的に見ますと、化 学品業界では輸出入に大きく影響を与えた。インフレ抑制策に伴う高金利政策による消費の落ち込みで、消費関連の製品、樹脂加工、製靴、自動車産業の稼働率 低下となり、化学業界に影響を与えた。イラク戦争はベネズエラのゼネストと重なって、2月末に12年ぶりの約40ドル/バレルの原油価格の高騰を招き、米 国の石化市況が先高感という事で、ブラジル向けは、どちらかというと低価格地帯な訳ですが、価格が折り合わず輸入が停滞。これに当国の消費の後退、不況が 重なり、プラスチック、ゴムなどの需要減、輸入基礎原料の需要も減退と。

    アジア向け輸出は、割と相場で動くところもあって、SARS問題 から主要輸出市場である中国での需要の冷え込み、買い控え、先安感もあって輸入側の模様眺めとなり、輸送期間の長いブラジル品は臨機に価格に対応が出来な いと言うことで、大幅な落ち込みとなった。この意味では全体的には中国が伸びているようですが化学部会的に見ますと、中国向けは落ち込んだ。一方で、輸出 を引っ張った大豆は、こんな中にあって国際相場、レアル安に支えられて輸出好調が続き、農業関連の農薬、肥料の出荷は順調に推移した。

    1-樹脂加工業界は自動車、文房具向け好調

    2-写真フイルム低調

    3-接着剤、シール剤値上げたたる

    4-水処理は今後の集中購買制を懸念

    5-化粧品、スペイン、ポルトガルへ輸出

    6-飼料添加剤・農薬はドルベースで売上げ増

    7-家庭用殺虫剤は低調

    個別業界的に見ますと、●樹脂加工業界では輸出を積極的に展開した自動車向けメーカーは好調だった。それから事務・文房具関係は好調、一方で通信・家電・ 製薬業界は低調。また、過去順調に拡大してきた包装材・建築資材・日用雑貨などは、一般的な消費の減退をうけて低調だった。

    ●写真フィルム は1月こそ前年並みの小売販売量だったが、予想通りに全般的な消費の低迷を受けて、連続10%下回る状況が5月まで続いた。需要減による価格競合の激化、 レアル高に伴う値下げプレッシャー、新規参入メーカーの低価格による市場拡大策に最大手が過剰反応するなど重なって、上半期は前年比大幅なマイナスとなっ た。

    ●筆記用具業界ですね、高金利政策に伴う停滞を受けて国内小売部門は、前年比マイナス。プラスチック・薬品等の資材関連は原料価格の高止まりで、値上げが追い付かず採算を圧迫。輸入原料についてはレアル高でコスト低減には効果が若干あった。

    ● 一方、接着剤、シール剤業界は、国内調達・輸入原材料価格のレアル安などを要因とした高騰、コスト増を市場に転嫁できず、付加価値率減少の傾向が昨年後半 から続いている。で、また需要家である自動車業界の販売低迷でこれも落ち込み、大衆市場でも値上げしたことなどが影響して大幅な売り上げのマイナスが続い た。で、値上げしたにも関わらず、売り上げ的には前年並みを確保するのがやっと。

    ●それから水処理業界。これは、産業の設備投資に伴う業界 で、新規設備投資が抑制されていることもあり、新規客先の出現がほとんどなく、既存客先への販売攻勢で競争が激化。さらに日本、欧米で見られるような集中 購買制を大手グループが取り始めて、まあ、オール・オア・ナッシングに近い買い付け方法になってしまった。これが全体的な価格の圧力になっていますと。特 にいいましたのはこれが将来、他のグループに、いま言いましたのはブラスケムですけれども、ブラスケムのような所に続くグループが出てこないか危惧される ため。

    ●次ぎは化粧品業界。為替が安定している事は輸入業者にプラスであったが、ショッピングセンターなどを中心とした店頭販売は苦戦。と くにメモリアルデーの母の日、恋人の日の業界全体の売上げが振るわなかったのが、例年にない特徴だった。経済停滞を反映し、高級ブランド品から中級価格帯 商品へのシフトが進んだのと、進んだ一方で、輸出がブラジルからスペイン、ポルトガルが多いようですが、輸出は引き続き好調だった。おもしろいことに失業 者の増加で訪問販売従事者が増加、訪問販売での売り上げは伸びている。 それから一方で、いま問題になっています空港、港での税関スト等の影響で通関に支 障を生じて、製品輸入している高額品、ブランド品で販売機会損失が起こっていると言うことです。

    ●飼料添加剤・農薬その他ですが、農薬は昨 年、為替、経済変動が激しかった訳ですが、業界を挙げて流通在庫の調整を行ったこと、昨年後半のレアル安場面で大幅な値上げを実施し、そのレベルを未だ維 持している事もあってドルベースでみれば大幅なアップ。さらに冬、二期作目の冬作のとうもろこしも含め、大豆などの大型作物が輸出好調に支えられて順調で あったなどを反映して、上期は前年同期比のドルベースで業界売り上げは21%強のプラスになっています。ただし、消費不況もあって価格低迷の続く国内型の ジャガイモとか、トマトとかブドウなどを相手にしている果樹・園芸分野は在庫調整が進んでなく低迷が続いています。

    飼料添加剤は、コモディティー商品で、供給量により価格の上下があるものの、為替安に準じた高値で上期はそれなりの業績を上げられた。

    それから家庭用殺虫剤ですね。これは輸入原料の高騰を消費の低迷で価格に転嫁できず、なおかつ天候不順による不快害虫、蚊とかゴキブリの発生が少なくて売 り上げは低調だった。これにデングなんか突発的な発生も少なかったということで、これらの分野はちょっと低調だったと言うことです。

    農薬・肥料・飼料添加剤が下期好調期待

    下期の展望としては、好調なところから行きますと、やっぱり国際相場の堅調並びに輸出型の大豆を中心とした農業関連の農薬・肥料・飼料添加物は為替が安定 している状況では採算面も含め、前年を上回る予想です。ただ、化学業界全般としては、輸入原料を主体に国内販売型である事もあって、関係業界の業績回復、 金利低下、インフレ高進の抑制などによる消費刺激・拡大で為替安定による原料価格の低下がないと、下期も苦戦が続き前年比厳しいと予想する会社が大半でし た。ということで多分、時間内ですね(笑い)。

  • 化学部会(レポート)

    2003年上期回顧と下期展望

    部会長 新井 章夫
    2003年7月28日

    (1) 03年上期回顧

    概況:一般概況としては、イラク戦争・SARS問題が基礎石化製品・有機化学品の輸出入に大きく影響を与えた。また、インフレ抑制策に伴う高金利政策による消費の落ち込みで、消費関連の製品、樹脂加工・製靴・自動車産業の稼働率低下となり、化学業界に影響した。
    イ ラク戦争はベネズエラのゼネストと相まって原油価格高騰を招来し、2月末にはUS$39.99/Bblをつけ、米国石化市況が先高感となり、ブラジル向け は価格が折り合わず輸入が停滞、これに当国の消費の後退・不況が重なりプラスチック・ゴムなどの需要減、輸入基礎原料の需要も減退。
    アジア向け輸出は、SARS問題から主要輸出市場である中国での需要が冷え込み、買い控え、先安感もあり輸入側の模様眺めとなり、輸送期間の長いブラジル品は、対応に機動性がなく大幅な落ち込みとなった。
    こんな中にあって、大豆など国際相場、レアル安に支えられた輸出の好調が続く農業関連の農薬・肥料出荷は順調に推移した。

    1) 樹脂加工業界:輸出を積極的に展開した自動車向け、事務・文房具関係は好調だったが、通信・家電・製薬業界は低調。 また過去、順調に拡大してきた包装材・建築資材・日用雑貨などは、一般的な消費の減退を受け低調だった。

    2) フィルム業界:1月こそ前年並みの小売販売量だったが、期首に予想した通り、その後は、全般的な消費の減退を受け5月まで連続前年比を10%下回る状況が 続いた。 これに需要減による価格競合激化、レアル高に伴う値下げプレッシャー、新規参入メーカーの低価格による市場拡大策に最大手が過剰反応するなどが 重なり、6月は若干回復したものの、上半期は前年比大幅マイナスとなった。

    3) 筆記用具業界:高金利政策に伴う国内経済の停滞を受け、国内小売部門は前年比マイナスとなった。 またプラスチック・薬品等の資材関連は原料価格の高止まりとなっており、値上げが追いつかず採算を圧迫。但し上期のレアル高は、輸入原料コスト低減には効果があった。

    4) 接着剤・シール剤業界:国内調達・輸入原材料価格のレアル安などを要因とした高騰、コスト増を市場に価格転嫁出来ず付加価値率減少傾向が昨年後半から続い ている。 また主要需要家である自動車業界の販売停滞で生産台数が落ち込み、大衆市場でも、値上げしたことなども影響し、前年比月平均40%マイナスが続 いたため、値上げしたにも拘わらず、売上は前年比並み確保に留まった。

    5) 水処理業界:新規設備投資が抑制されていることもあり、新規客先の出現は殆どなく、既存客先への販売攻勢で競争が激化。 更に日本・欧米にみられるよう な、水処理薬品とプロセス薬品の集中購買をBraskenグループが傘下の4地域12工場を対象に入札方式で実施することを計画しており、商内確保のため 大幅な値下げ対応が余儀なくされている。 この傾向は他の国内グループにも波及することが危惧される。

    6) 化粧品業界:為替が安定していることは輸入業者にとりプラスであったが、ショッピングセンターなどを中心とした店頭販売は苦戦。 とくにメモリアルデーの 母の日、恋人の日の売上が業界全体で振るわなかったのが、例年にない特徴だった。 経済停滞を反映し高級ブランド品から中低価格帯商品へのシフトが進み、 また輸出も引き続き好調だった。 失業者の増加で、訪問販売従事者が増加し、訪問販売での売上は伸びている。 なお、空港・港での税関ストなどの影響で通 関に支障が生じ、製品輸入している高額品・ブランド品で販売機会損失が起こっている。

    7) 飼料添加剤・農薬その他:

    ①農薬:昨年業界を挙げて流通在庫調整を行ったこと、昨年後半のレアル安場面で大幅な値上げを実施しそのレベルを維持できたこ と、冬作コーンも含め大豆などの大型作物が輸出好調に支えられ順調であったことなどを反映し、上期は前年同期比ドルベースの業界売上は21%のプラスと なった。 但し消費不況などもあり、価格の低迷する果樹園芸分野は在庫調整が進んでいない。

    ②飼料添加剤:4社競合のコモディティー商品で、供給量により価格の上下はあるものの、上期は為替安に準じ高値で推移した

    ③家庭用殺虫剤:輸入原料の高騰を、消費の低迷で価格に転嫁できず、天候不順による不快害虫の発生が少なく、売上は低調だった。


    2) 03年下期の展望 :

    国際相場の堅調さ並びに輸出型の大豆を中心とした農業関連である農薬・肥料・飼
    料 添加物などは、為替が安定している状況では、採算面も含め前年を上回る予想。化学業界全般としては、輸入原料を主体に国内販売型であることもあり、関係業 界の業績回復、金利低下、インフレ昂進の抑制などによる、消費刺激・拡大ならびに為替安定による原料価格の低下がないと、下期も苦戦が続き、前年比厳しい 年になると予想する会社が大半となっている。

    以上

  • 機械金属部会 浅賀副部会長


    浅賀副部会長

     

    司会 次に機械金属部会。機械金属部会は、為替の影響も非常に大きかったのではないかと推測しておりますが、浅賀さんよろしくお願いします。

    ドルレートはR$3.2~3.5がのぞましい

    浅賀   今日は杉村部会長の代わりで、浅賀がやらせて頂きます。全体を3つに分けまして。一つ目は私ども7月の17日に、部会を開き意見交換をしました。その時 の模様、2つ目としては、皆さんからまとめて頂いたレポートを、ざっと大ぐくりで、どんなパターンに分かれてるかと言う風なパターン別の紹介。三つ目はた またま杉村さんの代役で出させて頂いたので、今回、鉄のことを少しお話しさせて頂きたいと思います。

    1番目ですが、我々の部会でも今ご 紹介ありましたような為替の問題、金利の問題、それから失業問題、これもう3点セットで、それぞれ話題が出ました。とくに為替につきましては特殊なもの、 高級なものを輸入している、そういう業態の方ですね。それから中国品とモロにわたりあっていると言う、そういう非常に低価格のものと勝負しているところ。 それから、設備をブラジルに移して、ブラジルを輸出基地にしようと言う、輸出依存型の戦略をとっておられるところは、今回の為替の変動に非常に皆さん厳し いやりくりをしていると。その中で、じゃあどのくらいのレートだったらいいのかと言うことで、みなさんの話しを聞きましたら、「ドル当たりR$2.85で も十分競争力がある」という会社も1社ございましたが、大体はやっぱりR$3.2から3.5ぐらいのところで落ち着いてくれないかなと、こう言うのが、我 々の部会のみなさんの感触でした。

    金利につきましては、いまご紹介あったように、耐久消費財の需要が低迷している事で、とくに車、家電 に関連業種、そういう部品を作っておられる企業さん、それから工具、測定機器、特にそういう組み立て産業に対していろいろ機械から部品とかサービス機器を 供給しているご商売はやはり需要の低迷で影響を受けている。

    失業問題については、直接ではないのですが、金利と同様に購買力の足を引っ 張っている事と、もう一つの失業対策がいまいち、具体的に出て来ないと言うことで、分かりやすい例で言えば、公共投資に伴う建設機械、こう言うものがやっ ぱりいま一つ弱いと言うことで余り明るい話しはなかったけれども、総じて言えば、「心配して始まったルーラ政権の腕前をもうちょっと見ようか。ここまでは 大きい破綻もなくよくやってくれてるんじゃないかな」と言う印象だと思います。

    業績では好調のパルプ、ポンプ業界

    2番 目、我々の業種を1、2、3と大体4分類して、「上期の実績と下期の展望」ですね。1番多いタイプは、上期に比較的強気の計画を立てて、まずまず計画通り 滑り出したが、下期は若干暗いと。やっぱり落ち込むと。これが1とします。2番目はちょっと、足元も苦しいけど下期もずっと苦しいと、こういう業界。3番 目は、実は上期下期ともに好調であると、あんまり多くないがこう言う業界もありました。4番目はあまりその下期、上期という、その短期で見るのではなくて 中期的に見れば、ほぼほぼ堅調に行くんじゃないか。まあ、このような4つに分類して、「まずまずだったけども下期はやっぱりちょっと厳しいな」と。これが 一番多かったけれども業種でいいますと、ベアリング、切削工具、測定機器、それから工業用のネジであるとかですね。私どもがウジミナスでやってる自動車用 鋼板の事業とか。これが「大体ほぼ順調にスタートしたけど下期はやっぱり厳しいな」という感じです。
    それから「足元もこの先も年内は厳しい な」、というのは重電関係、建設機械、電動工具。この辺がちょっと厳しいと。それで今あの、プラント屋さんの方で、「上期下期とも好調」と言ってるのはや はり、今までご紹介あった製紙パルプ、非常に設備投資意欲が強い。それからあと農業分野にくっついている、例えば我々のところで言うとポンプ、潅漑用のポ ンプ。こういう農業分野にリンクしている分野、製紙パルプ、この辺のところが、「実は上期も下期も意外といいんですよ」と言ってますから相当いいんだと思 います。

    設備投資意欲強い石油、製鉄プラント

    プラントで、少し息が長いもので言うと、上期下期というふうなバイオリズムで なくて、もうちょっと2、3年というスパンで見ていくとこでは3つほどありまして、将来的には電力不足問題は必ずあるだろうと言うことから、いずれ電力不 足を解消するための投資が出てくると言う、その分野に関係した電力関係のプラント。
    それから石油から石油化学。とくに100%自給率を目指して頑張ろうと言っている石油関連で、これも設備投資の意欲は強いということで、まあまあ堅調に推移してるんではないかと。
    それから比較的我々に近い鉱山、製鉄関連のプラント。これも世界的に言うと、中国が非常にブラックホール状態で、どんどん、鉱石も鋼材も輸入すると。ちょ うど規模的に言うと、私どもの君津製鉄所2、3個分の需要が毎年増えるという勢いで来ている。これが本当に2008年、2010年まで行くのかなという不 安はありながら、そういう勢いに引っ張られるかたちでブラジルも、リオ・ドーセ、それから製鉄会社にしても、設備投資が非常に活発であると。

