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業種別部会長シンポジウム

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2003年上期業種別部会長懇談会-貿易部会(資料) 2003/02/06

1.概況

<堅調に推移した輸出、大幅に落ち込んだ輸入>

ブラジルの2002年の貿易は、輸出が603億6,200万ドル(前年比3.7%増)、輸入が582億2,300万ドル(同15%減)で貿易収支は131億1,300万ドルの黒字。この黒字幅は1993年に記録した132億9,900万ドル以来の大幅なもの。

ブラジルの貿易は、年前半に大豆やコーヒーなど一次産品輸出が増加し、年後半には年末商戦に向けた国内生産の拡大や消費財の輸入増加で貿易収支が赤字に転 落するパターンが一般的。しかし、2002年の場合、ブラジルの政治経済状況がこうしたパターンに変化をもたらした。2002年4月以降、10月の大統領 選挙で野党が政権をとるという観測が強まり、従来の改革路線を変更するのではないかとの懸念が金融市場で広がったことや、米国によるイラク攻撃の可能性が 年末に向けて高まったことを受け、4月以降為替はレアル安で推移し、大豆などの先物市場でも先高感が高まった。

為 替の一貫した下落は金利の上昇を招き、国内消費を抑制した他、大豆など主要農産物生産者に売り惜しみをさせる結果となった。そのため、輸入のほぼ半分を占 める中間財輸入が9月以降も昨年比で減少傾向をみせた一方、大豆輸出は通常輸出が終了する年央以降に増加するという例年とは異なるパターンを生んだ。

こ の輸入の減少が大幅な貿易黒字を生む結果となったが、輸出については「米国経済をはじめとする世界経済の状況や主要輸出先であるアルゼンチン国内の市場状 況を勘案すれば良い結果(FUNCEX-貿易研究所)」と言える。同時多発テロ事件以降続く米国の航空産業の低迷がブラジルからの小型ジェット機の輸出減 少となって現れているのをはじめ、米国市場の消費鈍化がブラジルの主要輸出産品である靴の輸出減少に結びついたが、もともと比較優位を持つ農畜産資源加工 産業をはじめ、工業分野でもジェット機や靴以外の製品は健闘した。

<輸出が堅調に推移した背景 - 直接投資の継続的拡大>

工 業部門健闘の理由の一つに、通貨切下げによる競争力向上に加え、生産拡張を目的とした直接投資が近年継続的に行われていたことが挙げられる。直接投資額の 工業部門に占める比率は、切り下げ前の1998年には11.9%に過ぎなかったが、2000年には23.8%、 2001年には33.3%とその比率は上昇。2002年についても、1~11月で同比率は38.6%。金額そのものも、2001年1~11月の工業分野の 直接投資額が52億5,700万ドルであったのに対し、2002年1~11月は64億4,700万ドルと唯一直接投資額が増加した部門となっている。

特 に、自動車、二輪など輸送用機械、金属、食品、機械、化学、電気電子及び通信機器分野で生産拡張のために積極的な投資がなされているのが目を引く。これら の分野は、2001年時点でブラジル全体の輸出額の54%を占めており、また工業部門の輸出の76%を占めている。同分野の直接投資額をみると、通貨切り 下げの前後でグリーンフィールドでの直接投資額が大きく変化。切り下げ以前の98年には同分野の直接投資受入額は全体の9%にしか過ぎなかったが、切り下 げのあった99年には19.2%と急増し、2000年には15.4%、2001年には27.9%に達した。これはドルによる投資のアベイラビリティー増加 に起因するもの。
工業分野の輸出増加の背景としては、このような直接投資のほかに特恵関税協定が作用していることも無視できない。例えば、2002年にメルコスール・メキシコ、ブラジル・チリの間で締結された関税引下げ協定など。

<輸入減少の背景 - レアル切下げと金利上昇による景気の落ち込み>

輸 入減少の背景には為替の減価がある。2002年1月2日に1ドル2.31レアルであった対ドルレートは10月22 日には3.96レアルに達した。さらに、実質為替レート(対ドル)で比較すると2001年9~12月の平均値(1994年8月を100とした場合)が 144.5であるのに対し、2002年9~12月の平均値は160.7となっており、輸入抑制の一因となった。

