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ブラジル特集

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【キルチネリズムの勝利がアルゼンチン市場をパニックに- ブラジル市場にも混乱が波及】 2019/08/13

8月11日に投開票が行われた予備選挙の結果について市場が「ほぼ逆転は不可能」と受け止めマクリ政権の経済政策に終止符が打たれることを懸念

2019年のアルゼンチン大統領選に関連して8月11日に実施された予備選挙でマウリシオ・マクリ大統領が敗北したことを受け、同国の金融市場はパニックに陥り、株安とペソ安などの打撃を受けただけでなく、その影響はブラジルにも波及した。為替相場はペソが暴落し、同国中銀は政策金利を年利74%に引き上げた。この対策によりペソは持ち直したものの、それでも、最終的には先週末9日と比較して8.8%ペソ安の1ドル=52.1ペソで取引を終えた。ブエノスアイレス証券取引市場の株式指標、メルバル(Merval)は、37.9%の値下がり。

こうした動きは、ブラジルにも波及し、サンパウロ平均株価指数(Ibovespa)は、同じく先週末の終値から2%値下がりした101,900ポイントで週明けの取引を終えた。為替相場も一時は4レアル台までレアル安が進行したが、最終的に1.09%のレアル安となる1ドル=3.098レアルで取引を終えた。ブラジルの主要貿易相手国であるアルゼンチンの状況だけでなく、米中貿易戦争によって国際市場に緊張ムードが生じていることも、ブラジルにとってはマイナス要因になっている。

アルゼンチン市場で発生したパニックは、野党の推すアルベルト・フェルナンデス氏と同氏が策定した選挙候補人名簿で副大統領に指名されたクリスチーナ・キルチネル前大統領が予備選挙で勝利したことによって「マクリ政権の経済政策と国際通貨基金(IMF)との合意が存続の危機に追いやられた」と受け止められたことによると、金融サービス会社INTL FCStoneは指摘した。

同様に、ドルに対するアクセスの制限、輸送業界やエネルギー業界に対する助成金など、ネストル・キルチネル大統領と続くクリスチーナ・キルチネル大統領時代に広く使われた介入主義的な措置に対する懸念もある。

11日夜に最初の開票データが発表された後、フェルナンデス氏は自身の勝利に関して、マクリ大統領の「労働制度改革に対してノーが突き付けられたのだ」とコメントした。さらに同氏は、10月の大統領選で当選した場合、銀行業界に対して利払いによる「プレゼント」を与え続けることはないと付け加えた。

副大統領にクリスチーナ前大統領を指名したフェルナンデス氏の選挙候補人名簿の得票率は47.6%で、マクリ大統領の得票率は32%だった。10月の選挙でもキルチネリズム派(キルチネル政権下で行われた大衆迎合主義推進派)が同様に45%以上の票を確保した場合、1次投票で当選を確定する。

銀行業界はすでに、キルチネリズム派の勝利がほぼ確定したものと受け止めている。ゴールドマン・サックスのストラテジスト、チアゴ・セベロ氏はレポートの中で、今回の結果について「ほぼ逆転は不可能である」と断言した。

同国の金融市場のエコノミストは、匿名を条件に、キルチネリズム派に対する投資家の信頼の欠如がペソの大幅安を引き起こしたという考えを示しつつも、今回のような開票後の金融市場の混乱が10月に実施される大統領選の趨勢を逆転させるほどの影響を与えることはほぼないと指摘した。この人物は、誕生するキルチネリズム派の新政権がIMFに対してデフォルトはせず、マクリ政権下で支援を受けた560億ドルの融資条件に関して再交渉を求めるだろうと考えている。

フェルナンデス氏と親しいエコノミスト、マチアス・クルファス氏は、混乱する市場の沈静化に努めた。同氏は同国の報道機関に対して、フェルナンデス氏が為替へのアクセス管理を再開するような考えはなく、国債の償還に関しても遵守する意向だとコメントした。

クルファス氏は、「数週間前から、IMFが派遣したスタッフとは話し合っており、対話の意思についても前向きだ。ただ、この方向性は(経済成長に復帰するという)目的を達成していないと我々は考えており、合意内容について変更したいというのが我々の立場だ」と付け加えた。(2019年8月13日付けエスタード紙)

 

EUとのFTA合意に関してブラジルはアルゼンチンの批准に依存せず

メルコスールとEUが仮合意に達した自由貿易協定(FTA)の規定は、関係国が批准した後にそれぞれの国の枠内で発効する。7月にメルコスール加盟国が署名した合意に基づきブラジルは、アルゼンチンの判断には依存せずに欧州連合(EU)とのFTAを施行できる。この合意は、アルゼンチンで開催された最終のメルコスール首脳会談でアルゼンチン政府の提案によりまとめられたもので、FTA協定の正式な合意と欧州議会の批准後に、自国の国会で文書が批准された国は新たな関税規定が有効になるというものである。

この合意がまとまる前は、メルコスールが交渉した貿易協定について、ブラジルとアルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイの立法府の全てで批准を受けることで初めて発行するという条件だった。

またこの措置は、例えば輸入税の撤廃を定めるといった、経済及び通商問題にのみ有効なものである。政治的合意及び環境分野の取り組みのような、協力関係に関する合意のような問題については、対象外となる。またこの合意が有効になるのは、EU加盟国及びメルコスール加盟国の国会で批准された後である。