    借金多いが輸出競争力強い鉄鋼各社

    それでは鉄の方の話しをさせて頂きます。ブラジルの鉄鋼業は非常に特徴がございまして、一言で言えば、世界の一流の下ぐらいの鉄鋼先進国といえると思いま す。規模は年間3000万トン、これはなかなかイメージ湧かないけれども、3000万トンと言うのは、ちょうど新日鉄1社と、ブラジル全体が同じぐらいな んですが、3000万トンの鋼材を作って国内は1700万、これ国民一人当たり大体100kgです。この100kgをブラジルはなかなか突破できないけれ ども。で、輸出が1300万から1400万トン。これ40数%の輸出比率で非常に競争力があって、なおかつ貿易志向型、輸出志向型の体質をもっている。
    それからもう一つの特徴は、借金が多いことですね。大手5社の借金の総額が約9000億円です。9000億円のうち80%が主にドル、外貨による借金で す。ですからレアルが安くなった時には、得意の輸出でガンガン稼ぐわけですが、背中にしょっている借金の負担がものすごく重たくなる。今度は逆になった場 合は、輸出がなかなかきつい。その代わり借金はその分軽くなると。そういう構造のなかで、為替が振れると非常にこうふれ幅が激しくて、なおかつ、この間み たいに頼みの輸出が、中国あたりが好調ですと最高なんですけれど、「それ輸出に行くぞ」といった時に、輸出の相手側が調子が悪かったりすると、゛これ往復 ビンタみたいになるわけで、借金も重たくなって輸出もできない、とそういう状態になる。

    ツバロンにおけるアセロールの戦略見習え

    ただし、先ほど、田中会頭からもお話がありましたように、ブラジルはとにかくツバロンにしても、ウジミナスにしても、ここまでなんとか世界の一流の下くら いまでは来ています。私もこの間ざっと見たところ、ウジミナスだけで今まで1500億円ぐらいの投資融資をして来ているんですね。やっと1500億円注ぎ 込んで、そこまで育てておいて、「ここから先」、というところで今もう一つ元気がないわけですね。だから本当はその、まさにツバロンにアセロールが入って 来たかのごとく、かなりいいところまで出来上がったところでパクッと食べちゃうっていうのが戦略的には非常にいいんですね。

    ちょうどセ ラードでやったと同じような事を、鉄鋼でいまやっている。一生懸命あるところまで、一人前まで行って、これからしっかり稼いで貰うという時に、もうこれ以 上ついて行けないって言う状況に今なりかかっています。ですから、私がここで言ってもなかなか社長は耳を傾けてくれません。先週も中国で投資するとかを 言ってましたけれども、どうしても大勢はそっちに行ってますので、なんとかこっちに目を向かせる方法を考えたいと言う風に思っております。以上です。

  • 機械金属部会(レポート)

    2003年上期の回顧と下期の展望

    全体

    2003年1月、ブラジルで初めてのPT主導によるルーラ政権がスタートした。
    機械金属部会の多くが本年度予算を作成するにあたり新政権による政治経済の混乱を不安要素として考慮した模様である。
    しかしながら新政権はポピュリズムに走ることなく予想以上に手堅い政治運営をした事で予想された混乱は起こらず、結果として昨年後半の行き過ぎたレアル安は是正された。
    レアル安の是正が余りに急激であった為に部会所属企業の中には少なからず戸惑いが感じられる。
    部会には中国品などとの厳しい価格競争にさらされている所や、レアル安を利用して先進国の生産設備を移管してブラジルを輸出基地化する所などあり、為替が成否を握る重要なファクターになっている。
    一部に為替がドル=2,85レアルでも競争力を維持できる企業はあるが望むべき為替レートは3,20レアル~3,50レアルが大方の意見であった。
    自社製品の競争力とは関係なく鉄鋼、紙パルプや畜農産物など為替の恩恵を受けて輸出拡大している産業にビジネスを展開している部会所属企業とっても為替は大きなファクターになっている。

    もう一つのファクターは金利である。特に耐久消費財の販売が高金利の為に低迷しており、新政権や中銀に対しては高金利維持政策への不満が多く見られた。自動車や家電産業を主要な顧客としている部品、工具、測定器メーカーでは不満が特に大きい。

    失業問題も一つのファクターとしての指摘があった。失業の増加は金利同様に購買力を落としている点で問題であるが、失業対策としての公共投資などが不十分で建設機械などの需要が低迷している事も問題である。

    同様に政権交代時によく起きる問題として今回も政府関係の投資や融資が停滞しているとの指摘もあった。

    しかしながら部会全体としては初めての左翼政権であるルーラ政府が大きな混乱もなく最初の半年を運営した事を評価している声が多いようである。

    鉄鋼

    鉄鋼業界全体の本年度計画は鋼材生産8,3%、販売で6%の伸びを前提にスタートした。とりわけ輸出(+9,3%)への期待が大きかった。
    し かしながら上期の実績では生産はほぼ計画通りであったものの販売は国内0,6%減、輸出も6,7%増にとどまった。主な要因としては国内建材向け需要低迷 と自動車向けの不振が大きい。特に第2四半期からの落ち込みが顕著であった。輸出に関しては世界経済の低迷による半製品の大幅な落ち込みの影響が大であっ た。
    従って業界全体では上期は在庫積み増しとなった。
    下期については国内販売が完全に調整局面入りすると考えられている。特に建築向けの長物の落ち込みが加速しそうである。全体的には年初計画を1~2%下方修正すると思われる。主力の鋼板は自動車生産の低迷もあり対上期6%程度の減は避けられない見込みとなっている。

    単位:千トン 2001年実績 2002年実績 2003年計画 2003年1-5
    粗鋼生産 26,717 29,604 31,023 12,736
    鋼材生産 25,790 27,873 29,330 11,924
    半製品 7,717 8,841 7,898 3,432
    製品 18,073 19,032 21,432 8,492
             

    国内販売

    15,692 15,832 16,400 6,281
    輸出 9,291 11,686 12,770 4,635
    半製品 6,365 7,779   2,902
    製品 2,926 3,907   1,733

     

    プラント

    プラント関係は電力業界向けのように1年前からは様変わりして落ち込んだ需要もあるが全体的には依然として好調を維持している。
    主要業界別には以下のとおり。

    製紙パルプ業界

    レアル安による輸出競争力up、パルプ市況の回復などで依然として各メーカーの増産意欲旺盛。BAHIA州の紙パルプ新工場計画や各メーカーの容量up、ボイラー新設などの案件が下期にも継続。

    電力業界

    2001 年の電力危機でスタートしたPPT発電プロジェクトは一部2002年で実施に移されたものがあるがその後は全くの凍結状態になり本年上期での進展はほぼゼ ロであった。巨大なドルベースでの設備投資金額をレアルベースでの電力料金では回収することが出来ない事と電力問題の危機感が薄れてきた為である。電力企 業の経営状態も深刻化している。
    しかしながら長期的にみれば電力不足問題は確実の再発すると考えられブラジル政府は何らかの対策を事前に打つ必要がある。そういう意味で少しづつではあるが必要な投資は再開されると期待している。

    石油化学業界

    新油田やガス田の発見があり自給率100%目指しての投資案件は堅調に推移している。ペトロブラスは十分な資金を持っていることから海上プラットフォームや石油精製設備などの案件は当分続くと考えられる。

    鉱山、製鉄業界

    昨年で大型案件は一巡したと考えられたが、中国が引っ張る形で世界的な鉄鋼需要は拡大しており、CVRDや鉄鋼各社は更なる設備増強計画を推進中。輸送、港湾設備なども堅調に動くと考えられる

    重電機器

    上 期は主な客先である電力業界の設備投資抑制が続いており大型のモーターや発電機の需要は低迷している。世界的な生産再編の動きがあり、その余波で日系メー カーのモーター工場の閉鎖が決まった。電力プラント案件は止まったままであるが送電所、変電所関係の案件には若干の動きが出始めた。従って変圧器などの需 要は堅調。
    政権交代時には政府資金ベースの新規案件は停滞する傾向にあるが今回も同様で本年上期は動かなかった。民間の電力会社は資金難に喘いでおり当面期待できない。
    一方石油関係はペトロブラスが極めて活発に拡大投資を行っておりガスタービンやコンプレッサーなどの案件が出ている。
    この業界は需要の低迷や為替の変動で競争が激化しておりビジネス環境は極めて厳しい。下期も大きな期待は出来ない見通し。

    尚、この業界からは日伯FTAの早期推進を望む意見が出された。

    建設機械

    主 要4建機(ブルドーザー、パワーショベル、ホイールローダー、モーターグレーダー)の2003年需要予測は対前年比で21%減でスタートした。政権の交替 年度は道路工事stopによる入札の中止などがあり選挙前に比べ大きく落ち込む事やルーラ新政権がどのような運営をするかの不安要素を織り込んだ上での予 測であった。
    上期の実績見通しは対前年では落ち込んだものの計画に対しては若干上回る事が出来た。新政権発足後の経済混乱が予想以下であった事がいい結果になったと見ている。しかしながら大胆な失業対策などの方針が見えない事から下期も需要の伸びは期待できない。
    輸出はイラク戦争や欧米経済の不透明感から上期は大幅減、下期は回復と見ていたが北米市場が予想以上の回復を見せており通年で販売台数は5%増となる見通しとなってきた。
    第2四半期からレアル高に振れている為、輸出の採算が悪化しており下期の採算は更に厳しい見込み。

    電動工具

    もともとホビー用の電動工具は8月の父の日と12月のクリスマスが販売のピークとなり上期は低調であるが、今上期はそれに加えて金利が高止まりしたことで販売は不調であった。量販店では長期の分割払いで売り込みを計るものの大きな成果は出ていない模様。
    一方プロフェッショナル用も民間の建設投資が落ち込んでいることや政権交代で公共投資も凍結状態にあるため上期の販売は低調であった。

    下 期は金利がどのように下がるか、公共投資がどのように復活するかなどがkeyとなる。ホビー用は父の日には間に合わないがクリスマスには消費の回復がある のではと期待している。プロフェッショナル用電動工具は大手の需要家である自動車産業が5月以降明らかに落ち込んでいる事も下期の見通しを悲観的にしてい る。
    また現地生産品は輸入品との価格競争になっており、第2四半期からのドル安傾向は現地生産品にとってはより厳しい市場条件となっている。

    汎用エンジン

    上 期は農業関係向けファイナンスが完全に停止してしまい汎用デイ―ゼルの需要は大きく落ち込んだ。又レアル安にも係わらず中国製の輸入は拡大し市場環境は悪 化した。上期後半のドル安への変化は更に中国製との価格差がつくことになり下期は大変厳しいと見ている。下期については顧客向けファイナンスの早期再開を 切望している。
    南米向け輸出はODA案件が激減し民間ベースの案件のみで需要は落ちている。

    市場規模は小さいがヨット用デイーゼル、パワーボート用デイーゼルも市場は横ばいか若干の落ち込みであった。これらの市場は景気の回復次第で拡大するものと期待している。

    ポンプ

    上 期のポンプ業界は昨年から続いている農業需要に支えられて繁忙であった。上期のポンプ需要は昨年同期比で10~15%増となった。ブラジル経済そのものは 下降気味で農業向け以外の需要は落ち込んでいる。上期の輸出向け受注は好調を維持し、下期の販売に寄与するが為替2,90レアル以下が続くようだと損益的 に苦しくなる。ブラジルでの生産能力を拡大し輸出を伸ばす方針を取っており、その為にも国産化率の向上を計っていく必要がある。
    下期は新政権による景気上昇は期待出来ないと見ているが、井戸ポンプは農業分野の成長継続や恒常的干ばつが背景にあり高い需要レベルを維持すると考えている。

    切削工具

    景 気全体は落ち込んだ感じがするが主要客先である自動車産業が上期は対前年同期で若干のプラスになったことや農業関係が堅調に推移したことで工具類の上期販 売は前年並みか若干下回る程度となった。金利の動向に左右されそうであるが自動車販売の回復が期待できないことから下期は上期より悪化しそうである。
    鉱山開発に依存する特殊鉱山工具は前年並み、鉄鋼線材や棒鋼の圧延用超硬ロールは前年比8%のマイナスとなった。
    日系メーカーでは為替による輸出競争力が増大した事で北米からの生産移管を実施し輸出による事業の拡大を進めているところもある。

    精密測定機器

    2003年の計画は政治などの不安定要素を加味して低めに設定したが上期は予想以上に良い結果となった。自動車をはじめ各産業での現調化の流れが続いている事とマナウス地区への新たな日系進出企業の進出による販売増が寄与している。
    今 年のFEIMAFI展示会でも昨年より具体的な引合いが増えており需要は拡大していると感じられる。しかしながら欧米系の競合メーカーの進出も盛んで競争 は激化してきている。アルゼンチン向け輸出は倍増したが、輸出全体ではレアル高に振れた事でレアルベースでの計画は未達成であった。
    下期は国内自動車関連の生産調整が避けられない状況にあり上期よりも厳しいとみている。
    輸出は欧州向け、北米向けとも回復が見られ、南米市場も昨年よりは確実に回復しているので下期の輸出には期待している。

    工業用ネジ

    今 年1月の計画では労働党政権が順調にすべり出したことからネジ需要の大手業界である自動車、家電が増産体制に入るものと考えていた。実際自動車、二輪は5 月頃までは対前年で上回っていたものの6月で急落した。家電は更にひどく、主要アイテムであるカラーTV、オーデイオ、電子レンジ、冷蔵庫などの1~4月 販売は対前年で15~25%落ち込んでいる。その結果、家電向けのネジの受注は月によっては前年比50%まで落ち込んでいる。失業の増大による先行不安感 や実質収入減などが原因として挙げられる。結果的に上期のネジ販売量は昨年同期比で約12%減であった。
    下期は自動車関係も減速傾向にあることや家電関係も大きくは改善されない事から上期より更に悪化すると見ている。クリスマス需要までに例えば金利が大幅に下がるなどの需要回復があることを期待している。

    軸受

    軸 受需要の4割を占める補修市場での在庫調整が昨年末で終了している事から本年上期の補修市場向け販売は回復すると見ていたがほぼ予想どおりであった。本年 上期の軸受の輸入統計も昨年同期比で10%以上の伸びとなっている。補修需要の重要な産業である鉄鋼、紙パルプ、農業、鉱山などが現在最も活発な生産を 行っている事も補修需要を押し上げている。但し補修用軸受は輸入品が主であるため、第1四半期と第2四半期で為替が大きく変動した事で市場は若干混乱し た。
    OEM市場も概ね好調なすべり出しであったが第2四半期から状況は明らかに悪化した。最も重要な自動車向けが自動車の国内販売の落ち込みが明 確になり取り入れ減につながった。絶好調であった二輪も伸び率の下方修正を行った。洗濯機や掃除機などの軸受を使用する家電も販売は低迷、モーターはメー カー間で格差があるが輸出で好調なメーカーも急激なレアル高で取り入れの調整があった。
    下期は補修市場を支えた上記の輸出好調産業もレアル高で勢いが弱まる可能性があり需要の拡大は期待できない。
    OEM関係は上期より更に悪化する傾向にある。
    し かしながら各企業は輸出促進や現調化を積極的に進めている為、ブラジル生産品に対しては新規の引合いが急増している。すぐに実需となってくるものばかりで はないがOEMの需要は潜在的に拡大傾向にあることは確かである。高金利の是正や失業率の改善などあれば第4四半期でも市場の回復はありえると期待してい る。

    以上

  • 繊維部会 福島部会長


    福島部会長

     