また、こうした為替の下落により、政府・中銀はインフレ警戒のための金利引上げ措置を講ぜざるを得なくなり、 2002年10月のCOPOM(国家通貨審議会)でSELIC金利はそれまでの18%から21%に、さらに12月には25%まで引上げられた。そのため、 CNI(全国工業連盟)の実質売上指数(1992年=100)は、通常であれば年末景気に向かって上昇していく時期にもかかわらず、11月になって前月比 で大きく落ち込むという現象が起こった。また、それに伴い製造業の稼働率も下落。こうした景気の落ち込みにより、輸入額全体の約5割を占める中間財・原料 の輸入ならびに消費財輸入が抑制された。

 

2.輸出動向

●国別・地域別輸出動向

<台頭するアジア向け輸出 - 対中輸出、対日を上回る>
国別・地域別貿易動向では、まず、輸出におけるアジアの台頭が目につく。2002年のブラジルの輸出額割合をみると、米国向けが153億5,400万ドル で全体の25.4%、EU向けが151億1,300万ドルで同25%、メルコスールを含むALADI向けが98億6,600万ドルで同16.4%、アジア 向けが87億9,100万ドルで同14.6%。従来、米国、EU、ALADI向けがブラジルからの輸出先の8割近くを占めてきたが、アジア向けが ALADIと同水準に達した。

米国向け輸出は、同時多発テロ事件以後米国系航空会社の業績 悪化の影響を受け、ジェット旅客機の減少(前年比 7.1%減)が響いている。また、靴についても、米国内消費低迷の影響を受け前年比7.3%減。しかし、携帯端末については、モトローラに加え、マナウス で組み立てを行っているノキアが輸出ドライブをかけたことで前年比13.1%増の12億8,500万ドルを記録。

欧州向けについては、オランダが国別で2位、ドイツが同3位。欧州向け輸出の特徴は、大豆、鉄鉱石、コーヒーなど伝統的なブラジルの輸出産品に加えて、ブ ラジルに進出している自動車および自動車部品メーカーによる企業内貿易で付加価値の高い製品も含まれていること。また、農産品は鶏肉、牛肉など欧州におけ る狂牛病発生と輸出促進プロモーションが奏効して市場を掴んだ他、養殖エビなど97年以降に国内業者が輸出を始めたばかりの産品がフランス向けに前年比 50%程度伸びるなど新しい品目も見受けられる。なお、オランダ向け輸出が大きい理由は、同国がEU諸国の一部向けの再輸出基地となっているため。

一 方、対ALADI向け輸出は、メルコスール向け輸出の急減(前年比48%減)が足を引っ張る結果となった。メルコスール向け輸出額の全体比は前年の 10.9%から5.5%に急減。メキシコ向け輸出産品は、特恵関税協定の影響もあり、自動車、自動車関連部品の比率が急増しており、アルゼンチンの代替輸 出先となった。ちなみにメルコスール以外のALADI向け輸出は前年比10.9%増。

一 方、アジア向け輸出は中国が最も多く、国別輸出額全体順位で4位となるなど躍進が目立つ。中国向け輸出は25億 2,000万ドルと前年比32.5%増となっているが、輸出の多い品目をみると、大豆、鉄鉱石、大豆油、鉄鋼、皮革、タバコ、木材などの一次産品や半加工 品に加え、自動車部品・エンジンなど付加価値の高い製品も含まれている。大豆輸出増加の背景としては、非遺伝子組み換えであるブラジル産大豆が、遺伝子組 み換え大豆より、中国側での輸入手続が簡便になったことが挙げられる。また、鉄鉱石については、中国側のインフラ改善が輸出増加に寄与。中国向け輸出につ いては、カーギル、GM、リオドセ、ソウザクルスといったブラジル国内の大企業が主体。

対 日輸出については、輸出額が前年比5.6%増の20億9,800万ドル。輸出額の増加には、米国のオレンジ不作に伴う国際価格上昇の恩恵を受けたオレンジ ジュース(7,700万ドル:前年比21.7%増)の増加と、中国で発生した家禽ペストの代替品として需要が急増した鶏肉の輸出増加(2億1,500万ド ル:同29.4%増)が寄与要因。ブラジルの鶏肉の輸出先としては、日本向け輸出額がサウジアラビア向け輸出を抑えてトップ。

●製品カテゴリー別輸出動向

加 工度別で輸出動向をみると、一次産品の輸出額が169億5,200万ドルと前年比で10.5%伸び、半加工品輸出が89億6,300万ドルで同8.7% 増、加工品輸出が330億ドルで同0.3%増。輸出全体額の約5割を占める加工品輸出は、小型ジェット機や靴の輸出減少分を他の加工品の輸出増加が補って いる状況。