今回の措置は、アルゼンチンで2019年に実施される大統領選でアルベルト・フェルナンデス氏と同氏が副大統領候補に指名したとクリスチーナ・キルチネル前大統領による野党の選挙候補人名簿が勝利する可能性が次第に高まっていることから、ブラジルに取って「保険」のようなものになっている。

予備選挙の選挙運動でフェルナンデス氏は、15年の期間を設けて大部分の製品の輸入税率を撤廃するというEUと締結した合意を見直す必要があると主張した。左派でブラジルの連邦警察により収監されたルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ元大統領を訪問までしたフェルナンド氏は、この合意がアルゼンチンに「脱工業化」をもたらすと言い、マクリ大統領が選挙対策という名目だけで締結したものだと主張した。

しかしアルゼンチンの金融エコノミストの1人は、フェルナンデス氏の立場について、選挙演説としてのアピールだと受け止める。「ご破算にするには大きすぎる問題だ。キルチネリズム派が政権を担当していた期間を通じて、フェルナンデス氏は合意に一切反対しなかった。マクリ大統領がやること全てに反対するというのは、選挙演説のトーンとしては普通のことだ」という。

ブラジルでは

ジャイール・ボルソナロ大統領が率いるブラジル政府は、両国政府の間の「価値観の共有」を称え、マクリ政権を同盟国の政権と受け止めている。ブラジル政府の経済スタッフは、メルコスールが自由貿易圏の確立に向かうべきと考えており、アルゼンチンの現大統領に関しては、別の貿易協定の交渉を前進させメルコスールそのものの内部改革を推進する上でも、力添えを期待していた。

ブラジル政府内では公に、マクリ大統領がさらに4年にわたって大統領を務めることを応援する声があった。だがフェルナンデス氏が予備選で勝利したことで、ブラジル政府は、様々な改革に向けた行動計画に対する脅威が生じたと受け止めている。

元貿易局長のウェルベル・バラル氏は、「ペロン主義(ペロン元大統領らが主導した労働者を中心としたアルゼンチンの大衆迎合主義)の政権がメルコスール、そしてブラジルに対して友好的でないことは明らかだ。何よりも、ボルソナロ政権は一方的に輸入税率を引き下げ、新たな自由貿易協定を推進している」と話す。

7月に可決したこの措置は、地域の政治的ムードからEUとの貿易協定を守るべくブラジルの外交が立ち上げた、EUとのFTA協定の導入に対するある種の「ファストトラック(迅速処理対応)」と位置付けられるものだった。

アルゼンチンでは2019年12月に新政権が誕生するが、それまでにブラジルがEUとのFTA協定に関して国会審議を完了させることは困難である。ブラジルでは、国際協定の批准プロセスは伝統的に歩みが緩やかである。上下両院で可決する必要があり、専門用語で「国内制度化」するまでに行政府内で様々な手続きを踏む必要がある。(2019年8月13日付けエスタード紙)
 

 



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【会議所 トピックス】

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2019年下期業種別部会長シンポジウム発表資料(2019年8月22日)

Pdf  金融部会    津田 双羅
   Pdf  金融部会 フェルナンド・オノラット・バルボーザ
Pdf  貿易部会    猪股 淳
Pdf  機械金属部会    山田 佳宏
Pdf 自動車部会    下村 セルソ
Pdf コンサルタント部会     吉田 幸司

Pdf  化学品部会     村松 正美
Pdf  電機・情報通信部会    小渕 洋
Pdf  食品部会     佐々木 達哉
Pdf  運輸サービス部会     湯原 慶
Pdf  生活産業部会     今川 尚彦

電機・情報通信部会(髙田正純部会長)主催のICTセミナー(2019年8月15日)

Pdf「ゼロトラスト時代のアカウンタビリティ~サイバーリスクへの対策強化に向けて」NTTコミュニケーションズ株式会社経営企画部マネージドセキュリティサービス推進室の竹内文孝室長

Pdf「IT資産集約型からクラウド活用への現状とセキュリティ課題」パロアルトネットワークス株式会社の藤生昌也シニアビジネスデベロップメントコンサルタント

労働ワーキンググループ主催セミナー(2019年7月23日)

Pdf「転換するブラジルの社会福祉 -右派・保守、イデオロギー色の強いボルソナロ政権-」ジェトロ・アジア経済研究所の海外調査員(サンパウロ大学客員教授)の近田亮平氏

パラグアイセミナー(2019年6月7日)

Pdf「パラグアイの地理的ポテンシャル」在パラグアイ日本国大使館の石田直裕特命全権大使

Pdf「チャンスの国パラグアイ」REDEIEXのSebastian Bogaddo氏、

Pdf「パラグアイの進出方法」ジェトロ中小企業海外展開現地支援プラットフォームの石田ミゲル コーディネーター

Pdf第一回イノベーション研究会によるアンケート結果
 

Pdf「法人所得税の損金算入」セミナーPDF吉田幸司グループ長
 

Pdf労働ワーキンググループセミナー「労働組合と労使交渉」PDF資料

 

Pdf最新版 サンパウロ市役所民営化案件リスト(2019年1月)

「ブラジル労働法のポイント」
(表紙クリックで内容表示)

Pdfブラジルのポテンシャル

(麻生元総理との意見交換会)

 

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