    司会  前半の最後に、繊維部会にお願いしたいと思いますが、繊維部会のほうは、原綿の先物輸出が非常に好調だっていう話しもあるようですが福島さん、よろしくお願いします(笑い)。

     

    気まぐれ天候に悩まされる繊維業界

    福島   先ほど赤阪総領事がおっしゃいましたように、気まぐれな天候にまさに影響を受ける繊維業界です(笑い)。上期、まあ下期も、そう予測ですが一言で申し上 げますと、繊維と言いましても幅が広いわけですが、おしなべて「原料高の製品安」。末端商品、小売りが非常に停滞、低迷して25%程度落ち込んでいると言 うこともあり、大変、苦悩の1年になるであろうと思っております。
    それと信用不安が大きく出ており、サイトも非常に長いのですが、信用不安、信 用問題が大きな課題になっております。この中で1社、1業種のみ、非常に好調であったと。これはファスナー関係で数量的には落ち込んだが、非常に高付加価 値商品の売れ行きが良くて、上期も2割程度の増収増益です。下期も2割程度の増収になるだろうと。

    原綿値上がり、玉不足のダブルパンチ

    素材別に申し上げたいと思いますが、まずブラジルで1番多く使われております綿糸の業界なんですが、昨年は、この原綿が85万トンの生産だったと言う事で す。これを全部糸にして織物にする、200gの例えばTシャツを作るとすれば、38億万枚ができると。全部Tシャツにするわけではありませんが、その程度 の生産原綿、綿の生産がありました。1番大きいのはマットグロット州で約5割が生産されております。
    値段は昨年の8月くらいから、この原綿価格 が非常に上がってきた。これレアル安とほぼ連動しておりまして、原綿価格が上がって参りました。今年の5月ぐらいまで、昨年の上期と比較して約2倍の原綿 相場になったと言う事です。レアル安で綿花農家あるいは綿商が、かなりの量を輸出に回した事も国内原綿不足の大きな原因です。
    我々、この原綿を買って糸にする業界ですが、糸代が2割上がった。糸代に転嫁したのが約4割程度で、おのずと会社は非常に厳しい状況になっております。

    寒中はセーター姿でゴルフして下さい

    更に、はやばやと冬物等の生産調整の実施をしたあと、7月中旬にかなり寒くなり、期待したんですが気まぐれ天候に災いされて、売れ行きが非常に悪かった。 PL(ゴルフ場)に行きますと、半袖、半ズボンでゴルフされる方がおられ、「見るとぞっとする」。なんとか少なくとも長袖、出来ればセーターぐらい着て頂 ければいいんではないかと思っております(笑い)。この糸関係は紡績糸の、糸関係は今申し上げたような事で、大変厳しい状況になっております。織物も同様 で、昨年後半から高インフレ、所得減少、高金利による月賦販売大幅減少が売れ行きを大きく落ち込ましておりまして、昨年と同様に裏切られる結果になったと 言う状況であります。
    関連します染色繊維、縫製業界も同様、売れ行き悪化に伴う落ち込みで大変悪い状況であります。

    次に羊毛関係。これはブラジルでは非常に少ないんですが、「原料高の製品安」という状況です。これは特に、オーストラリアの干ばつ、あるいは政治的な減産があり、原毛の高騰が続いたという状況であります。

    シルクの関係は、これも大半が日本向けの輸出、日本、あるいはヨーロッパ向けの輸出産業で、これも日本の不況、特に和装離れ、あるいは中国の進出を受けて 大変厳しい状況になっております。ブラジル国内では、9800トン程度の原料繭が出来てると。これは昨年対比9%減とみておりますが、原料は減少しており ます。ただ価格的には他の作物に、特に大豆等への作付け変更とがありまして、15%程度原料繭は上がっています。

    化合繊も同様、まあイラク問題等あり、石油相場の高騰を受けて、4月後半が最高値になっている。そういう状況のなかで、売れ行きは先ほど申し上げたような状況であります。

    信用不安で慎重な商売を - 下期

    2003年下期ですが、これもまず綿の関係は、先ほど申し上げたように店頭売りが非常に低調であること。更には、ブラジルの国内景気、国内経済が不安定要 素が多いと言うこと。このような状況のなかでの消費の好転は見込みにくいこと。あるいは、国内需要の大幅な回復が見込めないなかで、レアル高による輸出競 争力の大幅低下という環境を考えますと、国内での供給過剰は避けられないのではないかと考えております。
    更に、先ほど申し上げましたが、信用不安が大変多くなっており、これに伴う慎重な商売が求められる中で厳しい下期を迎えると考えております。
    羊毛、絹関係、化合繊も同様です。先ほど申し上げましたファスナー以外はすべて、「原料高の製品安」という状況のなかで、この残り5カ月を暮らして行かなければならない状況ですので、ぜひ長袖、セーターでよろしくお願いしたいと思います(笑い)。以上であります。

    司会  ここでコーヒーブレイクと行きたいと思います。後の方にコーヒーの用意が出来ております。5時から再開したいと思いますのでよろしくお願いします。

  • 繊維部会(レポート) 

    2003年上期の回顧と下期の展望

    (繊維及び衣料)

    《2003年上期の回顧》

    1.綿 糸

    1)原綿の動向
    2003年6月発表資料によれば、2002/03年の原綿生産量は、850,900㌧となり、昨年対111%の増産となった。
    綿作はMato Grosso が全体の50%を占め、ブラジル綿花の主産地の地位を不動のものとしているが、本年度は、Bahia州の伸長率が大きく(159%)、Goias州と並んで綿作の中心地を形成している。
    作柄については、成長期の降雨日数多く日照不足による成長不良気味の傾向に加え、摘取時期降雨が続いたためタイプは下落し上級品が非常に少なくなった。
    相場について指標となるEsalq指数の推移は次の通りである。
    2002年 12月 183.03
    2003年 1月 190.00
    2月 172.16
    3月 188.33
    4月 188.63
    5月 159.10
    6月 150.01


    今 年の相場動向は昨年度綿作の減反と生産性低下により大幅減収となったほか海外相場上昇と、レアル安による原綿輸出が増えたことにより原綿不足状態となって 年末には原綿相場が年初の2倍に跳ね上った後、今年に入ってからも原綿不足状態が続き相場は5月初めまで高値のまま推移した。
    原綿相場の国際的指標となるニューヨーク定期は、本年前半はイラク戦争、SARS問題などが大きな要因となり、2月のUS¢47を底に3月の最高値US¢60.02まで振幅の大きい展開となった。


    2)綿糸の動向

    昨 年後半の綿糸需給の堅調な推移を受け、本年上期の国内綿糸市況は、年初より各社値上げを模索するなど比較的順調なスタートであった。ところが2月に入る と、昨年、一昨年と続いた冬物商戦の不調から大手アパレル、ニッターは早々に冬物の生産調整を実施、綿糸の需要は一気に落ち込み始めた。特に本年上期は カード糸需要の落ち込みがひどく、3月後半になると、カード糸の需給バランスの失調は顕著になった。
    価格については年初より5-7%程度下落し、上期を通じて各社ともカード糸の販売に苦戦したといえる。一方コーマー糸についても大手伯紡績の生産調整と高水準な輸出成約にもかかわらず需給は引き締まらず、価格もカード糸につられる形で低水準であった.
    綿糸の太番手市場も同様の市況であり、公共料金の値上げや携帯電話の購入拡大等で、ブラ
    ジル国民の購買力が低下することは織り込み済みであったが、消費はそれ以上に大きな停滞を
    見せ、各社の在庫は積み上がってしまった。
    以上のように2003年上期の国内綿糸市況は不調に終わった昨年以上に、需要は低かったといえる。また、原料コストのアップを受けて採算的にも厳しい中で、相場の下落を受けるという極めて厳しいシーズンであった。
    一方、綿糸の輸出実績は以下のとおりである。
    2002年(1-05月) 8,891t(100) 18,843千ドル(100)
    2003年(1-05月)19,432t(219) 41,485千ドル(220)
    今 上期の綿糸輸出は、国内市況の不振と3月迄のレアル安を受け、各社共昨年後半と同様に輸出ドライブを掛けた事により、昨年同期比(1~5月)倍増となっ た。然しながら、4月以降は急速なるレアル高の為、原綿高と相俟って輸出採算は大幅に低下し、先物の輸出商談には慎重に成らざるを得ず、一時の勢いは失わ れた。

    3)綿織物の動向

    昨年末の小売販売は好調で店頭在庫は薄く年を越したので、年初から在庫補充の商いが活発に成る事を期待したが、昨年後半の高インフレによる所得減少、高金利による月賦販売減少の効果著しく小売の動きが急速に悪くなり、昨年と同様に裏切られる結果となった。
    また冬物の商いも気候にも味方されず引き続き景気が悪化した。唯一この状況を助けたのは為替レートの効果があった3月まで輸出が活発であった事であり、このお陰で何とか操短を免れたといえる。
    売値は昨年の著しいコストアップ分を20~25%の調整を後半で試みたが全部は出来ず一部残りを今年前半に達成した企業もあった。

    4)染色整理及び縫製業界
    染 色整理業界は織布業界と同様の市況と思われる。一方、縫製業界はハイクラスのCONFECCAO(既製服)は前年比横バイと健闘しているが、低価格の縫製 業者は過当競争でますます苦境に追い込まれ、支払延滞は続出、期日通りに払うのは僅少である。CAMISA(シャツ)の最大手のGUARARAPESも年 初より3回値下げしても好転せず生産調整中といわれる。

    5)小売業界
    冬物商戦も期待はずれで5、6月は前年比5%~10%ダウン、7月に入って到来した寒さにも売れ行きは一向に伸びず早々のLIQUIDACAOを実施中

    2.羊 毛
    ウー ルはオーストラリアの政治的減産と旱魃から大幅な供給不足となって高騰、かつレアル安と重なり、ブラジルにおける原毛価格は、一時咋対200%近くに達し た。しかし、3月からのレアル反騰は、業界のムードを一気に冷やし、機屋・ニッタ-は高値原糸在庫の処理に苦しみだし、打って変わったデフレムードと不景 気感の中、物流は低調となり上期は期待はずれの状態に終わった。 この間ウールの世界相場は、中国のSARS問題が終焉を迎えたことから、再び強含み気配 となり、ウールに愛着の薄いブラジルでは、価格をめぐって原糸メーカーと製織業界のにらみ合いが続いており商談は停滞している。

    3. 絹
    02/03農年期の製糸各社の原料繭取り入れは、6月でほヾ終了する。本農年期は、春先に主産地パラナ州で旱魃や霜害、夏には一部作柄不良などで、前年対比9%減の9,800t前後で終了の見込みである。
    繭価格は、レアル安要因で本農年期開始時から現在まで15%の上昇となっているが、生産者の養蚕意欲は他作物価格の値上がりのため、ここに来てやゝ低下気味である。
    このような状況の中で、製糸各社は、引き続く世界的な消費減退並びにデフレ傾向の中、ブラジル生糸・撚糸の輸出価格下落に歯止めが掛からない上、レアル高も相俟って、販売数量の80%以上を輸出に依存している製糸各社は、相変わらず苦しい製糸経営を余儀なくされている。
    平均輸出単価は、2003年1-3月実績で前年対比81%、4-6月見込みでも82%と、2001年以来続いている輸出価格の下落傾向に歯止めが掛かる気配は見られない。

    4.化合繊
    本 年1月までの半年間の世界相場は、あまり変化せずに推移してきた。しかし、イラク問題に端を発し、石油相場が世界的に高騰し、特に4月後半が上期としては 最も高値になった。参考までに、アジア相場の推移は下記の通り(1.4/1.5 dn staple Fiber C&F)
    2002年第3四半期   ¢77~85/kg
    2002年第4四半期   ¢78~85/kg
    2003年第1四半期   ¢82~112/kg
    2003年6月      ¢83~93/kg
    販売状況は、1月、2月はポリ原綿の値上げを見越しての需要家の買い先行が影響したのか販売量としては、好調となった。ルーラ新大統領就任間際ということもあり、明るさがあった。
    しかし、当国の常識から言うと、その反動は必ずあると言えるわけで、4月頃からは、今までの勢いは影をひそめ買い控え傾向に陥り、それが今も続いている。

    5.ファスナー
    2002年後半の原材料アップの影響とイラク戦争による欧米向衣料・靴の輸出の低迷、顧客の生産活動がスローに推移したことにより、低調に推移した。
    分野ごとに見ていくと、主力であるジーンズ分野は、年初、依然としてジーンズファッションが続くとの楽観的な見方であったが、一部予想以上の国内消費の低迷による顧客の在庫消化が遅れていることで前半は数量ベースでは低調に終わった。
    しかしながら、高級品として付加価値のあるニッケル色使いやアンティークゴールド色が大幅に伸び、金額面では数量をカバーする形となる。
    ジャケット分野は、冬の訪れと共に販売増となり、メタルファスナーが好調に推移。
    婦人子供服分野では、昨年来の通貨大幅切り下げにもかかわらず、安価輸入品の勢いは衰えず、依然厳しい状態が続く。

    《2003年下期の展望》
    1.綿 糸
    2003年の原綿需給についてConabは6月度次の様に予測発表した。
    (千トン)
    期首在庫 95.2 (政府在庫綿48.9千トンを含む)
    国内生産 850.8
    輸入 130.0
    供給合計 1,076.0
    消費 720.0
    輸出 185.0
    期末在庫 171.0
    綿糸の市況については、例年、下半期は綿紡業界にとってシーズンインを迎え、市況の回復を期待するものである。低調な上半期であった昨年も8月に入る と、春夏物の需要期待と綿糸先高観から、綿糸需要は一転して好転に向かった。昨年下期は原綿価格のアップもあり綿糸価格の水準は40%以上も上昇した。し かしながら、本年における国内綿糸市況については昨年とは違い、厳しくなる可能性が強い。すなわち、


    1)店頭での冬物衣料商戦は本年についても低調である。
    2)、ブラジル国内経済は不安定要因を多く抱え、消費の大幅な好転は見込みにくい。
    3)国内需要の大幅な回復が見込めない中、レアル高により輸出競争力は大幅に低下している。輸出の停滞と、一方で輸入品の流入懸念もあり、国内への供給量は過剰になるものと思われる。


    このように、不透明感の強い国内経済の中で、2003年下期の繊維業界は、各流通段階における信用不安が高まり、また同時に需給バランスの失調を招く可能性が強い。したがって、綿糸市況についても楽観的な予想はきわめて難しく、近年にない厳しいシーズンになると思われる。
    綿 織物及び衣料品も冬物の商い不調で店頭では既にセールが始まっているが、一般消費者の懐は寂しく販売が活発とは言えない。従って縫製メーカーは春夏物の原 料手当てを先延ばしにしており、立ち上がりが遅くなる気配が濃くなっている。いずれにしても業界の期待は金利の下降による景気回復に掛かっておりその動向 に神経を尖らせている。

    2.羊毛
    下期は在庫調整が一段落することから状態は好転するものと思われる。しかしながら市場規模の小さ梳毛紡績業界は為替動向が大きなポイントである。
    横編みセーターは、ブラジル人固有のファッション感覚にマッチした商品であることから、景気に浮揚感が出れば回復は早いと思われる。

    3.絹
    2003年下期に向けては、世界の絹業界をリードし価格決定権を持つ中国の動向が注目されるが、スタートした春蚕期の蚕作状況も豊作模様で、繭価格は昨年 比大幅安で取引されており、今年中の絹糸価格相場の回復は困難と予測され、ブラジル製糸は繭代の見直しを含めてコスト削減対策が急がれている。

    4.化合繊
    化合繊業界(短)も同じで、下期は政府主導による景気回復施策いかんにかかっている。
    こ こに来て、寒さが本格化したことは、プラス材料と言えるが、やはり不況脱出が基本である。為替については、輸出好調を背景にレアル高が進み、ドル建ての原 綿価格にとってはコスト引き下げ材料ながら、需要家からの販売価格調整要求も強く、更にアジア低価格商品の輸入も回復しており、いちがいにプラス要因とは 言えない。いずれにせよ、当業界は、下期も引き続き厳しい情勢が続くと思われる。