<一次産品輸出はアジアなどの新市場開拓が伸びに貢献>

一 次産品輸出額で前年比伸び率が高くかつ金額の大きい品目をみると、原油が前年比134.6%増、豚肉が同35.5%増、エビが同35.2%増、大豆豆が同 11.2%増など。原油はアラブ首長国連邦、インド、サンタルシア、米国向け主要輸出国として登録されているが、実際は、ペトロブラスがアラブ首長国連邦 から原油を輸入した帰りの船を利用してブラジル産の原油をアラブ首長国連邦に運び、そこでアジアやインド洋湾岸諸国に再輸出。サンタルシアは、米国向け輸 出ロジとしてサンタルシア経由のものが仕向け地として登録されている。

2002年のブラジル 最大の輸出品目となったのは鉄鉱石で前年比4%増。国別では日本、ドイツ、イタリア向けが減少した一方、中国向けが前年比23.7%増となり同国が最大の 輸出先。これは、中国側で港湾インフラが整い、直接ブラジルから大型船で輸出できるようになったことが運賃面でオーストラリア産鉄鉱石に対し価格競争力が ついたことが大きい。これまでは、中国側で大型船接岸が困難であったことから、ブラジルからフィリピン、日本を経由し、小型運搬船で分けた上で中国に輸 出。また、リオドセが中国企業と資本関係を締結したことも輸出増加に寄与。

全体の品目で輸出 額2位の大豆は中国向けが国別でトップとなり、前年比53.5%増の8億2,600万ドル。オランダやスペインなどへの輸出減少分を中国向け輸出でカ バー。一方、同輸出額4位の大豆粕はオランダ向けが前年比11.3%増となってフランス、イタリア、ドイツ向け減少分をカバー。大豆粕は、昨年輸出実績の なかったインドネシア向けが国別で9位、輸出実績はあったものの輸出額が少なかったタイ向けが国別8位(前年比80%増)となっており、新市場の開拓努力 の成果がみられる。このほか、一次産品では、全体の品目でも11位の輸出産品となっている鶏肉において、日本向けが国別輸出でトップとなり、しかも前年比 29%増と大幅な伸びを示しているのが注目。

なお、一次産品輸出先としては、EUが全体の約4割、アジアが全体の4分の1となっているが、EUが昨年比で1.4%増にとどまっているのに対し、アジア向けは同21%増。


<半加工品は例年の水準に回復>

半 加工品輸出先は大豆および派生製品や鉄鋼半製品が伸びたアジア(2002年の半加工品輸出全体額の25.7%)が最も多く、次いで米国(同24.9%)、 EU(同24.7%)。鉄鋼半製品の輸出額は14億1,000万ドルで前年比30%増、アルミニウム(地金)が 8億1,300万ドルで同20.3%増の伸び。

鉄鋼半製品については、2002年に米国が ITC201条を発動し貿易制限措置を受けたが、発動前から予想されたとおり、米国における鉄鋼産業の構造的な問題が顕在化したことで、結局ブラジル製品 を輸入せざるを得なくなったことが同製品の輸出増の理由。すなわち、川下分野は強いものの、川上分野が脆弱なため供給不足となり、結局、高関税を覚悟で米 国のバイヤーがブラジルから半製品を買うはめとなった。また、2002 年のレアルの切下げで外貨債務の多いブラジルの鉄鋼メーカーが財務体質強化のために輸出ドライブをかけざるを得なかったことも鉄鋼半製品増加の背景。輸出 先として台湾や韓国向けの増加も目立ってきたが、双方とも下工程(圧延など)のみが強化されたため、川上分野における輸入需要、すなわちブラジル産の鉄鋼 半製品の需要が増大。

アルミニウムは、2001年の降雨不足に伴う節電計画の実施により減産していたものが、同計画の終了により回復したことに伴って輸出も増加。

<アルゼンチン向け輸出減が響いた加工品輸出>

加工品の輸出については、従来メルコスールを含めたALADIが主な輸出先。加工品のみに限定した場合、2000年は全体の36%がALADI向け(うちメ ルコスール21.7%)。しかし、この割合は減少しており、2001年の同割合は33.2%(うちメルコスール 17.3%)、2002年は米国向けに抜かれ、国別・地域別で2位の26.4%(うちメルコスール8.7%)。この原因はアルゼンチン経済の低迷。自動車 および自動車部品、携帯端末などを主体としていたアルゼンチン向け輸出は、同国経済の低迷、預金封鎖措置により消費者の購買力が大きく削がれ、ブラジルで それら製品を製造するメーカーはメキシコなど他の国に輸出先を求めた。2000年のブラジルからアルゼンチン向け輸出額は一次産品や半加工品も含め、全体 で62億3,300万ドル、輸出額全体の11.3%を占め、国別では米国に次いで2位の輸出先となっていたが、2002年には23億4,200万ドルに急 減し、輸出額全体比はわずか3.9%、国別でも6位に後退。

加工品の主要品目をみると、輸出 品目全体で3位のジェット旅客機の需要が2002年は後退した(前年比17.8%減)のをはじめ、同5位の乗用車も前述のアルゼンチン向け輸出の減少(同 52.2%減)が響いて前年比2.8%増にとどまっている。輸出品目全体で6位となっている通信機器およびその部品については、前年まで米国に次いで2番 目の輸出先であったアルゼンチンが前年比88.2%と大幅な減少を示したものの、他のALADI向け輸出がカバー。同品目の輸出先としては米国が圧倒的に 多い(12億8,600万ドル)ものの、それ以外はメキシコ、チリ、ベネズエラ、パナマ、コロンビア、ペルーとラ米諸国が続いている。

ま た、輸出品目全体で8位の靴は、通信機器同様に米国に次いで多かったアルゼンチン向け輸出が前年比87.6%減となっているものの、数年前から業界および 政府が代替輸出先の開拓に取り組んできた成果が出て英国、ドイツ、オランダなど欧州向けが増加しているのをはじめ、メキシコ、カナダなどNAFTA地域向 けも伸びてきたことで何とかカバー。しかし、全体としては米国での売上が伸び悩んだのが響き前年比9.8%減となった。

 

3.輸入動向

●国別・地域別輸入動向

2002 年の国別地域別輸入動向をみると、EUが全体比27.7%、続いて米国が同22.1%、ALADIが同17.4%、アジアがALADIと並ぶ16.9%。 1位から6位までは順位が変わらず、中国が9位から7位に、英国が10位から8位となった他はあまり動きがないが、輸出同様ALADIの輸入額全体比が減 少する一方、アジアからの輸入割合が上昇傾向。

全般的に2002年を通じて進んだレアル安により輸入額は減少しているが、例外はブラジル国内で供給が追いつかない薬品類。これについては、連邦政府保健省が直接輸入者となっており、為替動向にかかわらず一定の輸入を行っている。

●財別輸入動向

2002 年の輸入動向を財別でみると、全体の約5割(49.7%)を占める中間財・原料の輸入額が前年比14.2%減。中間財・原料の中で最も輸入額の大きい化学 製品の原材料輸入が同8.2%減となっているほか、2番目に額の大きい工業製品の部品類も同18.7%減少していることなどが大きく影響。化学製品の輸入 は、最も輸入割合の大きい有機化合物の輸入が前年比14.6%減となったことや塗装材が工業部門の需要低迷を背景に前年比10.4%減となったこと、香水 の原料などがレアル安のため同13.3%減となったことが効いているが、肥料部門(同0.7%増)など国内需要が高い分野においては昨年の輸入水準を維 持。薬品分野は欧米から増加し、米国、フランス、英国、イタリアなどからの輸入に増加傾向。

一方、資本財(輸入額全体の約4分の1)は、年央からのカントリーリスクポイントの上昇に伴って貿易金融が締められ、また、新たな設備投資も手控えられたことからアグリビジネス部門が好調だった恩恵を受けた農業関連機械を除き軒並み輸入は減少。