    5.ファスナー
    ブラジル政府のインフレ抑制による金利の高止まり政策は予想以上に消費の冷え込みをもたらしていると思われ、下半期政府が国内景気回復へどこまで力を注ぐか注目される。
    下 半期は、ジーンズ分野の如何によるが、そのジーンズは、昨年以上のジーンズファッションが到来するというのも考えづらく、一部輸出による販売増が期待でき る感もあるが、国内は政府の景気回復策が功を奏し消費動向の上向きがあったとしても、顧客の在庫過大を考えるとあまり販売増は見込めない厳しい市況と予想 する

    以上

  • 食品部会 渡辺部会長


    渡辺部会長

     

    司会 食品部会はインフレの収束によりデフレ懸念も出てきているかと思いますが、渡辺さんお願いします。

    ついに不況の波に襲われた食品業界

    渡辺  私もうこの部会長懇談会、これで多分2年半になりますので5回目ぐらい、多分一番古くなったのではないかと思います。
    2001年、2002年と「景気はよくない、よくない」と言われてきて、各部会長さんが「悪い悪い」というご報告をされているのを横目に、食品部会だけは 非常に堅調な売り上げを保っていたんですが、ついにといいますか、消費者の可処分所得の低下が顕著になりまして、ついに食品部会にまで不況の波が襲って来 た、というのが、今年上期の状況です。
    大豆などの輸出中心の農産物とか飼料用リジンとか、一部好調なものを除きますと、食品工業それからレスト ラン、完全に景気は停滞しており、去年まではコスト高はあったんですが、食品はとにかく売れてたわけです。これはご存じの通り、大きな耐久財に消費者が金 を使わなくなれば、その分デイリーの食品に金が流れて来たわけですが、今年は上期に売り上げ、つまりボリュームで前年比マイナスになっているところが結構 出ている。具体的には、冷凍食品とか乳製品は 15%程度の減少と記録されています。

    また、今お話しに出ました6月の生活必需品セットで すが、価格は2.86%の下落。要するにデフレにもう突入しているわけですが、内訳をみても食料品が3.59%の下落。去年の秋口は食料品が先頭を切って インフレを押し上げていたのが、今度は逆に食料品がデフレに走って来たというような状況になっております。

    98年に似てきた不景気

    私、98年の3月に赴任して来まして、あの年も経済成長率がマイナスになって非常に景気の悪い年だったわけですが、あの年は毎月のその月次の予定を達成す るのを“ひいひい”言いながら、「達成するかな」、25日頃になると「達成するかな」と悩んでおりました。この 2、3年は楽に達成したわけですが、その時を今思い出しながら、毎月の目標を見ているというような状況です。
    で、この「景気が悪い」という話し をもう少しさせて頂きますと、Hipermercadoと呼ばれる大型スーパー、この辺が非常に売り上げが低迷している。これはどういうことかと言います と、ブラジルの消費者は、ああいう所に行って、大きな買い物かごにポンボン品物をほうり込んで車で帰るという消費、購買形態を主流としていたのが、結局、 可処分所得の低下により、当用買いをするようになってきた。要するに、今日、明日必要な物だけを近くのスーパーに買いに行くという傾向が出てきておりま す。従って、中小スーパーはそれほど悪くないが、大型スーパーはいま非常に苦戦をしているという現状があります。また具体的には、我々進出企業共通のライ バルでありますNestle社とかが、空前絶後の大消費者キャンペーンを実施していると言う情報がありますが、にも関わらず、売り上げは前年比で減になっ ているという情報であります。

    お酒の若干増税でも仮需発生

    具体的に当社の状況ですが、お酒、この国はお酒に酒税はありませ んが、その代わり工業税(IPI)がかかります。これは大した金額ではないが、この7月15日に税務署の「ジアーリオ・オフィシアル」(官報)に出まし て、自動車関係は下がるかも知れないとのお話しですが、逆に我々のところは上がりました。出てすぐ「上げろ」という。これはブラジルのやり方ですが、具体 的には今までお酒1本当たり18センターボだったのが、56センターボに上がると。まあ、3倍にあたりますが、出荷価格にすると、4%程度の値上げで大勢 に影響はないだろうと見ておったんですが、今週に入り大きな仮需が発生しております。要するに、これぐらいの値上げでも消費者は、少しでも安い物を求め る、卸しや流通は買いだめに走ると言う状況で、やっぱり相当状況は悪いと判断しております。
    思い出しますのは、日本も相当不景気と言われており、5月1日に発泡酒の増税、たったの10円でしたが、やはり大きな仮需が発生して、その後5月、6月と全く低迷して1~6月で前年を割ったというのを一寸思い出しながら、いやな予感がしている今日このごろです。

    高くても売れる有機食品

    景気が悪い、売り上げが悪いと言うお話しをしましたが、もう一つ。ブラジル特有というか、一旦上がったコストが下がらないという状況があります。これは例 えば去年の9月とか10月、年末にかけて為替が理由で値上げを通告してきた原料資材の業者ですが、その後、為替がこれだけ安定して、レアル高になっている にも関わらず値下げはしません。特に価格が急騰している大豆とか小麦を原料として加工している食品業界は、かなり深刻なものがあります。先ほど新井さんの お話しでレアル高による値下げプレッシャーというのがありましたが、どうやらブラジルでは黙っていると絶対下げない。その代わりプレッシャーをかけると、 要するに「為替はもう安定しているんだから値段を少しでも下げないとおかしい」ということで、かなりプレッシャーをかけると、例えば「10%下げろ」とい うと3%ぐらいは下げて来る会社もあるようですので、どうもブラジルでは黙ってたら絶対にダメだな、というのが実感でございます。
    話しは飛びま すが、食品の流れとして、最近の傾向としては、有機食品が若干売れ始めている。みなさんご存じのようにヨーロッパではもうすごいブームで、有機食品、これ は高くてもガンガン売れているようですが、ブラジルでも最近有機に対する興味が出て来ているという情報が一つあります。まだ、その通常価格に2割程度増し において、売れ始めているとの話しですので、あんまり価格差があると、まだもう一つなのかなと言う気がしております。

    下期は我慢の食品業界

    下期の展望ですが、長期の金利とか食品にはあまり関係ないが、それでもやはり金利が今のペースのダウンですと、今年の下期もあまり期待は出来ないと見てお ります。工業界からあれだけ突き上げをくっているにも関わらず、中銀が金利を早いペースで下げて来ないのは一寸理解に苦しみますが、場合によってはブラジ ル経済への不安感から、また、ドル高へと言うふうに向かいますと、売れない、しかもまたコストが上がると言うことで悪いスパイラルに入ってくる、いやな予 想もしております。と言うことで下期もあまりいい見通しがなくて「我慢の食品業界、久々の我慢の年」という感じがしております。

    最後にルーラ政権の、政策の目玉でもありました、FOME ZERO政策(飢餓をゼロにする)。これは食品部会として何かいい話しがあるかなと若干期待はしておったんですが、全く期待はずれでして今のところ何のメリットもなし。ということで久々に暗い食品部会でした。

  • 食品部会(レポート) 

    2003年上期の回顧と同下期の展望

    ≪業界全体≫
    2003 年上期は、2002年度の下期とはうってかわり、金融市場は概ね堅調に推移した。米ドル為替はR$2.8~3.0前後、株価も13,000ポイントまで回 復、カントリーリスクは800~900ポイントのレンジで推移している。一方、Selic金利はインフレ抑制という大命題のもと、6月に0.5%下がった ものの、依然26%という高い水準にあり、景気の本格回復までには、まだまだ時間がかかりそうである。特に、ここ数ヶ月は消費者の可処分所得低下の影響が はっきりと現れてきており、比較的不況に強いと言われる食品業界も大きな影響を受けている。
    2003年下期も金融市場は引続き安定的に推移するも のと思われる。特に、インフレは強い沈静化のシグナル(一部インフレ指数ではデフレ状態)を発しており、基本的にはSelic金利は低下の方向に向うもの と思われる。但し、金利低下のスピードが鈍れば2003年下期中に、景況感の回復及び可処分所得の上昇が反映されるのは難しいと思わる。食品業界にとって も、厳しい下期となるであろう。

     

    ≪業界別動向≫

    【加工食品業界】

    1) 飲料

    2003年上期の醗 酵乳分野は、売上の鈍化を最小限に食いとめるべく、各社ともセールスキャンペーンなどを実施しているが、安売り攻勢の影響は大きく引続き厳しい状態が続い ている。また、栄養補助食飲料も同様厳しい状態となった。一方、ヨーグルト・デザート分野、及び豆乳分野は堅調に推移し、厳しい状況の中での明るい材料と なった。
    飲食材の販売においては、対米ドル為替が戻ってきたにも関わらず、原材料価格は高止まりを見せ、結果、国内中小食品加工メーカーも値上に 踏み切らざるを得ない状態となった。金額ベースで見れば、順調に推移していても、数量ベースでは各社とも予定達成が苦しい状況にあるようだ。
    2003 年下期は、中央銀行の金利引締め政策の緩和が、段階的にかつ早急に行われることを前提に、後半の景気回復に期待するところが大。金利を下げて可処分所得を 増やし、金の流れをよくしないと何も改善されない。一方、原材料価格の高止まりは暫くは続くものと思われ、このコスト高をいかに吸収するかが大きな課題と なる。コスト削減につとめることは当然のことながら、商品特性のアピールや消費の裾野拡大の為、きめの細かい顧客対応をおこなうことが重要となろう。

    2) 即席麺

    2003 年上期の総市場は、堅調な拡大を期待していたものの、各社の値上による店頭価格がUPしたこともあり、前年を僅かに上回った程度であった。心配された対米 ドル為替が4月以降ドル安基調に変わり、小麦粉の大半を輸入に頼っている各メーカーにとって、追い風が吹くものと思われたが一度上がったコストはすんなり と戻らないというブラジルの実態に悩まされている。
    2003年下期も、主要量販店の売上低迷や現在の経済環境を見る限り、従来のような堅調な拡大は期待できそうになく、苦しい局面となろう。この下期は、我慢と堅実な企業経営、また為替が読めない中でのコストダウンの取組を加速させる必要があろう。

    3)調味料

    国 内調味料市場は、2003年上期 41,500t、対前年比102%の微増となった。これは昨年10月頃からのインフレが食品分野にも影響を及ぼしてきていることを象徴している。一方、非 調味料分野では粉末ジュースが急成長を続けている。国内加工用途調味料市場は、対前年比106%と堅調に推移した。また、輸出市場はアルゼンチン、ベネズ エラの景気低迷の影響を受け、苦戦が続いているがアルゼンチンはようやく景気回復の兆しが見え始めている。飼料用アミノ酸(リジン)市場は、世界的な供給 タイト状況にあることから、高値で推移し順調な伸長を維持している。
    2003年下期においては、比較的厳しい事業環境が続くことが予想されるが、国内家庭用市場は堅調な成長を継続する見込みである。また、飼料用リジンに関しても、堅調な需要に支えられ、拡大基調を持続する見込みである。

     

    【農産・畜産】

    1)大豆・大豆粕

    2003 年の大豆生産数量は、前年生産量を20%強上回ると予想されており、5,000万トンを上回ることが確実視されている。一方、港湾サイロ・積込施設の CAPACITYが足りず、パラナグア港をはじめ、港での滞船問題が深刻となっている。また、伯国生産第一位のマットグロッソ州(約1,000万トン)で は収穫時に多量の雨が降り品質問題となっている。
    ブラジル国内、特に南部地域のGMO(遺伝子組替)大豆の混入問題は、本年に限り一時的に国内で の販売が認められることになった。しかし来年以降、GMO 大豆を扱う農家に対して、ペナルティーを課すという限定的な方針が政府より発表されており、9月以降の農家の植付けに注目が集まる。セラード地域では、更 なる開墾が進められており2003-2004年クロップは、今年を更に上回る生産予想となっている。

    2) ブロイラー

    2003 年当初のブラジル産ブロイラー予想生産量は7.9百万トン(前年7.4百万トン)であった。しかし、世界的な市況低迷により雛の生産を抑える傾向がでて、 上半期は年間予想の半分にも満たない3.7百万トン程度にとどまる見込み。一方、輸出は1~5月で757千トン(前年529千トン)と順調に推移してい る。これは、ロシアが5月輸入分から輸入Quotaを設定すること、EUが8月15日輸入分から輸入税を変更すること(塩分2%以上:15%、塩分2%未 満:75%、現行はいずれも15%)による駆け込み輸出も一因と考えられる。
    中国で鶏インフルエンザが発生したことにより、本年6月初めから中国 産ブロイラーの対日輸出が禁止となっており、2003年下期は、ブラジルからの輸出にドライブがかかることが予想される。東欧への輸出も引続き順調である こと、ブラジル国内需要も堅調の見込み等から、雛の生産量が増加傾向にあり、通年の生産量は年初予想の7.9百万トンに達すると見られている。

    3)コーヒー

    2003 年上期のコーヒー生豆輸出量は、2002~2003年クロップ(2002年7月~2003年6月)の歴史的な豊作や昨年来のレアル安による価格競争力等に より、11.83百万袋と前年同期比10%増の伸びを見せた。金額面ではUS$541百万と前年同期比30%増となった。国際相場は引続き低迷が続いてい るが、国内原料相場は急回復し、レアルベースで前年の2~2.5倍となっている。2003~2004年産クロップは裏作の年度にあたることから、生産量は 前年度比35%減の 3,360万袋に減少すると見られている。従って、輸出量も2003年下期は、前年を下回ることが予想され、通年では昨年度過去最高を記録した25.45 百万袋をやや下回るものと見られている。一方、このような減産予想にもかかわらずニューヨーク定期市場の指標価格(先物)は、世界的な供給過剰感が依然と して拭えないこと、またブラジルの2004~2005年クロップが昨年(2002~2003年)を越える大豊作になる可能性があることから、回復の兆しを 見せておらず、上値の重い展開となっている。

    以上

  • 電気電子部会 瀬山部会長


    瀬山部会長

     

    司会  次に電気電子部会ですが、電気電子業界は2001年のような電力危機の再現か、と言われる内需不振の話しもありますが瀬山さん、よろしくお願いします。

    上期はなべて20%前後の減

    瀬山   いま渡辺さんの話しをお伺いして、前回ここへ座って渡辺さんところがものすごく良くて、で、家計のお金がだいぶ食品にまわって電気にまわって来ない、と ひがんだ記憶があるんですが、同じ穴の方へ入って来られたようで、喜んでいい筈がなくて、「同業相哀れむの状況」かな、と。

    電気電子部会 の報告としては「家電業界の実需の動き」、会員各社の「上期の実績並びに下期の展望」アンケートまとめのご報告、それから3点目は「業界の上期の特記事 項」と三つの観点から報告させて頂きます。家電業界の動きは新聞その他に報道され、ご承知とは思いますが、いま遠藤さんの方からお話ありました通り、 2001年の電力危機と同じレベルの実需のダウンがあります。前年同期比という見方をしますと台数でカラーテレビで80%、音響機器で90%、あとは電子 レンジ84%。それから冷蔵庫、洗濯機、これは日系会員企業はありませんが、やはり78%、84%、軒並み前年同期比では台数で20%前後、業界自体が シュリンクをしているというのがこの上期であります。ちなみに電力問題、2001年6月に起こったと思いますが、その以前の1-6月と比べても、やはり同 じように20%前後落ちており、非常に厳しい市場環境といえると思います。

    販売伸びるDVDと携帯電話

    その中で一つ特筆す べきは、デジタルビデオディスクという映像をディスクで見るDVDという機器。これがビデオからDVDの機器と言うことで、中南米並びにその他の市場と比 べても非常に早くビデオからDVDに展開をしているのが一つ、ブラジルの電子機器市場の特徴です。これは何故かと言いますと、元々ブラジルは我々にとって 寂しいんですが、録画文化が残念ながら非常に少ない市場です。映画ソフトを再生で見るのはDVDで見た方がきれい、またDVDの映画タイトルが豊富。新着 の上期のタイトル数を見ましても、完全にDVDで出るタイトル数が多かったり、レンタルされるものも、6対4でDVD。ビデオが減ってDVDが増え、いま 7対3でDVDの市場になっているのが、一つ家電業界の特徴です。

    もう一つ。家電という切り口ではないが、携帯電話の生産がブラジルで非 常に伸びております。これは台数で前年比3割から5割。国内市場はご覧のような状況で、そんなに伸びている訳ではなくて、輸出向けで非常に携帯端末機器の 生産メーカーさん好調です。主な輸出先は米国です。これが非常に厳しい我々の業界状況と言うことです。

    そのような業界の中で、私どもの商 工会議所会員日系各社の動向ですが、我々の部会の中も四つのグループに分けられるかと思います。家電耐久消費財、二番目が電子部品関係、三番目が通信・電 力・産業機器、四番目が精密事務機器とグループ分けが出来るかと思うんですが、その各社の上期の実績を見て参りますと、やはり市場が非常に悪い、それから 価格ダウン。競争が激しい中で価格ダウンを迫られると言う中で、前年同期比USドルベース販売で見ますと、家電関係でほぼ横ばいからドルで見ると少し上 回っているかなと。電子部品は80%から110%。通信・電力産業は、業界の通信キャリアの投資抑制とか、非常に業界特性があり一概に言えないが、前年同 期比ドルベースで4割から8割と非常に厳しい状況です。また精密事務機器もほぼ100%前後で、これは企業投資がない中で市場は非常に厳しい状況でありま す。

    「よかった」は皆無 - アンケート結果

    それぞれの企業が業績を、自ら上期をどう評価したかですが、「よかった」とか 「大変よかった」は残念ながら今回ゼロです。50%が「悪かった」。50%が「計画通り」ということで、私ちょっと引っかかったもんですから、「計画通 り」とお答え頂いたところにヒアリングしましたら、「計画通り悪かった」(笑い)と言う事でありまして、おしなべて言いますと、やはり七三(ひちさん)ぐ らいで「悪かった」というのが、残念ながら電気電子機器会員企業の状況であります。

    下期ですが、やはり経営努力をして売りの確保、市場が 悪い中で何とか売りを確保したいと言うこと。その中で新しい商品、モデルの導入、それから売り先の拡大、それで各社共通していますのが、やはりこの時期で すので在庫圧縮。要は少ない資金で事業が運営できるようにと言うところで動かしておられる。上期申し遅れましたが、どこも投資は合理化投資のみで、積極的 な投資は残念ながら出来ておらないと。下期の販売も前年同期比でドルで見ますと家電でほぼ横ばいを目指すと。電子部品さんでは6割から一番良くて100% 前年並み。通信・電力・産業機器さんにおいては5割から6割。それから精密事務機器さんにおいてはほぼ横ばいを目指しますと言うことです。

    それから一部会員企業の中で、複数企業ですが、この機会に根本的な事業のあり方の見直し、またブラジル・ビジネス・モデルの転換を迫られて非常に深刻な状 況と言うところも伺えるかと思います。政治経済動向に関する皆さんの見解は共通しています。上期、国家経営としては予想以上の安定国家経営がなされた、景 気が犠牲になったと。我々の業界は犠牲になっておると言う見解です。

    下期は、景気の回復を期待するが金利引き下げだけではやや弱い。景気 刺激策が何か出ないのかと。政治不安、いろんな要素が拡大してきて国内でのもろもろのスト、それから海外でのネガティブ評価などを危惧しておられると言う ことです。これが会員各社の上期の業績状況並びに下期への展望であります。

    • マナウスに注意を払ってくれる新政府
    • 気になる独自のデジタルテレビ放送方式
      採用運動と欧州勢の攻勢
    • エザメ誌の企業評価でトップの日系企業もある

    三つ目に我々業界の上期の特記事項をご報告します。

    ルーラ政権が発足したわけで、我々の業界とフルラン商工開発大臣との接点など通じて感じます事は、もちろん、大臣自体も企業家、実務家で、現場・現物、要 は非常に実務的である。それから企業の活動に対する理解は非常にある。この1~6月を見ますと、非常に精力的に、我々の工場、また我々の実情視察には動い て貰らえたかなと。それと同じような私ども会員企業の生産基地がございますアマゾナス州マナウスにも、ブラガさんという新知事さんが発足し、企画関係では 民間企業の経験者が採用されてます。マナウスは恩典地域ということで、我々進出しておるわけですが、過去の政権におきまして、同じ内容の事業をしておりま しても7つも8つも恩典のレベル差がありました。その辺を会員企業も含めて、業界としてその辺の是正を声を掛けたところ、やはり公正・公平な恩典という競 争条件の正常化と言うことについて非常に積極的に動いており、成果も具体的に出てきておると思います。

    二つ目の新政権の特徴は、部品産 業、中間財産業、我々の電子電気機器につきましても、この辺のところの恩典を増やして、要は業界内での付加価値増についての取り組みを強化したいと言うこ とで、連邦ならびに州政府の方で、恩典の公平化並びに今申し上げたような分野での恩典強化の取り組みが進み、期待されておるところです。
    それから、マナウス、アマゾンと言うことで行きますと、2013年まで実は恩典期限がございますが、具体的に今、2023年まで恩典延長の動きがスタートしております。

    二つ目の関連特記事項として、話題となっている「デジタルテレビの放送方式」の決定が、前政権から今政権に先送りされました。前政権時代2001年の後半 ならびに2002年の前半あたりに、日本の総務省ならびにNHK、また我々民間も一体となり、日本方式についてブラジル政府、ならびに放送局側へ技術的な 特性報告等行われましたが、新政権になってローカルメーカー、これあのグラジエンテという会社なんですが、これが通信省等へ働きかけて、ブラジル独自方式 という動きをかけております。これにつきまして私ども業界のなかでも、実はブラジルはカラーテレビの送信方式もPAL-Mで、世界で唯一の送信方式。これ が業界ならびに国内一般消費者にどれだけメリットがあったのかですが、結論はなかったと言う事がはっきりしているにも関わらず、またデジタル放送方式でブ ラジル独自かと言う事で、一つ大きなクエスチョンマークがついております。これに関連しして、オランダのフィリップスが、アマゾン、マナウス大学等に技術 開発資金援助をして、これはもう明らかにヨーロッパ方式のデジタル放送方式を導入、宣伝するための投資を行っております。

    それから三番目 の関連特記事項は、我々の業界、不正輸入がいろんな形であります。これをなくそう、取り締まりを強化しようと、これも当然な事ですが、今まであまり大きな 動きにはなっておりませんでしたが、新政権になってまともな方向へ動き始めておると言うのが、三つ目の特記事項です。

    それから四番目 は、ご覧になられた方がたくさんいると思いますが、ここの経済誌の「EXAME」が毎年やっておりますMelhores e Maiores という2002年度の業績に対する全分野の企業評価のなかで、電気電子メーカー・グループで日本の東芝さんが出資をされておりますセンピ 東芝さんが第1位。総合評価、経営力総合評価第1位となっておりますのを我々電気電子部会のトピックスとして付け加えさせて頂きます。
    集約いた しますと、この下期の展望には、総領事の最初のお話にありましたような天候で例えますならば、非常に厳しい冬の中にいる電子電気業界。急に良くなることは 反動が怖いと言う事もありますので、穏やかな長い春が来ることを期待しながら、福島さんのお話もあったので、冬支度も忘れずに下期に備えたいなあ、が電気 電子部会と言う事でご報告にかえさせて頂きます。

  • 建設不動産部会 清水部会長


    清水部会長

     

    司会 次は建設不動産部会。日本企業からの受注は期待できない状況は変わらないと思いますが、清水さんお願いします。

    人件費アップ、人員削減に迫られる

    清水  建設不動産部会の清水です。建設不動産部会は建設請負を主体とする建設業者、建設資材メーカー、それからアパート・住宅販売を含む不動産業者の集まりです。「2003年上期の回顧」を建設部門と不動産部門に分けて報告させて頂きます。
    建設部門は、昨年からの案件が具体化し、大型ではないが順調に業績が伸びた会社、4月以降、若干の業績が回復基調になった会社、政権交代によるCAIXA  ECONOMICA FEDERALの住宅ローンの貸し出しストップによる影響で業績が低い水準で推移した会社、それから折り込み済みの不況がそのまま 業績に反映した会社等、各社それぞれの回顧となりました。

    しかし、アルミサッシについては見積案件が昨年比で15%程度増えており、今後 が期待できるとなっております。しかし、各社とも5月の労働シンジケートの賃金調整での率、6月に12%の調整、プラス8月に6%調整と数値が予想を大き く上回って人員削減等、経費削減を余儀なくされております。その影響で、市内で事務所ビルを建設中の地元のゼネコンでは、労務賃金の上昇対策として少人数 での施行に切り替え工期を大幅に延長するところも出ております。

    家賃値上げ率はインフレ以下

    不動産部門の賃貸物件は業績が伸びております。しかし、契約更新時の賃貸料調整用の指数は従来使用してきた指数でなく、選択できる最低の指数の条件でしかまとまらず、インフレ指数を下回っております。
    その他と致しましては、ドル運用していた投資家が、ドル弱含みの市場から不動産投資に切り替えた影響もあり、高級アパートは立地条件が良いところは堅調に推移しております。商業ビルは供給過剰でとくにマルジナルの新興ビル地区は、約3割程度の稼働率となっております。
    マルジナル地区では日系自動二輪車の工場の拡張に伴う部品メーカーの進出、増築が継続して発生しております。

    採算面きびしい下期 ー 建設

    2003年下期の展望ですが、建設部門については、民間設備投資の縮小の影響で、引き続き楽観視できない状況が予想されております。それと建設資材、労務 賃金の高止まりで採算面で厳しいという見方と、インフレの沈静化により、受注時利益の確保に見通しが出てくると言う見方の会社もあります。アルミサッシに ついては大幅な受注増は期待できませんが、不当安値で営業展開を行っていた同業他社の和議申請があったり、政府の品質基準を満たさない製品の市場からの締 め出し気運も高まっており、今後の動向が注目されます。
    下期については、各社業績の回復に明るい材料は見出せておらず、通年でも今年度の計画目標を下回る予想、上回る予想はありません。一方、工事の小型化に伴い、社員数が逆に増加する会社もあります。

    下期に明るい材料なし - 不動産

    不動産部門ですが、下期に期待できる明るい情報はありません。住宅販売については、建築確認申請の許可が遅れた影響もあり、大幅に販売予定が狂う会社が出 ております。その他としましては、大豆輸出の好景気の影響とアメリカ農産物企業の買い付けにより、地方の農地の価格は急騰して2倍になることも珍しくない 状態となっております。農産物の輸出がこのまま好調であれば、この傾向は、継続することが予想されております。
    高金利政策は建設投資に対しては悪影響を及ぼして好影響にはならないと。それと税制変更の度に、特に建設業は複雑な平均の計算がありまして、経理・税務対応に人員配置が必要となり、人件費の抑制が思ったように出来ないという影響が出ております。

    トピックスと致しましては、土地なしではなくて「家なし住民」によるサンパウロ市内の、これはダヌビオ・ホテルですが、それの不法占拠が発生しました。古 いアパートの稼働率の悪いところが狙われるのではないかと。古いホテルについてはアパートに改装して売り出していく、と言うような傾向も見られておりま す。以上が建設不動産部会からの報告です。

  • 建設不動産部会(レポート)

    2003年上期の回顧と同下期の展望

    7月23日に開催された建設不動産部会での討議、発表内容を下記のように纏めましたので報告致します。

    1、 2003年上期の回顧

    * 建設部門

    昨 年からの案件が具体化し、大型ではないが、順調に業績に結びついた会社と、4月以降若干の業績の回復基調になった会社、政権交代による会社エコノミカフェ デラルの住宅ローンの貸し出しストップによる影響で、業績が低い水準で推移した会社、折り込み済みの不況がそのまま業績に反映した会社等、4者4様の回顧 となった。
    アルミサッシュについては、見積もり案件が昨年比で15%程度増えてきている。
    しかし、各社とも5月のシンジケートの賃金調整の率(6月に12%、8月に6%調整)の数値が予想を大きく上回った為、人員削減等経費削減を余儀なくされている。
    市内で事務所ビルを建設中の地元ゼネコンでは、労務賃金の上昇対策として、小人数での施工に切り替えて、工期を大幅に延長する所も出てきている。

    * 不動産部門

    賃貸物件については、業績が伸びている。しかし、契約更新時の賃貸料調整用の指数は、従来採用してきた指数では無く、選択できる最低の指数の条件でしまとまらず、インフレ指数を下回る結果となる場合が多かった。

    *全般

    ドルで運用していた投資家が、ドルの弱含みの市場から不動産投資に切り替えた影響もあり、高級アパートは立地条件がよければ、堅調に推移している。商業ビルについては供給過剰であり、マルジナルの新興ビル地域については約3割程度の稼動率である。
    マナウス地区では、ホンダ、ヤマハの両自動2輪車の工場の拡張に伴う、部品メーカーの進出、増築が継続して発生している。


    2、 2003年下期の展望

    * 建設部門

    民間設備投資縮小の影響で、引き続き楽観歯できない状況が予想される。
    建設資材、労務賃金の高止りで採算面で厳しいという見方と、インフレの沈静化に
    より、受注時利益の確保に見通しが出てくるという見方の会社もある。
    アルミサッシュについても、大幅な受注増は期待できないが、不当安値での営業展開を行っていた同業他社の和議申請があったり、政府の品質基準を満たさない製品の市場からの締め出しの気運も高まってきており、今後の動向が注目される。
    下期については、各社共業績の回復に明るい材料は見出せておらず、通年でも03年度の計画目標を上回る予想はない、一方工事の小型化に伴い社員数が逆に増加する会社もある。

    *不動産部門

    期待出来る明るい情報はない。
    住宅販売については、建築確認申請の認可が遅れた影響もあり、販売予定が大幅に変更になったため、自社ビル兼事務所ビルの工事計画の変更も発生してきた。

    *その他

    大豆輸出の好景気の影響と、アメリカ農産物企業の買い付けにより、地方の農地の単価が急騰し、2倍になることも珍しく無い状態となっており、農産物の輸出がこのまま好調であれば、この傾向は継続することが予想される。
    高金利政策は建設投資に対しては、好影響は出ない。
    税制の変更のたびに、経理、税務対応に人員配置が必要となり、人件費の抑制が思っ
    たようにできない。

    しかし、ブラジルコストと言われるものの、削減政策が早急に実施されていかなけれ
    ば、投資・開発案件の鈍化につながり、建設、不動産業界にとっては影響が大きい。
    家無し住民による、サンパウロ市内(ダヌビオホテル)無法占拠が発生し、新しいホテル、フラットに押され、稼働率の悪い古いホテルは、再発を警戒し、アパートに改装する動きに出ているものもある。(パークレーンホテル等)

    以上

  • 運輸サービス部会 横山部会長


    横山部会長

     

    出稼ぎで日伯路線需要は安定的

    バリグ、TAMの合併は下期具体化予想

    司会  続きまして運輸サービス部会さんですが、特に今年度イラク戦争とかSARSの影響もあったかと思いますけれども、横山さんよろしくお願いします。

    横山   みなさん大体時間通り、おひと方20分って言うのがあったようですが、大体10分で(笑い)。私どもの業界ちょっと多いので、なるべく時間内で終わるよ うにご報告したいと思います。食品の渡辺さん、ついに最後まで手をつけたくない食品にまで、財布の紐がきつくなっているとなりますと、私どものいわゆる、 どちらかと言うと、仕事の部分もありますが、遊びを中心とした部分は土砂降りです。簡単に総括しますと“土砂降り”になったと言うような事かと思います。 現在メンバー65社ですが、7月の22日に部会を開いて報告を頂きました。それを簡単にまとめます。