消費財分野(輸入額全体の1割程度)では、半耐久消費財のうち、薬品のみが唯一前年比で輸入が増加(2.2%増)した他はほぼ全ての分野で為替下落を受け輸入が減少。

●製品カテゴリー別輸入動向

加工度別で輸入動向をみると、一次産品輸入がほとんど動きがなかったのに対し、半加工製品が11.2%減、加工製品が17.6%減と輸入全体額を押し下げ。

<一次産品の輸入動向 - 多角化する輸入先>

一次産品輸入額のうち、最大の輸入品目である原油の輸入額が5割近くを占め、2位の小麦、3位の石炭と併せて一次産品輸入の約7割を構成。このうち、原油 は重量ベースで5%増加しているものの、金額ベースでは3.4%増。原油輸入先は依然ナイジェリアがトップであるが、原油輸入額に占めるその割合は大幅に 減少(2001年38.5%→2002年29.5%)、アルジェリア、イラクなどからの輸入が増加。小麦は、アルゼンチンからの輸入が減少する一方、米国 やウクライナ、ポーランドなど新たな輸入先を開拓していることから、アルゼンチンにおける貿易金融面での問題ならびに関税率の引下げが結果的に輸入先の多 角化となって現れている。石炭は、2002年は金額ベースで11.6%増となっているが、これは、リオドセが鉄鉱石輸出の帰りの船に積載し、ブラジルの鋳 物業者用に販売することでフレートを削減し、ロジ事業でも顧客をひきつける事業戦略を採っていることが背景。

<工業製品の輸入動向 ― 増加目立つ発電機>

工業製品で最も輸入額の大きい発電機は、2001年には節電計画の実施で大幅に伸びたが、2002年は2001年をさらに上回る伸び(前年比14.3% 増)を示しているのが注目。大型発電機はブラジルでの製造実績がなく輸入に依存。2001年の電力供給不足を踏まえ、今後、同様の事態が発生することに備 えガスタービンや小型ディーゼル機関の緊急輸入に附帯する発電機の大量輸入が行われている。また、ペトロブラスによる複合火力発電設備のガスタービンに附 帯する発電機輸入も寄与。

 

4.対日貿易動向

<輸出は堅調に推移、輸入は通信関連部品の減少で大幅減>

2002年のブラジルから日本への輸出額は20億9,800万ドル(前年比5.6%増)、輸入額は23億4,700万ドル(同23.4%減)で2億4,900万ドルの入超。

ブラジルの対日輸出品目は鉱産物、農産品およびその加工品が中心であるが、2002年は前述のとおり、鶏肉の輸出増加が目を引く。ブラジル産ブロイラー は、レアル下落で相対的に価格競争力がついてきている他、メーカーの努力により製品に付加価値もついてきていることなど業界が積極的に取り組んでいること が奏効。日本向け鶏肉輸出メーカーとしてはBUNGEグループの傘下でサンタカタリーナ州で起業されたSEARA社が最大の輸出企業。同社は、鶏の飼料も 植物性のものを自社で生産し、また、仮に病気が発生した場合でも、追跡調査ができるよう厳密な製品の品質管理を実施。また、日本の卸業者の注文に応じ部位 ごとに鶏を加工するなど付加価値を高めて日本の顧客を確保。

一方、輸入については、日系アセンブラーの新機種導入に伴い、自動車部品、エンジンなどの輸入が増加。一方、為替の影響で完成車輸入は激減(前年比43.3%減)。

そ の他製品の輸入では、コンピュータの増加が目立つ程度。一方、通信関連機器では固定電話でテレフォニカなどが ANATELの課している設置目標をすでに終えていること、また、携帯端末部門でもユーザー数が増加している割にその7割が前払い方式のものであるため ハードの部品需要がそれほど盛り上がらなかったことで輸入激減(同36.6%減)。

 

5.2003年のブラジルの貿易見通しについて

中銀のFOCUS(市場の予測の平均)によると(1月31日時点)、2003年はGDP2%、貿易収支155億ドルの黒字、経常収支56億ドルの赤字、直 接投資流入額130億ドル、2003年末時点の為替レート1ドル=3.61レアル(年平均3.51レアル)、 SELIC金利平均22.92%。

<リスク要因は米国によるイラク攻撃>

貿易全体の変動要因として考慮すべきは米国によるイラク攻撃が実際に行われた際の影響。攻撃が行われた場合は、それが短期間に終結するのか、あるいは長期化するのかでもシナリオが大きく異なる。

長 期化する場合は、為替の切下げが進む一方、石油価格は引上げられ、国内経済にも悪影響を及ぼす。為替の切下げは、公的債務のファイナンス手段がドルイン デックス債、為替インデックス債等に拠っている部分が多いため、内外のマイナス要素が顕在化するたびに債務額が増加し、リスクポイントが上がって為替市場 におけるドル買いが進むというメカニズムになっていることが背景。