    人の動き、それから物の動き、物流を担当する運輸部門、それに付随するサービス部門、この順番で報告をしたいと思います。
    まず一番得意分野の航空業界から行きますと、先ほど遠藤さんからもありましたイラク戦争。それに続くSARS、肺炎です、“新型肺炎"。この影響を本当に 直接受けました。やっと同時多発テロの影響から、戻りかけたところに、こういうダブルパンチがあり、非常に不況に陥っております。とくに東南アジア線を運 行される航空会社、日本航空もそうなんですが大幅減便、収入ガタ落ちとなりました。お客様の方に関しては、各空港で今までなかった検疫の体制です。ブラジ ル、サンパウロにおきましても検疫で質問票というのが導入されましたが、ご不便をおかけしたと思います。しかしこの質問票は昨日から中止されました。中止 というか一時中断というかたちになって、とくに到着の場合の列の並びは解消されると思っております。
    それから日伯間における供給はほぼ同じだったが、この路線は出稼ぎの需要に支えられており、新規の出稼ぎ等々はあまりなかったがリピーターご利用のおかげで、比較的他の路線に比べて安定した結果となっております。
    ご承知の通り、国内においては、VARIGとTAMの経営統合が話題になっています。方向は決まっているが、まだ具体的にはなってないようです。今朝の情 報ですとアルカイダの動きが、具体的になって、米国検査体制が昨日から、今朝から厳しくなってます。TWOV(ビザなしでの通過)でご旅行されるお客様に ついては申し訳ないが、出発の空港で開披検査を義務づけられる。日本のパスポートをお持ちのお客様は適応外です。残念ながらブラジルのパスポート、トラン ジットビザ、これで旅行されるお客様は開披検査をすることになっております。

    下期の展望ですが、SARS騒ぎが一段落したので当 初計画に戻しつつあると言う事もあり、何とか元に戻って欲しいと思います。アメリカの航空大手の4月から6月期の決算ですと、2001年のテロ事件以降初 めて3社が黒字になった。もちろん政府補助金に支えられての結果ですが、明るい兆候かと思います。それからVARIGとTAMの統合、これも下期には具体 化されると思います。

    大型船投入で荷不足の海運

    次に海運です。前期までの1年半は為替の影響で輸入が減少し、輸出貨物用 コンテナ不足状態が続いていたが、今期に為替レートが安定したこともあり、コンテナ不足状況は解消しました。ただし、荷動きの量と対船腹量のインバラン ス、これが依然として拡大傾向にある。これは投入される船が大型化されたのが大きな原因と言われています。従って、取り合いということになり、運賃レベル が非常に低レベルになっている、すなわち収入が低くなっていると。とくにブラジルに関係がありますアジア・南米東岸航路は、存続の可能性も問われるほどの 苦しい状況になっています。大型化と申し上げましたが、コンテナ数でちなみに比較しますと、数年前は1500個から2000個が主流だったのが、2500 個から3000個が主流となっている。従って、そのスペースに貨物の量が追い付かない状況になっており、下期もこの状況が続くと予想されております。

    貨物量減、税関ストたたる - フオワーダー

    続きましてフォワーダー業界です。再三言われていますように、輸出が急増し上期もそれが継続した。ただし、高金利政策に端を発したブラジルの景気低迷の影 響もあり、各社が減産方向の調整を始めたために落ち込みが激しく、貨物量は当初の見込みに対しては大幅減となった。それから、イラク戦争が開始され輸送機 材(貨物機)等々が支援活動に振り分けられたのでスペース不足、機材の縮小、キャンセル便等々となり輸出輸入に影響が出ました。SARSにつきまして、具 体的な影響ではありませんが、いろいろ心理的な面等も含め輸送全体のという影響を出しているようです。これも先ほど、ご報告ありましたが6月から税関スト ライキ。例年の事柄、輸出入業務の遅滞となっている。高級化粧品もこの影響でなかなか手に入らないと言うことだと思います。それから2002年の12月に 発令された、ちょっと細かいことですがIN252というのが導入されました。これは Tax Heaven Country、通常課税対象となる物品に対 して課税をしない国のことを言いますが、現在世界で51カ国あるようです。そこに対する運賃送金に対する課税。これがなされるのではないか、もし課税され ますと送金税が25%、トータルで実質の33%がかかると言うことで、この業界に対しては非常に大きな圧迫となっております。

    これは日通 さんがやられている海外引っ越し荷物は、昨年の末から第1四半期は帰国者による活発な移動、第2四半期より赴任者の移動が活発になったりもしたが、前に比 べますと全体的には減少傾向が相変わらず続いている。それからビザ関係で、テンポラリービザのサスペンドに伴って、長期の出張者が激減する傾向になってい る。

    下期については、例年、消費財生産に向けて各メーカーの生産も活発になる時期ですが、今年は自動車関連、家電関連の量の伸びが期待で きないため、現状の消費マーケットの低迷を打開する見込みは少ないようです。金利政策、失業問題、各種税制の改革が重要になってきた。為替がやや安定して きたとは言うものの、景気低迷を打破するまでは行っていない。それから先ほど申し上げましたストの早期解決が切望されます。

    古きよき時代去った ー 構内物流

    製鉄については、浅賀さんの方からご連絡ありましたが、そこの構内物流を山九さんからのレポートですが、新政権下で客先の設備投資抑制の影響が大きく、作 業収入は当初計画を達成したが、作業利益確保の段階では苦戦していると言う事のようです。それから金利収入、預金利率低下による金利収入の落ち込みもあっ て営業外収支もよくない。下期についてもほぼ同様の状況が続くだろう。中長期的に見ますと大型工事である客先の高炉新設・改修工事の延期の影響をもろに受 ける形となって、ブラジルでの収益確保面では、”古き良き時代”は完全に過ぎ去り、長期的にも厳しい状況が続くと予想され、事業構造の改革を中心に抜本的 な対策を講じる必要に迫られていると、浅賀さんの説明とは一寸、違うかも知れませんがそう言う風なご報告です。

    競争激化のバイク便 - クーリエ

    クーリエ業界。海外の方のレポートはありませんが、ご参考までに国内のバイク便をやられているところからの報告です。車社会のブラジルで道路整備が遅れて いる事に伴って、必然的に発生したバイク便(業者、モトボーイの)、今サンパウロ市内で3000社(そのうち100社が大手のようです)に膨れているよう です。モグリの業者が多くて、値崩れ現象を起こしている。雇用者の90%が1年で変わると言う人の入れ替わりが激しく、人材管理が難しいようです。下期に ついてはますますバイク便は増加して行くだろうと言われています。

    海外旅行減り、趣味に走る傾ー旅行エージエント

    観光業関係各業種もなべて不振

    次にサービス部門の旅行・エージェント業界。先ほど申し上げましたように戦争の影響を、肺炎の影響を受けたと。簡単に言いますと、お金を持っている層、観 光を老後の楽しみにしていた方たちが、為替で運賃が高くなった、危ない海外旅行を控え、国内旅行にシフトした。さらには国内旅行も止め、近くでゴルフや ゲートボール。さらにもっと近くで盆栽いじりぐらいになったと。そういう楽しみの変化、習慣が定着するとなかなか元に戻らない。旅行まで行って頂けないと 言う事かと思います。この影響で旅行エージェントさん、それから観光業に携わるタクシー、バス、ホテル、ガイド、土産物店等々は非常に不振となりましたと 言うことです。為替の影響ですが、エージェントさんから言うと、レアルが1月から7月の間に20%ダウン、即、収入のダウンに結びついたとのご報告になっ ております。これは業界によって一寸違うと思いますが、代理店さんの方はそう言う事になります。

    供給過多で競争激化のホテル

    それからホテル・観光ですが、フラッチ(フラット・ホテル)の大幅な増加によって供給過多となったため競争は益々、激化しております。ホテルの等級による 違いはあるものの、全体で見ますと稼働率は43%と言われています。とくに五つ星ホテルについては昨年52%あった占有率が40%に下降している。これに 競争激化による安売りが加わって経営を圧迫している。下期の展望ですが、ルーラ新政権が観光に力を入れている事もあり、見通しは明るいとされています。 2003年から2007年の「国家観光プラン」が具体化してくるでしょうし、ルーラ大統領が各国歴訪に観光大臣を同行、ブラジルをPRさせていることもあ り、これが好結果をもたらすだろう。メルコスールにおいても官民合同で観光強化策を検討中と聞いております。

    体力消耗各社、生き残りを賭けた道を模索 - 通信

    最後に通信業界です。新政権が物価安定を最高命題の一つに挙げ、これまでの通信会社の料金調整方法の見直し、使用していた物価指数を変更する等々を進めて おります。また、低所得層への格安電話の提供義務化などもあり、通信企業の利益の再配分という新政権の意図により、インターネットも含めた通信全体の料金 の低廉化が進むものと思われます。すでに競争、および不況の影響で体力が落ちている各通信会社は生き残りをかけた合併・資本提携の道を引き続き探って行く ものと思われます。一方で、企業の通信需要はERPなどに対応する高度なネットワーク、とハッカーやビールス対策も含めた危機管理の必要から、より高速か つ安全なネットワーク作りが進むものと思われます。

    下期は、固定電話通信各社が厳しい経営環境に直面しているのに対し、既に利用者数が 約3,700万人にも達した携帯電話の市場では、テレコムアメリカズが本年下期の営業開始に向け1億5000万ドルの投資を表明するなど、激しいシェア争 いが続きます。競争の構図としては、現利用者数の約半分のシェアを持つVIVOに対して、TIMとテレコムアメリカズの挑戦が激化し、BCPは何らかの方 法で生き残りの道を模索するという形になると思われます。この競争の結果、本年の9月頃には携帯電話の加入者数が固定電話の加入者数を上回るものと予想さ れています。
    すみません、駆け足で。以上、ご報告します。

  • 運輸サービス部会(レポート)

    2003年上期の回顧と同下期の展望

    (新政権下での各種政策―税制,年金改革,高金利政策等―による具体的な影響、また 今後予想される問題等も盛り込んで)

    (運輸部門)

    航空業界

    2003年上期の回顧

    同 時多発テロの影響から回復基調に乗りかけた当業界であったが、3月下旬のイラク戦争突入とそれが終わるころに発生したSARS(新種の肺炎)騒ぎで、大き な影響を受けるに至った。ホンコン,中国線を中心としたアジア線に多くの航空会社が定期便の減便に追いこまれ、大きく収支を圧迫した。世界的にも各社とも 記録的な赤字が報道されている。各空港では新たな防疫体制が敷かれ利用客の不便は増加した。幸いブラジルは汚染地区にならなかったが、検疫の質問表が導入 された。(7月下旬から1時中止中)
    日伯間においては大きな供給の変化はみられなかったが、需要の面では新規の出稼ぎ旅客の回復は見られないもののリピーターの利用で他の路線に比べて安定的な成績である。
    ブラジル国内においては、バリグとTAMの経営統合が話題になっているが、方向性は見えてきたもののまだ具体的な段階には至っていない。

    2003年下期の展望

    大きく騒がれたSARS騒ぎも一段落し、各社とも定期便を当初計画に戻しつつある。落着きを取り戻し安定軌道に乗ることが期待される。
    米航空大手の4-6月期決算で,2001年のテロ事件後初めて3社が黒字になった。政府補助金に支えられての結果とはいうものの、明るい兆候と見られる。
    国内での2社の経営統合も具体案が見えてくると思われるが、経営の安定には時間がかかると推察される。
    ルーラ政権の政策の中で具体的に影響があるものは特にない。全体的な景気回復,為替安定が望まれる。

    海運業界

    2003年上期の回顧

    前期までの1年半は為替の影響による輸入の減少により、輸出貨物用コンテナが不足する事態が続いていたが、今期に入り為替レートもそれなりの安定を見せた為か輸入の量的増加が顕著でコンテナ不足の状況は解消した。
    但し、荷動き量と対船腹量のバランスは依然として拡大傾向にあり(投入船型の大型化が主因)運賃レベルの回復には程遠い状況であり、特にアジアー南米東岸航路は存続可能性が問われるほどの苦しい収支状況が続いている。

    2003年下期の展望

    前述のインバランス状況が更に悪化するだろう。

    フォワーダー業界

    2003年上期の回顧
    2002年末よりレアル安で輸出が急増したが、上期に於いても好調は継続した。但し
    高金利政策等に端を発したブラジルの景気低迷の影響もあり各社が生産調査を始めている。減産方向での調整となっているために、落ち込みが激しく貨物量は当初の見込みに対して大幅減となっている
    またイラク戦争開始により輸送機材(貨物機等)が支援活動に振向けられた為に、スペース不足、機材縮小、キャンセル便などとなり、輸入・輸出に少なからず影響がでた。それに中国を中心としたSARS発生が追討ちをかけ、輸送リードタイムに遅延影響がでた。
    6月下旬より税関ストライキが行われており、例年のことながら輸出入業務の延滞が作業収入の伸びに影響しているのは遺憾である。
    また IN252(Dec,03,2003発令)の導入により、 Tax Heaven Country(現在51カ国)に対する運賃送金に関する課税(送金税25% 実質33%)問題が発生し経営を圧迫している。

    海外引越については、昨年末から第一四半期には帰国者による活発な異動、第二四半期より赴任者の異動が活発になったが、全体的には減少傾向が継続している。また、テンポラリーヴィザのサスペンドに伴い長期出張者が激減すると思われる。
    新政権下での各種政策の影響は、特に輸出・輸入に関する取扱いの中では、貿易従事者の登録制度の見直しによる簡素化・輸出奨励政策に期待出来ると思われる。
    税制・金利政策も平準化することが望ましいが、国内各州の思惑が懸念材料である。

    2003年下期の展望

    例 年下期には消費財生産へ向けて各メーカーの生産も活発になるが今年は自動車関連、家電関連の量の伸びが期待できない為、現状の消費マーケットの低迷を打開 する見込みは少ない。やはり金利政策、失業問題、各種税制の改革が非常に重要になる。反面貿易収支は改善されてきているので輸出力を強化すべく諸手続きの 規制緩和、輸出支援の政策を推進することが必要である。対ドル通貨が安定してきたことは明るい兆しであるが、残念なガら景気低迷は下期も同様の状態が続く ものと予想される
    当然のことながら税関ストの早期解決が切望される。

    (構内物流サービス)

    2003年上期の回顧

    新政権下での客先設備投資抑制の影響が大きく、作業収入は当初計画を達成しているものの、作業利益確保の段階では苦戦している。また預金利率低下による金 利収入の落ち込みもあり、営業外収支も当初計画の達成は不可能な状態になっており、通期での経営計画達成はかなり厳しい状況


    下期も同じような状況が続くと思われ見通しは厳しい、さらに預金利率の更なる低下も予想され、今期は苦戦が続く。
    また、中長期的には、大型工事である、客先の高炉新設・改修工事の延期の影響をもろに受ける形となり、ブラジルでの収益確保という面では、古き良き時代は 完全に過ぎ去り、長期的にも厳しい状況が続くと予想され、事業構造の改革を中心に抜本的な対策を講じる必要に迫られている。

    クーリエ業界
    国内(バイク便)

    2003年上期の回顧

    車社会のブラジルで道路整備の遅れに伴い必然的に派生したバイク便(モトボーイ)であるが、サンパウロ市内で3000社(内100社が大手)に膨れている。
    もぐる業者が多く、値崩れ現象を起こしている。取締りも厳しい。
    雇用者の90%が変わるなど、人の入れ替わりが激しい。怪我人が多く保険の問題も多い。

    2003年下期の展望
    道路整備の遅れは、ますますバイク便を増加させることになろう。

    (サービス部門)

    旅行エージェント業界

    2003年上期の回顧
    ブラジル国外の影響として、イラク戦争と新型肺炎が旅客の移動に大きな影響を与えた。特に新型肺炎は今だ撲滅に至っておらず今後も影響は続くと考えられる。
    ブラジル国内では新政権下、国際航空券の発券ドルレートが大幅に下がり(ドル安)旅行代理業の収益に大きな問題を与えている。
    本年度のDAC発表の発券レート(毎日発表)を見比べてみると下記のような推移になり年頭に比べると約20%のダウンとなっている。
    2003年01月02日 3.5290
    2003年02月03日 3.5230
    2003年03月05日 3.5630
    2003年04月01日 3.3660
    2003年05月02日 2.8900
    2003年06月02日 2.9630
    2003年07月01日 2.8720

    すなわち年頭と同じ販売額を維持したとしても為替差損として約20%の減収となる。

    2003年下期の展望
    とにかく、旅客の動向と発券ドルレートの回復が期待される。

    ホテル・観光業界

    2003年上期の回顧

    基本的に旅行業界と同じ状況である。フラットの大幅な増加により供給過多となったため競争は益々激化している。ホテルの等級による違いはあるが、全体でみると稼働率は43%
    といわれる。(5つ星ホテルでは昨年同期の52%から40%に下降した)
    インバウンドの旅客の減少は続いている.
    一方国内旅行はさかんでありノルデステ方面は特に活況である。

    2003年下期の展望

    新政権が観光に力を入れていることもあり、見通しは明るい。2003‐2007年の国家観光プランが具体化してくるだろうし、ルーラ大統領が各国歴訪に観光大臣を同行させて観光のPRに努めていることもいずれ好結果をもたらすであろう。
    メルコスールにおいても官民合同で観光強化策を検討中である。

    通信業界

    2003年上期の回顧
    新 政権は物価安定を最高命題の一つにあげ、これまでの通信会社の料金調整方法の見直し(これまで使用していた物価指数を変更するなど)を進めている。また低 所得者層への格安電話の提供義務化などもあり、通信企業の利益の再配分という新政権の意図により、インターネットも含めた通信全体の料金の低廉化が進むも のと思われる。またこの状況に対し既に競争および不況の影響で体力の落ちている各通信会社は生き残りをかけた合併・資本提携の道を引き続き探っていくもの と思われる。
    一方で、企業の通信需要はERPなどに対応する高度なネットワークとハッカーやヴィールス対策も含めた危機管理の必要から、より高速かつ安全なシステム作りが進むものと思われる。

    2003年下期の展望

    上 記①のように固定電話通信各社が厳しい経営環境に直面しているのに対し、既に利用社数が約3,700万人にも達した携帯電話の市場では、テレコムアメリカ ズが本年下期の営業開始に向け1億5千万ドルの投資を表明するなど、激しいシェア争いが続きそうだ。競争の構図としては、現利用者数の約半分のシェアを持 つVIVOに対し、TIMとテレコムアメリカズの挑戦が激化し、BCPは何らかの方法で生き残りの道を模索するという形になるものと思われる。この競争の 結果本年9月ころには携帯電話加入者数が固定電話加入者数を上回るものと予想されている。

  • 自動車部会 伊藤副部会長


    伊藤副部会長

     

    司会 残念ながらここで後藤議員、赤阪総領事ご退席でございます。ありがとうございました。
    発表の方は続けさせて頂きます。部会最後になります自動車部会、国内市場不振の中で新しいモデルを投入した日系メーカーの好調さが目立っているようですが、伊藤さんよろしくお願いします。

    4輪に“土砂降りの雨”

    伊藤  部会長であるトヨタの岡部社長が日本出張中で代わりに報告いたします。自動車部会を三つのカテゴリーに自動車、二輪、それから自動車部品と分けて発表します。

    自動車、四輪は総じて言うと、昨今の新聞に載っていますが、“土砂降りの雨”が降っている。まあ、部会長の会社だけは別のようですけれども(笑い)。二輪は日本のメーカーさんですが、非常に絶好調と言う事ですね。自動車部品は総じてまだら模様。これが大体の結論です。

    まず四輪ですが、今年上半期の自動車生産台数は輸出の増加から89万9000台と昨年を2.7%上回りましたが、各社による値上げ、それから金利高が消費 者の購買意欲を減退させて、国内新車登録台数は前年同期比8.3%減と昨年をさらに下回り、99年以来の低レベルとなっております。Anfavea(ブラ ジル自動車工業会)は、今年の国内販売予測を150万台から140万台に下方修正しておりますが、今年の6月現在のメーカー在庫数は16万台程度と予想さ れ、この140万台の修正販売予測達成も危ない状況になっております。このため、各社とも一斉休暇、希望退職の募集など稼働の落ち込み対応に追われている 状況にあります。GMは生産調整を理由に一斉休暇を実施、かつ500名の解雇発表、フォルクスワーゲンも4000人の従業員を新会社に転籍させて、アウト ソーシングすると発表していますが、いずれも労働組合の反対にあって難航しております。

    国内市場の回復に活路を見出すべく、政府による市 場活性化緊急策、これは大衆車のIPI(工業製品税)、それからIPVA(車両税)1年目の免税などが近日中に発表されると思いますが、市場の回復には時 間がかかるであろうと思われます。このような国内需要低迷の中、生産はもっぱら輸出頼みとなっていますが、生産の落ち込みを支えるには不十分であり、生産 設備の稼働率も6割程度となっています。輸出は金額累計で24億ドル、前年同期比38.7%増。台数では25万3000台、これも前年同期比で42.3% の増加。また6月は5万5,000台と過去最高を記録しております。現在、輸出は生産の28.2%となっており、その率は増加しております。

    下期も依然として国内需要低迷の状況は変わらず、アルゼンチンの回復や各社による新規輸出国の開拓により、輸出は依然として増加傾向が続くと思われます。

    一方、輸入の方ですが、38,400台と前年同期比37.3%のマイナス。Abeiva(ブラジル自動車輸入協会)は4月、フルラン開発相に対して、新車輸入の関税引き下げ- 現行の35%から22.5% -を要請しております。

    1~6月の生産ですが、乗・軽商用車これは84万7000台、前年同期比2.5%増、トラックは3万8000台、7.9%増、バスは1万3000台で 0.4%増、合計89万8500台で2.7%増となっております。輸出は、乗・軽商用車が24万5000台で41.9%増、トラックは4000台で80% 増、バスも4000台で36%増、計25万3400台で42.3%増となっております。で、国内販売状況は乗・軽商用車57万1800台、マイナス 5.5%、トラックが3万400台、マイナス2.7%、バスが7000台、13.5%マイナス、合計60万9200台でマイナス5.5%。輸入車に関しま しては38,400台でマイナス37.3%となっております。

    好調の2輪にも販売鈍化の兆し

    それから2輪ですが、昨年来の新車投入効果により、各社とも主力の125ccクラスを中心に販売を伸ばしました。ただし、高金利政策による景気低迷およびクレジット不渡り等もあり、5月以降販売伸長に陰りも見えて参りました。

    下期は高金利政策の是正、景気浮揚策および新年度モデルの投入で、9月以降に伸びが期待されるものと思われております。国内販売の好調を受け生産も順調に 伸長しておりますが昨年来のインフレ高進による国内購入材の価格高止まり、通貨下落による輸入品コスト上昇が懸念されております。また、税制恩典の見直し 気運が一部にあり今後多少環境が厳しいものと思われます。
    輸出はレアル安による価格競争力アップを背景に不調なアルゼンチンに代わる輸出先を開 拓し、昨年比大幅増加しました。しかし、昨今の輸出増加はレアル安を背景としているため、レアルの動きを注視する必要があります。1~6月の生産は、49 万5700台、昨年同期比22%増、国内販売が43万6900台で12.7%増、輸出が5万8800台で3.2倍になっております。

    通期で8%の売上げ減か ー 自動車部品

    それから、自動車部品ですが、今年度上半期はカーメーカーの業績が落ち込み、カーメーカーの生産台数に直接関係を持つ部品メーカーにとっても、厳しい上半 期となりました。Sindipecas(自動車部品工業会)によると、同期間中受注が約25%減少しており、まだリストラ等の極端な対応策は採用されてお りませんが一斉集団休暇、就業時間短縮等を行なっております。上期前半は為替レアル安継続で輸入部品、それからドルリンク原材料のコスト上昇、後半はレア ル相場回復による輸入原材料の圧迫要因は軽減されましたが、販売が低迷し、輸入原材料の在庫の積み上がりもあり、業績回復の妨げとなりました。

    業界総売り上げの33%を占める上位部品製造会社48社を対象に比較した売り上げは1~5月の累計で対前年同期比が3.5%とアップしておりますが、カー メーカーの低迷の影響で本年度のトータルの部品業界の売り上げは昨年比マイナス8%程度になるものと思われております。部品の補修小売り市場では、今年上 半期の売り上げが昨年同期比20.5%のアップ率を示しました。しかし、これは昨年度の業績がよくなかったことにより伸び率が大幅に上昇していることと、 現在、新車購入が先送りされており、自動車を修理する傾向が業界の小売り市場の売り上げアップに影響しているものと思われます。

    現在、部品業界 は稼働率が生産能力の65%、推定従業員数がおよそ17万人ですが、この数字の維持・向上は今後のブラジル経済にかかっていると言えます。政府の消極的な 経済回復政策、インフレ下降率、基本金利の切り下げ等の要素は下半期の景気上昇には不十分との見解でして、厳しい状況の継続が懸念されております。やはり カーメーカー同様、積極的に輸出等の対応でカバーしていく必要があると思っております。以上です。

  • 自動車部会(レポート)

    2003年上期の回顧と同下期展望

    自動車部会長:岡部 裕之

    2003年7月31日

     

    ■ 自動車

    今 年上半期の自動車生産台数は輸出の増加から898.5千台と昨年を2.7%上回ったものの、各社による値上げと金利高が消費者の購買意欲を減退させてお り、国内新車登録台数は前年比8.3%減と02年を更に下回り99年以来の低レベルとなった。ANFAVEA(ブラジル自動車工業会)は、今年の国内販売 予測を1.5百万台から1.4百万台へ下方修正した。さらに、03年6月現在のメーカーの在庫数は160千台と予想され、修正販売予測の達成も危うい状況 である。このため、各社とも一斉休暇、希望退職の募集など、稼動の落ち込み対応に追われている状況である。GMは生産調整を理由に一斉休暇を実施、かつ 500名の解雇を発表、VWも4,000人の従業員を新会社に転籍させてアウトソーシングすると発表している(いずれも労働組合の反対にあっており難 航)。国内市場の回復に活路を見出すべく、政府による市場活性化緊急策(大衆車のIPI見直し、IPVAの1年目免税等)が近日中に発表されると思われる が、市場の回復には時間がかかるであろう。

    このような国内需要低迷の中、生産はもっぱら輸出頼みとなっているが、生産の落ち込みを支える には不十分であり、生産設備の稼働率も6割程度である。輸出は、累計24億ドル(前年同時期比38.7%増)、253.4千台(同42.3%の増加)ま た、6月は50.5千台と過去最高を記録している。現在、輸出は生産の28.2%となっており、その率は増加している。下期も依然として国内需要低迷の状 況は変わらず、アルゼンチンの回復や各社による新規輸出国の開拓等により、輸出は依然として増加傾向が続くと思われる。
    一方輸入は38.4千台と前年同期比37.3%のマイナス。ABEIVA(ブラジル自動車輸入協会)は、4月Furlan開発相に対し新車輸入の関税引き下げ(現行の35%から22.5%へ)を要請した。

    【生産・輸出状況】

     
    生産
    輸出
    乗・軽商用車 トラック バス 乗・軽商用車 トラック バス
    03年1-6月 (千台) 847.1 38.3 13.1 898.5 245.4 4.0 4.0 253.4
    前年比(%) 2.5 7.9 0.4 2.7 41.9 80.4 36.2 42.3

     

    【販売(新車登録)状況】

      国産車 輸入車
      乗・軽商用車 トラック バス  
    03年1-6月 (千台) 571.8 30.4 7.0 609.2 38.4
    前年比(%) -5.5 -2.7 -13.5 -5.5 -37.3

     


    ■ 二輪

    昨年来の新車投入効果により、各社とも主力の125ccクラスを中心に販売を伸ばした。ただし、高金利政策による景気低迷及びクレジット不渡りもあり、5月 以降販売伸長に陰りも見える。下期は高金利政策の是正、景気浮揚策及び新年度モデルの投入で、9月以降の伸びが期待される。国内販売の好調を受け、生産も 順調に伸長しているが、昨年来のインフレ高進による国内購入材の価格高止まり、通貨下落による輸入品コスト上昇が懸念される。また、税制恩典の見直し機運 が一部にあり環境は厳しい。
    輸出は、レアル安による価格競争力アップを背景に、不調なアルゼンチンに代わる輸出先を開拓し、昨年比大幅増加した。しかし、昨今の輸出増加はレアル安を背景としているため、レアルの動きを注視する必要がある。

    【生産・販売・輸出状況】

      生産 販売 輸出
    03年1-6月 (千台) 495.7 436.9 58.8
    前年比(%) 22.0 12.7 3.2倍

     

    ■ 自動車部品

    2003 年上半期はカーメーカーの業績が落ち込み、カーメーカーの生産台数に直接関係を持つ部品メーカーにとっても厳しい上半期となった。 SINDIPECAS(自動車部品製造工業会)によると、当期間中、受注が約25%減少しており、まだリストラ等の極端な対応は採用していないが、一斉集 団休暇、就業時間短縮等を行っている。
    上期前半は為替レアル安継続で輸入部品、ドルリンク原材料のコスト上昇、後半はレアル相場回復による輸入原材料の圧迫要因は軽減されたが、販売が低迷し輸入原材料の在庫の積みあがりもあり、業績回復の妨げとなった。
    業 界総売上げの33%を占める上位部品製造会社48社を対象に比較した売上げは1月~5月の累計で 対前年同期比売上げが 3.5%とアップしているが、カーメーカーの低迷の影響で本年度の部品業界売上は`02年度比▲8%となる予想。部品の補修小売市場では`03年上半期の カーパーツ売り上げが昨年同期比20.5%のアップ率を示した。しかし、これは昨年度の業績が良くなかった事により伸び率が大幅に上昇している事と、現在 新車購入が先送りされており、自動車を修理する傾向が業界の小売市場の売上アップに影響している。

    現在、部品業界は稼働率が生産能力の65%、推 定従業員数はおよそ170千人であるが、この数字の維持・向上は今後のブラジル経済回復にかかっているといえる。政府の消極的な経済回復政策、インフレ下 降率、基本金利の切下げ等の要素は下半期の景気向上には不十分との見解で、厳しい状況の継続が懸念されている。 やはり、カーメーカー同様、積極的に輸出 等の対応でカバーしていく必要がある。

  • 質疑応答

    司会  以上で11部会の発表が終わったわけで、この辺で会場の皆さんのご意見、ご批判、ご質問、何なり受け付けたいと思いますが、どなたかいらっしゃったら。赤嶺さんいかがですか。

    新政府とのハネムーンは今後も続くのか

    赤嶺   遠藤委員長のもとで当総務委員会の副委員長を務めております赤嶺でございます。大変興味を持って皆様のご発表を拝聴させて頂きました。その中で、金融部 会の小原代表にお伺いします。先月の会議所のコンサルタント部会でもだいぶ活発に意見が交換されましたが、金融部会では、政治の通期の見通しとして、ルー ラ政権と国民(市場)のハネムーン(蜜月関係)が今までのどの政権よりも長く、これから1、2年は続くだろう。それから高い支持率も今のまま推移していく だろうと、いう風に非常に楽観的にご覧になっているようです。私はどうも心配性のせいなのか、この蜜月関係は、まさにいま急速に冷えつつあるのではない か。例えば、肝心の社会保障制度、税制改革などの構造改革にしても、次第に小骨から大骨まで抜かれつつあるような感じがしてなりません。もう一度、やはり 楽観的なままでいいのかどうか、小原代表の率直なご意見をお伺いしたいと思います。お願いいたします。