石 油価格の上昇は貿易収支でのリスクというよりはインフレに及ぼす影響の方が懸念される。昨年10月以降、公共料金の改定と急激なレアル安によりそれまで抑 制されていた値上げが多方面に広がっている。米国によるイラク攻撃で石油価格がさらに上昇し、それが長期化する場合は、国内の石油価格も連動して上昇する ため、さらなるインフレ圧力の増加につながる恐れ。こうした為替下落とインフレ圧力の増加は現在も高水準にある金利の引下げを困難にし、国内消費を冷え込 ませるとともに国内企業の海外資金依存度を高めることになる。

<インフレ高進による政治経済混乱も>

ブ ラジルの信用が維持されている間は海外資金依存度が高くてもある程度許容されるが、それはブラジルの経済基盤をより脆弱にさせることになる。また、こうし た高金利、高インフレの状況が長期化すれば、与党労働党内の左派グループが勢いづき、ルーラ政権が現在の中道路線を維持するために従来以上の調整努力が必 要となる。調整がうまくいかず、現路線維持が困難となれば、ブラジルに対する海外金融市場の信頼は揺らぎ、海外からの資金供給が絞り込まれ、ブラジル経済 はより深刻な状況に陥る恐れ。

ただ、貿易面ではイラク戦争の直接的な影響はさほどないもの と思われる。原油はイラクからも多く輸入しているがスポット契約によるものであり、代替輸入先確保に問題はない。また、ブラジルに進出している多国籍企業 は輸出重視戦略を鮮明にしているため、輸出が堅調に増加する一方、為替の影響で輸入が抑制されるため貿易黒字は維持され、これがブラジルの良好なファンダ メンタルズ維持の錨(アンカー)となろう。

米国によるイラク攻撃が短期で終了した場合は、 上記のようなリスクはかなり軽減され、為替市場も投機の影響を受けることなく安定して推移しよう。為替の安定は金利引下げ余地につながり、安定した成長に つなげることができよう。また、イラク攻撃が終了したのち、就任直後のルーラ大統領の人気が維持でき、国会対策も乗り切り構造改革が緒についたことを海外 投資家にアピールできれば、海外からの資金流入にもはずみがつき、ブラジル経済は良い方向に循環していこう。

た だ、この場合は国内の景気上昇により中間財の輸入が増加して貿易収支は悪化することが見込まれる。ブラジルの中間財製造企業が本当の製品競争力を備えてい れば輸入代替は定着するであろうが、専門家の見方は必ずしもそうではない。2002年の貿易動向についても、 FUNCEXでは、為替下落にもかかわらず明確な輸入代替つまり製造業における国内中間財企業への購入先の変化は統計に影響を及ぼすほど大きなものではな かったとみている。つまり、景気が回復すればそれまで生産を抑えていた製造業が中間財の調達を海外に求めはじめ、輸入は再び増加する可能性が高い。

<開拓に成功した新輸出市場の維持、さらなる対中輸出増>

FUNCEX のリカルド・マルクワルド所長は、2003年の貿易について、輸出は継続的に伸びていくとコメント。その理由として、2002年に掴んだ新市場を維持する ために各企業が必要な投資を継続していくことが予想されることを挙げている。新市場の中でも輸出先として急激にその重要性を高めている中国については、在 伯中国商工会議所のチャールズ・タン氏が、「フォルクスワーゲン、GM、フィアットを中心に対中輸出は 2003年も増加し、また、食品部門でも従来の品目に加えて長期保存用の牛乳が伸びる可能性もある」と指摘。また、同氏は、「中国においてガソリンにアル コールを10~15%混入する計画があることや、検疫問題が解決することを前提にアルコールや牛肉についても輸出が期待できる」と指摘。
対中輸出 増加に唯一マイナス要因があるとすれば、ブラジルが中国に適用しているセーフガード措置の取り扱い。具体的には、2001年12月~2006年 12月まで効力のある中国製にんにくについてのセーフガードをブラジルが撤廃しない場合は、中国側が貿易面で何らかの制裁措置をとる可能性がある。

<上半期期待薄な対米輸出>

米 国向け輸出は、同時多発テロ事件のダメージで苦しい経営を続けている米国航空会社などが新規ジェット機の購入を現在にも増して手控えることでエンブラエル 社の対米輸出増加の可能性は少なくとも今年上半期は低い。同様に、自動車や靴などは米国の消費市場動向次第。ただし、携帯端末については、米国でセキュリ ティ上も重要(緊急時の居所把握など)とみなされるなど、テロ事件後、逆に市場が拡大している段階であり、引き続きブラジルからの輸出が増加することが期 待できよう。