    海外の投資家は「暖かく見守ってくれている」感じ

    小原   一夜漬けで勉強してきた私には難しすぎる質問ですが、皆さんの失笑を覚悟で頑張ってみたいと思います。確かにこのあたり、私の専門じゃないとは言え、経 済のベース、とくに政治の動向が経済もしくはその後の数値に大きく左右する国と言うことで、よく見て行く必要があるんですが、「下期の展望の結論」のとこ ろで皆さんもおっしゃっていた社会保障制度改革、それから税制改革。これを何のようにうまく切り抜けて行くか、スタートを上手く切ったルーラが、これから いよいよ現実の問題に直面して行くところだと思うんですね。聞いているところではルーラ自身、もしくは側近の与党議員が実際に、党人間というか個別交渉と いう格好で根回しをかなり行っていると聞いて、これがうまく行けば、今お手元に渡っている一番最初の表でほぼほぼ、66%を今取りつつある状況です。これ も日々変化しているのでしょうが、それが地道なルーラ本人の交渉によって、一つ、二つ確実なものにして行ければ、いま申したシナリオは描けるんじゃないか と。おっしゃる通り、骨抜きになって来ると言うところは、実際に最初の案が出されて、大分、日々変更して、一番最後のペーパーに付けているのからして大分 変わっていますし、どの辺りで「これは骨抜きじゃないか、意味をなさないじゃないか」と言うような議論が出てくるか非常に不安な要素として見ていますが、 金融機関というか、外の投資家サイドの目からすれば、今のところは「暖かく見守ってくれている」という感じを受けているのが正直なところです。私もここは 非常にナーバスなところで、2回も「ちょっと楽観過ぎるかも知れませんが」と言葉を使わせて頂きましたが、そういう言葉も入れて、期待感も込めての通期予 想と言うことで述べさせて頂きました。

    司会  時間の関係でもうひと方。大使館の笹本書記官がいらっしゃっていますので、ご感想なり頂ければと思いますけれども。

    方向性は正しい現政府

    外資流入が途絶えるとは考えにくい

    笹本   午前中にサンパウロ大学の先生に会って、「ブラジルの経済の先行きについてどう考えますか」、と聞いたら、「確かに改革のペースは遅いが方向性は正し い。従って、今年、来年の成長の見通しは皆さんすでにお話しされているように1.5ですとか、来年3%ですとか言うレベルでしょうが(経済成長)、再来年 以降は4%ないし5%が見込めるのではないか」という楽観的な見方をされていました。私も、その意見には賛成でして。なぜかと言うと、確かに年金改革がこ こに来て、公務員が年金を全部もらえるようになってしまったとか、巻き返しの動きもあるんですが、ただ方向性が正しい限りは国際的な金融機関、あるいは国 際金融機関もブラジルを支持するだろうと。従って、ブラジルにお金が入って来なくなって、また経済危機が起こると言う事態は今後は一寸考えにくいだろう と、私自身は楽観的な見方をしています。

    ただ、いま批判もありました金融政策に関しては、中銀の金利をもっと早く下げるべきではないか と。一番理想的なのは、年末までに基準金利が20%ぐらいまでに下げれば、うまく成長路線に戻って行くでしょうが、もう少しスピードが遅くなると成長、回 復は遅くなるのではと言う見方もあります。

    これから金岡さんの方からFTAの話しもあると思うのですが、実は最近まで、大使館の方では FTAに関してはスケジュール通り行かないのでは、という見方をしていました。しかしながら、実はルーラが訪米した際に、ブッシュ大統領と2005年1 月には交渉をまとめるんだと言う約束をして、ブラジル当局も、もうどうもこれはデッドラインだから絶対何が何でもやるんだ、と言うような事を考えているら しい。ご存じの通り、EUともFTAの交渉を行っており、一方でWTO(世界貿易機関)の交渉は皆さんもマスコミ等でご存じと思いますが、なかなか難航し ていて、日本の当局も何とかまとめようと頑張っているのですが、最悪のケースも考えられる。

    でそのFTAA、あるいはFTAと言う言葉が 本当は正しいのかよく分からないが、これはその単に通商だけでなくて、投資、知的所有権、あるいは政府調達の分野も交渉の対象となっている事を考えると、 仮に日本だけが全くそういった交渉を行っていないとなると、例えば仮にブラジルの経済が回復しているにも関わらず、日系企業だけが“ババを引く”と言う可 能性もなきにしもあらず、という暗い面があるのも事実で、ぜひこの点に関して今後日系企業の皆さんから、我々の方に色んなご要望を出して頂ければ、と考え ています。以上です。

     

  • FTA問題について 金岡委員長


    金岡委員長

     

    司会 最後になりますが、笹本さんからのお話にもありましたFTA問題。これがかなり当会議所でも切実な問題として取り上げられているので、現状を金岡委員長の方からご報告頂ければと思います。

    EUとブラジルのFTAは2004年実現が可能

    金岡 FTA問題について簡単に状況を説明したいと思います。FTAといいましても、広義に使っており実はRTA、地域貿易協定、あるいは関税同盟といろいろ あり、幅広く言えばいま日本とメキシコが交渉しているEPAという経済協力協定、そういうのもあり、要するにひとくくりにしてFTA、こう言うことでお話 しをします。

    まず、ブラジルを巡る自由貿易協定の動きですが、既にご承知の通り、南北米州34カ国を対象としたFTAA締結の話がいま進 んでおります。米国とブラジルがご承知の通り共同議長国で2005年創設を目処に話し合いが進んでおります。米国における農産物の市場アクセスの問題、あ るいは農業補助金の問題また南の方の国ブラジルではサービス分野の自由化、知的所有権などいろいろ解決しなければならない問題もあり、互いに政治的な思惑 もあって今後いろいろ、紆余曲折はあるかと思いますが、最終的にはやはり締結に向けて話が収束して行くのではないかなと、こういう風に思う次第です。

    一方、対EUですが、メルコスールをベースに2006年協定発効を目処とした交渉が開始されており、現在、関税撤廃スケジュール、それから対象品目リスト が交換され、話し合いが始まったところです。EU(欧州連合)とはブラジルの場合、かなり文化的、歴史的、経済的につながりが多くて、ブラジルに進出して いる企業にもEUをベースにしたところがあり、思いの外早く進む。2004年とか言われていますが、こういう可能性もあるかと思います。特に自動車につい ては貿易自由化に向けて、業界ベースでの会合が持たれていると。こう言うことです。
    そんな中でブラジルは個別にメキシコ、チリとも貿易協定を締 結している。それから中国、インドとの交渉も視野に入って交流が始まっており、いわゆるラテンアメリカ諸国のFTA先進国のメキシコ、チリに続いて、新た な自由貿易協定締結の動きがブラジル国としても加速しているという状況です。一般にそのブラジル、かつてのアメリカなど自国に巨大市場を抱えかつ、それな りに産業が育っている大陸国は経済の海外依存度が低く、自由貿易協定締結に対し消極的といった見方が出来るわけですが、このようにグローバル化が進む世界 経済の中で、単独で生きていくというのは難しい。あるいは、うまくやればビジネスのチャンスがさらに増えると思われます。そういうことでブラジルについて も各市場ごとの通商政策に沿った自由貿易協定の動きが加速されているといった感じであります。

    日伯合同委員会でもFTAにつき調査・検討を決定

    このような情勢の中で、日伯の経済関係の再構築の必要が叫ばれている訳ですが、FTA問題についても「このまま何もせずに放置しておいてよいのか」と言っ た疑問が会員企業からも出され、昨年秋に開催された官民合同会議でも日伯FTAの必要性につき、討議され、とりあえず商工会議所において民間ベースの勉強 会を立ち上げようと、こういうことになった次第です。本年3月に開催された「第 10回日伯ブラジル経済合同委員会」の結論として、日伯FTAによるビジネスの影響につき、スタディグループを設置し、調査、検討、意見交換していくと言 うことが確認されました。経団連では本件のフォローアップを企画部会を中心にフォローしていく、とこういう体制が確認されております。
    ご承知の ように、メキシコと日本の間のFTA交渉は現在、最終段階に入っており、未だ双方のセンシティブセクター、これは日本でいいますと農水産品とか皮革製品、 それから豚肉など。それからメキシコでは鉄鋼、化学品などが挙がっている訳ですが、このセンシティブセクター品の調整を巡りまだ課題が残っている。しかし ながら、本年10月のFOX大統領訪日のさいに、何らかの形で協定書にサインがされることになると思われます。そもそも日墨FTAにおいて、なんでこう言 うことが出てきたかというのはNAFTA(北米自由貿易協定)の発効によって競争力を失い、撤退を余儀なくされた日本側民間企業の強い要請により、交渉が 始まったという背景があります。また、その後EUともメキシコは協定を結び、さらに調査を進めていく中でメキシコ市場における日本製品の輸入比率の低下、 それから政府調達における日本企業の差別、具体的に言うと入札に入れて貰えない、あるいは入札で差をつけられると言ったことが起こって、具体的な経済損失 につながると言うことで、民間から政府を動かして今日の交渉に至っていると、こう言うことです。

    メキシコのケースを”他山の石”に

    今後、メキシコ、日墨の話し合いは中南米における初めての日本としてのFTAの交渉で、今後の推移を注意して見て行かなければならない。我々ブラジルにい る日本の企業としては、そのメキシコで起こったことを“他山の石”と、こう言うことで今からFTA締結の必要性を検討し、その準備を始めようと言うことで 研究会が立ち上がった。こういう次第です。

    以上のようなことで、ブラジル日本商工会議所の中に、「日伯経済交流促進委員会」があ りまして、私が委員長ですが、その中でFTA研究会を立ち上げまして、今年の1月から今までに5回の研究会を開催しました。第1回目はJETRO・ブエノ スアイレスの稲葉所長を招き、「南米を巡るFTAの動きについて」と題してFTAそのものの仕組み、あるいは世界の状況につき勉強しました。第2回目は JETRO・メキシコの近藤所長にお越しいただき、まさに先ほど申しました日墨FTA交渉開始にいたる経緯およびその内容について講演して頂きました。そ の後4回、5回と当会議所の部会である第4回目では電機・電子部会、それから第5回は自動車部会の代表にお越し頂いてそれぞれの状況をヒアリングして、ど ういう風な問題が出てきているかをお話ししました。

    以上の研究会を通じて私の持った印象ですが、まず一番としてグローバル化が進んだ企 業、これはそんなにたくさんあるわけではないんですが、世界各地でのFTAの動きに対して柔軟な対応が可能である。例えば、日本からの原材料、部品の輸出 が不利になると、米国の工場に切り替えることも可能である。それから二番目はFTAの促進により、マイナスの面だけでは無く、上手くやれば国の産業構造を 変えて行くことも可能という事で、例えばブラジル進出で生産基盤を固めた。こういう日本企業であれば、今度はブラジルがFTAを結べば、例えばFTAAの 対象国とは自由に貿易が出来ると、こういうプラスの面もある。こう言うことで、メキシコはその辺を非常に強調して、今やすでに31カ国とFTAを結んでい ると。そう言う印象を持ちました。

    今後FTAにつきCNIやFiespとも意見交換

    今後の活動ですが、引き続き各業界の状況を調査すると共に、企業単位でアンケートを実施し、日伯FTAの与える影響につき具体的なプラス、マイナスのインパクトを取り上げて、これをもとに対日本の関係省庁に提案を出して行こうかと、こういう風に考えています。
    日伯FTAの課題ですが、今後更に会員企業を対象にして行うアンケートの調査実施、あるいは輸出入統計の調査、CNI、FIESP等ブラジル側カウンター パートとの意見交換。こういったことにより、提案をまとめて絞って行きたいと思っていますが、今のところ私の印象としては、三つ有ります。

    1 番は、FTA締結国との関税格差の問題。先ほど挙げましたFTAA(米州地域)、それからEUあるいはひょっとしたら中国・韓国などとブラジルが先にやる んではないか。こう言ったところとの関税格差の問題。ちなみに言いますと、ブラジルの平均関税は12.29%。そこそこ高い訳ですから、これが先に出来 ちゃうと、かなり日本としてはハンディキャップを背負う事になるわけです。対象は特に自動車部品、電機・電子部品、化学品の一部こういったところが主たる 対象になると思います。

    2番目にマナウス・フリーゾーンの問題。これは現在、家電、二輪、複写機、電子部品、こういった企業が日本から 進出しておりますが、個々について、かつてメキシコ特に米国とのボーダーにありましたマキラドーラ、個々に進出していた企業ですが、結局、NAFTA成立 によって相対的な優位性を失ない、こういうことで撤退を余儀なくされた。そういうメキシコと似たような問題の発生が考えられる恐れありと、こういうことで マナウス・フリーゾーンをどういう風に位置づけるか。これが2つ目の問題。

    3番目として、進出企業が直面しているビジネス環境上の問題 点の改善。これは税制、労働法、それからインフラの不備、ロージスティックも含めたインフラの不備。それから治安問題、いわゆるブラジルコストの解消が課 題となります。この点は海外から進出している、日本に限らず進出企業全般にわたる問題でもあり、場合によっては他国商工会議所、あるいはGIE(外国投資 家グループ)などとも連携して、ブラジル政府に呼び掛けて行かねばならない。ただしこの中で日伯固有のものがあれば、広義の意味でFTAのテーマとして取 り上げて行けばよいかと思います。

    以上が今のところ考えられる訳ですが、スケジュールとしては、経団連スタディグループとも連絡を取 り、9月頃にアンケート調査を実施。年内に調査結果並びに何らかの提案を取りまとめたいと思います。明日、第6回目のFTA研究会をやるんですが、その場 においてどういったことをアンケートでまとめて行くか等をもう少し具体的につめて行きたいと思っています。
    それから最後ですが、在アルゼンチン 日本商工会議所からも連絡がありまして、メルコスールと言うことでFTA促進に向けて意見交換、情報交換を進めて行きたいという申し出がありました。自動 車、電機・電子、石油、化学品などは今や両国の産業で不可分な関係で有機的につながっていますので、この申し出も前向きに進めたいと思っていますが、ただ ブラジル政府が、日伯FTAを考える場合にメルコスールを一緒に巻き込んだ方がいいのかどうか。特にアルゼンチンの場合、経済、金融混乱が大分収まってき ましたが、ブラジルとは同じペースではない。それからアルゼンチンの場合、農業問題がブラジル以上に対日本としてありますから、その辺のブラジル政府の考 え方もあるかとは思いますが、いずれにせよ、先方と情報交換をやりながら、メルコスールとして課題を考えていく。それはそれでよろしいんじゃないかと思っ ています。そういった事で、なかなか焦点が絞りきれないと言う事ではありますが、以上述べましたような形でこれから提案をまとめて行きたいと思っていま す。以上です。


    司会 柳田さん何かコメントありますか。

    日伯FTAはビジネス環境の整備

    柳田 FTAのお話につきましては、先ほどの大使館の笹本書記官と金岡委員長がお話になられたことがほぼ全てであるかと思います。一つだけコメントというか、 付け加えさせて頂きますと、日伯FTAを考える場合にメキシコの場合は、いま金岡委員長からありましたが、やはり実害論というのがあって来たわけですが、 日伯を考える場合、実害論というのは、まあ若干二番煎じ的なことになって来て、それもあり得るとは思うんですが、多分そうではなくてFTAとは何ぞやと。 あるいはEPAでもいいですが、これはあくまでビジネス環境の整備だという事から考えて、日本企業がブラジルに対してどう言ったビジネスを今後展開してい く必要があるのか、という一つの日本側にとっては戦略論をきちっと考えて、と言うことから日伯FTAを位置づけて行く必要があるかと思います。以上です。

    司会 ありがとうございます。それでは時間も過ぎていますので、そろそろ本日の懇談会は終わりにしたいと思いますが、各部会の発表をお聞きしていますと、 2003年度も、昨年よりも厳しいというのが共通の理解かと思います。しかしながら、ルーラ大統領がおっしゃった下半期からは「奇跡的な経済成長を期待で きる」。これはやや誇大かも分かりませんが、インフレ抑制から景気回復へのその経済政策の転換ですか、これを我々は期待する事として、本日の懇談会を終わ りたいと思います。長時間ありがとうございました。

     

    -第I、II、III部 完 -

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