対EU輸出についても、イラク攻撃の有無によって輸出にある程度の影響は出る。 単純には比較できないが、90年8月から約7ヶ月続いた湾岸危機・戦争時には、当時のECの経済成長率はドイツの統一需要があったにもかかわらず、内需不 振の影響で急減(GDP成長率は、 89年3.5%、90年2.9%、91年0.8%)。ブラジルからの同地域への輸出も90年には89年比6.5%減。

<拡大見込める自動車関連>

ALADI 向け輸出は、基本的にはアルゼンチン経済の回復度合いが大きく影響。同国との貿易を考える上で最も影響力のある自動車は減少一方であったが、2国間自動車 貿易に復活の兆し。まず、フォードが同国での生産を増加させ、輸出入相殺実現により関税フリーでの2国間貿易を復活させる他、PSA (プジョー・シトローエン)が同国での生産を決定したことにより、リオデジャネイロ州ポルトヘアル工場との間でツインプラントを生かしてフォード同様にメ ルコスール自動車協定のメリットを享受しようとしている。フォルクスワーゲンは、上記2社と異なり生産をブラジルに集約する動きがみられるが、アルゼンチ ンにおけるGOLの生産を取りやめる替わりにその分をブラジル工場から輸出することで、完成車輸出は増加(今年は5,000台予定)することを予想。

一方、メキシコ向けも今まで遅れをとっていたフィアットが同国向け輸出を本格化させるとも言われており、同国向けは引き続き自動車および部品を中心に増加を予想。

アジア向けは前述のとおり、中国が牽引し、インド、マレーシア、インドネシア、シンガポール向けも増加予想。日本向けは一次産品の国際価格動向に左右され るであろうが、劇的な伸びを示すのは現時点では考えにくい。中東向けについては、米国がイラク攻撃に踏み切った場合は、輸出ルートの確保をしない限り鶏肉 を中心に輸出は減少の可能性。

以上

 

2003.2.6
ジェトロ・サンパウロ

FTA締結の現状について

(世界のFTA締結の現状)

・FTAとは、2以上の複数国、地域間で関税やサービス貿易の障壁等を撤廃して、物、サービス貿易の自由化を定めた協定。
・2003年1月20日現在、GATT/WTOに通報・発効しているFTAは147件。その6割以上が90年代に発効(NAFTA、AFTA、メルコスールなど)。
・FTA締結活発化の背景にはWTOによる多国間交渉の難しさ。
・FTA締結の意義として、WTO交渉促進の補完、進出企業の競争力強化、貿易投資の確実性確保など。

(中南米のFTA)

・中南米地域は歴史的にブラジルを例外としてFTAに熱心。ALADI(ラテンアメリカ統合連合)、中米共同市場、アンデス共同体、カリブ共同体、メルコスールなど。大半は関税同盟。
・中南米におけるFTA締結は構造改革、自由化を進展させ、広域経済圏の形成で貿易量を飛躍的に拡大。対立回避、対外交渉力強化など政治的意義大。
・中でもメキシコはNAFTA、EUなど現在31カ国と締結、貿易額が急増、投資、雇用など経済発展を支え。その他、貿易依存度の高いチリも積極的で、カナダ、メキシコ、EU、米国、韓国などと締結ないしは締結合意。
・2005年末交渉集結を目指し現在、北米、南米、カリブ34カ国(キューバを除く)から構成される米州自由貿易地域(FTAA)交渉中。約8億人、GDP約13兆ドル(世界の約4割)の巨大経済圏が出現。
・FTAA交渉は構成国全員一致による一括合意方式を採用、域内格差が大きいことから交渉難航予想。

(日本の現状)

・WTOを中心とする多角的貿易体制の維持強化を基本政策。各地域でFTA締結進展を受けて、貿易自由化、経済活性化を図る上で多角的貿易体制を補完する1つの柱としてFTAなど地域貿易協定を位置付け。
・今後、わが国の産業界からのニーズ、相手国市場の規模などの要素を勘案して交渉相手国を判断。
・昨年締結されたシンガポールとの経済連携協定(EPA)を皮切りに、今年中の合意を目指してメキシコと交渉中。今後、アセアン等アジア諸国との交渉を予定。

以上

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